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第8話
しおりを挟む放課後になり、俺は1人で生徒会室へ向かった。
結局、あの後も双子が戻って来る事は無かった。慶も今日は1日教室に顔を出さなかったようだ。
扉の前に立ち、深呼吸する。
今の俺はチャラ男だ。
へらへらとした笑みを貼り付け直し、思い切って生徒会室の扉を開けた。
「みんなぁやっほ~!!…ってなんだ、まだ誰も来てないのか」
まさか誰もいないとは思っていなかったので、少し拍子抜けだ。思わず素の口調で呟いてしまった。
周りに人がいなかったから良かったものの、学園内で気を抜くのはマズイ。誰かにバレたりしたものなら(口止めが)面倒だ。
しかし、まだ誰も来てないとは珍しいな。
少し来るのが早かっただろうか?
まぁいい。折角1人なんだし、期限が近い書類等を早く捌いてしまうか。
自分の席に着いて、カバンから昨日持ち帰ったUSBを取り出す。ノートパソコンにそれを差し込めば、徹夜して終わらせたデータが出てきた。多少修正してから顧問と理事長のそれぞれに送ると、昨日の分は終了。
後は書類を捌くだけだ。
黙々と作業をこなしていると、ふと、机に影が出来た。
「……ま、こと…きょ、はや…?」
影の正体は慶だった。
スマホを見ると、あれから30分経っていた。
「でしょ~。それにしてもぉ、今日はぁみんな遅いよねぇ~」
「ん…かいちょ、たち…おそ…」
「どうしたんだろうねぇ~?会長達昼はいたよねぇ~」
本当どうしたんだ?
普段なら、とっくに副会長は来ている時間なんだが…。
「…まぁ、考えても仕方ないかぁ~。慶、何か飲むぅ~?」
「ん、…のむ…」
「お~け~」
席を立ち、生徒会室内にある休憩室に行く。
この休憩室には、ちょっとしたキッチンと冷蔵庫、棚、仮眠用のベッドソファーなどがある。
そのキッチンで自分用のブラックコーヒーと、慶のココアを準備する。ついでに、この前持ってきたクッキー缶から何枚かクッキーを皿に移し、それをコップと一緒にお盆にのせた。
さて行くか、と思ったのだが、向こう側から会長達の声が聞こえたので、会長達の分の飲み物とクッキーも用意する。
会長にはエスプレッソを、楓にはカフェオレ、奏にはレモンティー、副会長にはアールグレイを。
皆、見事に好みがバラバラだ。あの双子も飲み物だけは違う。
休憩室から出ると、会長と副会長が何やら話し合っていた。
「やっほ~」
「「あ、マコちゃんだー!」」
「はいどうぞ~」
そう言って、休憩時や客が来た時に使うテーブルにそれらを置いた。
「…あ、りが、と…」
「あぁ、ありがとうございます」
「「わーい!ありがとうー!」」
「……」
「会長?お礼ぐらい言ったらどうですか??(圧)」
「…サンキュ」
「どういたしまして~」
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