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第3章・冒険者デビュー
ポイントと報酬と冒険者ランク
しおりを挟む「ユリウスさん、オリエさん、お待たせしました」
ゴブリンの耳と魔石が入った麻袋を持って、別室に消えたジルさんが戻って来たのは、十分くらいしてからだった。
「ゴブリンの耳ですが、七十二ありました。でも魔石が七十五ありまして……ゴブリンの耳の数に合わせて査定させていただきました。余りの魔石は、どうなさいますか? こちらで買取もできますし、お持ち帰りいただく事もできます」
「魔石って、持って帰ったら、どうしたらいいんだろう?」
「そうですね。魔力屋に売るというのが、一般的ですね」
「魔力屋?」
「はい。魔力屋は小さな魔石からも魔力を取り出して、主にコンロやオーブン用の魔石や魔結晶に加工しているんです。あとは特別な魔道具の作成や、武器に魔力を付与したりします」
「へぇ~」
そういや、アルバトスさんの家にあったコンロやオーブンにも、魔石や魔結晶がついてたっけ。
電気の替わりが魔力って事だね。
魔法屋さんってどんなところか気になったから、私は余った魔石は返してもらう事にした。
「それでは、ポイントの加算と、報酬のお渡しです。ゴブリンの討伐依頼は、三体で三ポイント、報酬が三百ルドとなっていますが、今回は討伐したゴブリンの後始末をした証拠である、ゴブリンの魔石も提出していただいていますので、三体討伐で五ポイントと五百ルドになります。七十二体の討伐で、百二十ポイントと一万二千ルドの報酬となりますが、ポイントの振り分けと報酬の割合は、どのようにされますか?」
おお、百二十ポイントと一万二千ルドの報酬かぁ~。
GランクからFランクに上がるためには、確か百ポイント必要だったんだよね。
ゴブリンはユリウスがほとんど一人で倒したようなものだし、ユリウスだけでも先にFランクに上がった方がいいよね。
私はゆっくりランクを上げればいいし……と思っていたんだけど、ユリウスはポイントを半々にしてほしいとジルさんに言った。
「ユリウス、先にFランクに上がってくれていいんだよ? 早く上に上がった方が、受けられる依頼も増えると思うし」
「いや、いいんだ。今日だけで半分以上ポイントを得たのだから、残りのポイントを獲得するのも、そんなに時間はかからないだろうし」
まぁ、確かにそうだと思う。
ネーデの森には一時間ちょっとしか居なかったと思うけど、ものすごい数のゴブリンが出て来たもんなぁ。
ゴブリンって、居るところにはたくさん居るんだね。
「お二人とも、早く上のランクになっていただけると、冒険者ギルドとしてもありがたいです。では、六十ポイントずつおつけしますね」
ジルさんは冒険者ギルドのカウンターに置いてある水晶に、私とユリウスのカードをかざして、何か操作をした。
あの水晶、魔道具か何かかな。
どういう仕組みなのかはわからないけど、この世界はいろいろと便利な道具があるなぁ。
「お待たせしました。カードをお返ししますね」
「はい、ありがとうございます」
返してもらったカードを見ると、Gと表示されている下に棒グラフみたいなのができていて、半分を少し超えていた。
GランクからFランクに上がるには百ポイント必要だから、六十ポイント加算されたっていう事なのかな。
ポイントだけで上のランクに上がっていけるのは、確かEまでだったはずだけど、後どのくらいポイントを貯めればいいかがわかるように、見える化されていると、やる気も出るよね。
「そしてこちらが、今回の報酬、一万二千ルドです。金貨でご用意しましたが、それで良かったですか?」
ジルさんはカウンターに金貨を十二枚並べ、言った。
一万二千ルドは、日本円にすると、だいたい十二万円くらいだ。
買い物する時には銀貨があった方が便利だろうから、二十枚だけ銀貨にしてもらって、ユリウスに金貨六枚を渡し、私は金貨四枚と銀貨二十枚を手に入れた。
昨日、低級ポーションを二十本と、中級ポーションを十本買取してもらったお金もあるから、結構お金持ちになってしまった。
まぁ、リュシーさんのところで注文した衣装を買うには、まだまだなんだけどね。
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