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第3章・冒険者デビュー
アルバトスさんの友達①
しおりを挟む「アルバトス?」
ぽかんとした表情でクラウドさんを見上げるサーチート。
そんなサーチートに長い腕を伸ばし引き寄せると、ユリウスはサーチートの小さな口を塞いだ。
ナイスだよ、ユリウス! サーチート、うっかりいろいろと喋っちゃいそうだもんね!
でも私も、自分がアルバトスさんを知っている事を、クラウドさんに悟られないように気をつけないとね!
「おい、どうかしたか? そいつ、なんか苦しそうだぞ? 大丈夫か?」
クラウドさんが、ユリウスに押さえつけられているサーチートを指さし、言った。
ユリウスは頷いて私にサーチートを渡すと、
「で、ええと、この便利な魔道具は、クラウドさんの友達の人が考えたんでしたっけ?」
と誤魔化すように言う。
サーチートを受け取った私は、ユリウスの影に隠れて、クラウドさんにアルバトスさんの事を言っちゃ駄目だよ、とサーチートに小さな声で言い聞かせた。
わかっているのかわかっていないのか、サーチートはうんうんと頷いた。ちょっと不安だ。
「あぁ、この便利な魔石回収アイテムはさ、アルバトスって俺の友達が考えたんだ。すごく頭のいい奴でさ、あぁいう奴を天才って言うんだろうな」
「天才、ですか?」
そう言えば、ジュニアスのお付きの――確かノートンとかいう男が、すごくアルバトスさんに嫉妬してたっけ。
本当にアルバトスさんって、すごい人なんだね。
「このアルバトスって奴がさ、頭がいい上に強くて人格者、おまけに顔までいいという非の打ち所のない奴でなぁ。俺はガキの頃、何をしてもあいつに叶わなかったよ
「うんうん!」
アルバトスさんの事を言っちゃ駄目って言い聞かせたから、必死に口を押えながらサーチートが頷く。
だけど、その目はキラキラしていて、話の続きを催促するようにクラウドさんを見つめていた。大丈夫かな?
「アルバトスのフェルトン家は学者の家系でな、俺たちがガキの頃、あいつの祖父さんや親父さんが週に一、二回、街の子供たちを集めて勉強を教えてくれていたんだ。俺も、奴の祖父さんや親父さんに、いろんな事を教えてもらったよ」
「へぇ~」
「アルバトスとは、パーティーを組んでたんだ。俺もあいつも魔法剣士でな、あと、冒険者ギルドのゴムレスと、商人ギルドのローレンスも一緒だった」
おいおい、なんか知っている名前が出てきたぞ。
どういう事だとユリウスを見ると、小さく首を横に振った。
どうやらユリウスも知らなかったみたいだ。
アルバトスさん、なんで教えてくれないのかな。
この人は知っている人だ、くらい教えてくれてもいいのにね。
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