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第12話

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「それじゃあ~、俺は飲みながらぁ担当の書類でも片付けようかなぁ~」

 何となくそう宣言しながら、マグカップを机に置き、自分の席に着く。

 会長達が来るまでしていたとはいえ、まだまだ片付けるべき書類とデータは残っている。
 一応提出期限は、1番近いのもので来年度の4月までと随分先だが、早く終わらせておくに越したことはないからな。




 カタカタカタカタカタカタッ


「…そういえば、1番終わっているのは意外な事に水無月のようですね」

 出し抜けに副会長がそう呟いた。
 何故知っているんだ…ってパソコンで確認したのだろうな。

「マジかよ…俺様よりも遅いかと思ってたのに」

 発覚した新事実に対し、微妙にショックを受けたらしい。再び会長は僅かな間固まってしまった。

 あ、手にマグカップを持ったままだ。
 あれ落とさないで欲しいな、中身が入ってたら余計に。絨毯にシミがついて落としにくいんだよ。

 …まぁ、会長にさせたらいいか。


「会長~、それ落とさないでねぇ~。…まぁ片付けるのは会長だからぁ、俺はどうでもいいけどねぇ~」

「ハッ」

「あ、かいちょーの石化が解けたー!」

「マグカップ落とさなかったー。…残念」

「…チッ」

「おいちょっと待て。今慶舌打ちしたよな!?」

「何言っているのですかバ会長。優しい慶がそのような事をするはずがないじゃないですか」

「そうだよぉ~会長。慶がするわけないよ~」

「「けいっちは舌打ちなんてしないってー」」

「…ん…おれ、して、な…」

「ほら、慶はしていないと言っているではありませんか」

「いやコイツ絶対してたからな!?」

 しかも零斗、お前さり気なく俺様をバカにしてないか!?


 会長が何やら喚いているが、癒しな慶がそんな酷い事をするはずがないし、副会長が自分の事を俺様呼ばわりするような人をバ会長というのは間違ってないと思う。

 あと、奏が最後に残念と言っていたのは気づかなかったのだろうか。


「あははは~!これだから会長はバ会長なんだよぉ~」

 会長にギリギリ聞こえるか聞こえない程度の声量で呟く。

「貴方に同意するのはしゃくですが、そうですね。あの一言に気づかないだなんて」

「あ、副会長も気づいてたんだぁ~」

「えぇ、それは勿論ですよ」

「だよねぇ~」






「…なんかお前ら、俺の扱い酷いなってないか」

「そんなことないってぇ」

「気の所為ではありませんか?」

「そうだよー!」

「そうそう」

「「かいちょー(会長)の気のせーだよー」」

「ん…おれ、やって、な…」




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