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第4章:ゴブリン・スタンピード

ゴブリンたちの目的

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「一体どうしたらっ……」

『そうですね……。まず、このスタンピードはもう止めることはできないと認識するべきだと思います。ネーデの森に討伐に向かったとしても、もう手に負える数ではないでしょうから。だからみなさんは、スタンピードが起こるまでの時間全てを、街や村の防衛力を上げることに費やしてください。そしてスタンピードが起こったら、街や村から決して離れずに、ただ守ることに徹して下さい』

 淡々とゴブリンスタンピードが起こると言ったアルバトスさんは、淡々とこれからのことをアドバイスした。
 だけど、戦いもせずにただ守るだけっていうことに、納得できない人もいる。
 アントニオさんがイラっとしたのがわかったのだろう、それを制したゴムレスさんが言った。

「もちろん、街や村には残っている冒険者に守りにつかせるつもりだ。だが、守るばかりではいずれ……」

『確かに守るばかりでは倒せませんね。ですが、街の防衛はオリエさんが作った聖水を使って、進んでいるのですよね?』

「あぁ。進んでいる」

 ゴムレスさんが頷く。
 私が作った聖水で街や村の防衛力が上がって、弱い魔物なら中に入ることはできないらしい。
 数にもよるだろうけど、しばらくの間は持ちこたえることができるはずだとゴムレスさんが続ける。

『それでいいと思います。だけど私が思うに、おそらく街や村に向かうゴブリンは少ないと思います』

「なんだって?」

「ただ増えたゴブリンが街や村を襲うのなら、もうとっくに襲われているのはないでしょうか。だけどそうはならず、ゴブリンたちは今もネーデの森で数を増やし続けている……これはもはやただの大量発生ではなく、何らかの目的のために、ゴブリンの王が軍隊を作っていると考えるのが正しいのではないかと思います」

 確かにアルバトスさんは、エミリオが黒魔結晶を突き刺したゴブリンは、ゴブリンキングになっている可能性があるって言っていたけど、そのゴブリンキングが軍隊を作っているっていうこと?
 なんだか嫌な予感しかしない。

「じゃあ、目的とはなんだというんだ?」

『そうですね。例えば……今世のルリアルーク王を亡き者にするため、とか?』

「お、おい、なんで俺を見る?」

 アルバトスさんがルリアルーク王と言った瞬間、私も含め、この場に居る全員がユリウスを見た。
 ユリウスの見た目と、彼が現オブルリヒト王の息子ということがわかったからなんだろうけど、一般的に今世のルリアルーク王として知られているのは、ユリウスではなくジュニアスだ。
 じゃあ、ゴブリンたちの目的は、ジュニアスなの?
 でも、ゴブリンたちが増える原因となった魔結晶をばら撒いたのはジュニアスたちなのに、一体どういうことなの?


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