“孤蝶”雑多ログ

腐男子ズと騎士くんのカオスな休日

残念(笑)と姫さんと腐トークと ➁

　
　なんとか最初の流れに戻った腐男子2人は、お互いに持っている本を一時的に交換し、すぐさま表紙を捲めくった。

　因みに受け取ってから表紙を捲るまでのその間かんは、両者ともに僅か0.3秒ぐらいしかなかった。新たな萌えを目前とした腐男子の動きはとてつもなく速い。


　時々、紙を捲る音の他に「グハッ…!」やら「クッソ可愛すぎるだろ最高か」やら「ァ…アｯ、…しぬ…」やら「え、こっちなの!?」などという、実に不気味なうめき声やボヤきが聞こえる以外は非常に静かな時が、およそ3時間程続いた。
　
　現実的に考えてまずあり得ないが、もし不幸にも聞いてしまった人がいたとしたら、間違いなく一目散に逃げるだろう。
　そして次の日には、“どこからともなく聞こえてくる不気味な声”だなんて七不思議が学園中で囁かれているに違いない。



「ふぅぅぅぅぅぅ……今巻も実にイイ萌えだった…。天然ドS攻め×嫌われ無気力受け…ボクとしたことが…あれは盲点だったよ」

「うわぁぁぁああ!!!!まさかのここで終わり!?!?マ????めっっちゃ続きが気になるんだけどぉぉぉお!!!!」


　ほぼ同時に読み終えた2人は、正反対のテンションで本の感想みたいなものを片かたやそっと囁き、片や軽く叫ぶ。
　そんな2人に共通するのは、どちらも実に充実した読書時間だったということだ。

「次も新刊出たらよろしくー」

「こっちもこれの続きお願い」

　姫さんは尊みの過剰摂取のためベッドに倒れ込みながら、残念(笑)はこれからの展開が気になりすぎて近くにある机に突っ伏しながら、それぞれ上記のような言葉を発する。

　お互いの顔を全く見ずに交かわされる約束事は、今回で計23回目となっていた。