上 下
294 / 325
第4章:ゴブリン・スタンピード

エリザベス様とサーチート

しおりを挟む
【164・エリザベス様とサーチート】


 私とユリウスは、エリザベス様と一緒に二階へと通された。
 エリザベス様と一緒に居た三人の冒険者たちは、一階のお店でそガレアスさんとソフィーさんが対応している。
 何か装備を買うにしろ、強化するにしろ、あの二人が居れば大丈夫だろう。
 
「ねぇ、実はすごく気になってたんだけど、アンタ……オリエが抱いている、それは何だい?」

 ジルさんがお茶を淹れてくれて、いただこうとしたところで、不思議そうな表情をしてエリザベス様が言った。
 私に尋ねられたし、それって言われたし……それっていうものに該当するのって、きっとサーチーとのことだよね。

「エリザベス様、もしかして、それって、ぼくのこと?」

 私の膝の上で首を傾げたサーチートに、エリザベス様はそうだよと頷いた。

「お前は一体何者なんだい? 小さな動物のようにも見えるし、まるでぬいぐるみのようにも見える……お前みたいな不思議なものは、初めて見たよ。生きているのかい?」

「生きているよ! ぼくの名前はサーチート! オリエちゃんのスマホだよっ♪」

「スマホって何だい?」

 このやり取り、何回もやったよねぇ。
 この世界の人にスマホって言っても、わかるはずないし、私も上手く説明できないよ、サーチート。
 だから私はこう補足するのだ。

「簡単に言うと、私の従魔です」

「あぁ、そうなんだね」

 あっさり納得してくれた。
 従魔登録を勧めてくれたゴムレスさん、グッジョブ!

「でも、不思議な子だねぇ。ちょっと私にも抱かせてくれないかい?」

 あはは、エリザベス様、サーチートが可愛いから、抱っこしたくなっちゃったんだね! その気持ち、ものすごくわかる!
 でも、サーチートには意志があるから、私が勝手にいいですよって返事はできないんだよね。

「サーチート、どうかな?」

「うん! ぼく、エリザベス様に抱っこされてもいいよ!」

 サーチートがそう言うから、私はサーチートをエリザベス様に差し出した。
 テーブルには今、ジルさんが淹れてくれたお茶が並んでいるからね。
 サーチートが自分でエリザベス様のところに行こうとすると、ガチャンってなっちゃう。

「へぇ、触り心地はぬいぐるみみたいにふわふわ何だねぇ。ちっちゃい手が可愛いねぇ。ほら、お菓子食べるかい?」

「うん、ぼく、食べるよ! エリザベス様、ありがとうー」

 エリザベス様からクッキーを貰ったサーチートは、ご機嫌だ。
 エリザベス様の方もご機嫌だし、良かったね!

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。 アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。 ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。 アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。 去ろうとしている人物は父と母だった。 ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。 朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。 クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。 しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。 アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。 王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。 アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

欲しいものはガチャで引け!~異世界召喚されましたが自由に生きます~

シリウス
ファンタジー
身体能力、頭脳はかなりのものであり、顔も中の上くらい。負け組とは言えなそうな生徒、藤田陸斗には一つのマイナス点があった。それは運であった。その不運さ故に彼は苦しい生活を強いられていた。そんなある日、彼はクラスごと異世界転移された。しかし、彼はステ振りで幸運に全てを振ったためその他のステータスはクラスで最弱となってしまった。 しかし、そのステ振りこそが彼が持っていたスキルを最大限生かすことになったのだった。(軽い復讐要素、内政チートあります。そういうのが嫌いなお方にはお勧めしません)初作品なので更新はかなり不定期になってしまうかもしれませんがよろしくお願いします。

私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!

神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話! 『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください! 投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!

処理中です...