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第4章:ゴブリン・スタンピード
ユリウスの血縁者②
しおりを挟む「ユリウスと言ったね。ネーデの森でガエールの冒険者たちを助けてくれてありがとう。あの子たちのことは、子供の頃から知っていてね。私が育てたようなものなんだよ。今日はアンタ礼を言いたくて、ビジードまで来たわけさ。本当に感謝しているよ」
エリザベス様はそう言うと、優しく金色の目を細めて笑った。
「気になさらないでください。間に合って良かったです」
「いや、さっきも言ったけれど、アンタが助けてくれたあの子たちは私の子供のようなものなんだ。だから、あの子たちの命を救ってもらった礼がしたい。何か欲しいものはあるかい?」
エリザベス様の言葉に、ユリウスは首を横に振った。
「いや、礼なんて不要です。本当に気にしないでください」
「では、せめて食事をご馳走させてくれないかい?」
エリザベス様がご馳走と言った瞬間、抱っこしているサーチートがビクッとした。
あはは、サーチートは食いしん坊だもんね。ご馳走が気になっちゃったんだね。
でも残念、ユリウスはきっと、これも断っちゃうはずだからね。ご馳走は今度、かな。
「エリザベス様、申し訳ないのですが、実は所用を思い出しまして、ギルドマスターに報告した後は、すぐに行かねばなりません。だから……そのお気持ちだけ頂いておきます。ありがとうございました」
思った通りユリウスがエリザベス様の申し出を辞退すると、サーチートはガッカリしたんだろう、小さくため息をついた。
ごめんね、と言って優しく体を撫でてあげると、サーチートは帰ったら私が作ったご飯が食べたいって言った。もちろんオッケーだよと答えてあげる。
「では、エリザベス様、これで失礼します」
ユリウスはそう言うと、ゴムレスさんへと視線を移した。
ゴムレスさんは頷くと、エリザベス様に一礼して、私たちとリュシーさんを別室へと案内してくれた。
「結論から言うと、ネーデ以外の森には、普通のゴブリンしか居なかった。ああと、できる限り狩っておいたから、しばらくは見かけないはずだ」
「そうか。では俺たちは、ネーデの森だけに集中していいということだな」
「あぁ、そういうことだ」
「ユリウス、リュシー、助かったぜ。今、ガエールの冒険者ギルドと、ネーデの森について話し合っている。詳しいことが決まったら、また手を貸して欲しい」
「あぁ、その時は手伝おう」
ゴムレスさんに報告をし終えた私たちは、そのまま冒険者ギルドを出ることにした。
冒険者ギルドを出るとき、エリザベス様たちが手を振ってくれたけれど、私たちは軽く会釈だけして、足早に立ち去った。
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