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第3章・冒険者デビュー
え? 冒険者?①
しおりを挟む翌日、魔法屋に行くために再び商都ビジードを訪れた私たちは、ついでにリュシーさんの様子を見に行く事にした。
リュシーさんとベルさんの二人と話をしてから、まだ二日しか経っていないけれど、ユリウスがリュシーさんの事を気にしているみたいだからね。
ユリウスってば、リュシーさんの事が大好きなんだよね。本当に可愛いなぁ~。
「おや、いらっしゃい」
「ユリウスさん、オリエさん、この間はありがとうねぇ」
リュシーさんのお店、スタイリッシュ・アーマーを訪れると、店にはガレアスさんとソフィーさんご夫婦が居た。
「もう戻られていたんですね」
「えぇ。翌日には戻りました。その……リュシーさんも、落ち着かれていたので。あなたたちには、いろいろとお世話になりました。わしとソフィーは、お言葉に甘えて、ゆっくりさせてもらいました」
「もっとゆっくりしてきても良かったのに」
そう言ったユリウスに、ガレアスさんもソフィーさんも首を横に振った。
二人とも、休みを貰える事よりも、リュシーさんのお店で働いている方が嬉しいみたい。
「あ、ユリウス? 来たの? 上がってきなよ。ガレアスさんたちは、お店をお願いねぇ~」
私たちが店に来た事に気付いたらしいリュシーさんが、声をかけてきて、私たちは二階のリビングへと向かう。
「あれ? なんか、いつもと感じが違いますね」
リュシーさんはいつも下ろすかふんわりとまとめている金色の髪を、きっちりとひとまとめにして結い上げ、体のラインがわかりやすい動きやすそうな恰好をしていた。
あと、何故かリビングに、大きな斧とかショートソードが置いてあるんだよね。
今日のリュシーさんは、冒険者みたいだ。
「リュシーさん、今日は、冒険者みたいだね!」
私の疑問は、サーチートがそのまま口にした。
リュシーさんは、そうだよと言って頷く。
「どういう事だ?」
「どうもこうも……ほら、二十日後だっけ? あのクソ王子が、ルリアルーク王だっっていう宣言をするらしいじゃない! あの茶番で選んだアーマーを着てさ!」
「そ、そうだね……」
「でさ、アタシの作った衣装は選定会で、見られる事もなしに燃やされたって事も、広まってるわけよ! しかも、見る価値もない出来だったって言われてるの! なんかムカついてさ! だから、店はしばらくガレアスさんたちに任せて、私は冒険者に戻る事にしたわけよ!」
「リュシーさん、冒険者、大丈夫なの? 危ないよ?」
心配したサーチートに、大丈夫だとリュシーさんは頷いた。
確か昔、魔物に襲われて死にかけていたガレアスさんを、冒険者だったリュシーさんが助けたんだったっけ?
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