異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

文字の大きさ
上 下
231 / 332
第3章・冒険者デビュー

ポイントと報酬と冒険者ランク

しおりを挟む


「ユリウスさん、オリエさん、お待たせしました」

 ゴブリンの耳と魔石が入った麻袋を持って、別室に消えたジルさんが戻って来たのは、十分くらいしてからだった。

「ゴブリンの耳ですが、七十二ありました。でも魔石が七十五ありまして……ゴブリンの耳の数に合わせて査定させていただきました。余りの魔石は、どうなさいますか? こちらで買取もできますし、お持ち帰りいただく事もできます」

「魔石って、持って帰ったら、どうしたらいいんだろう?」

「そうですね。魔力屋に売るというのが、一般的ですね」

「魔力屋?」

「はい。魔力屋は小さな魔石からも魔力を取り出して、主にコンロやオーブン用の魔石や魔結晶に加工しているんです。あとは特別な魔道具の作成や、武器に魔力を付与したりします」

「へぇ~」

 そういや、アルバトスさんの家にあったコンロやオーブンにも、魔石や魔結晶がついてたっけ。
 電気の替わりが魔力って事だね。
 魔法屋さんってどんなところか気になったから、私は余った魔石は返してもらう事にした。

「それでは、ポイントの加算と、報酬のお渡しです。ゴブリンの討伐依頼は、三体で三ポイント、報酬が三百ルドとなっていますが、今回は討伐したゴブリンの後始末をした証拠である、ゴブリンの魔石も提出していただいていますので、三体討伐で五ポイントと五百ルドになります。七十二体の討伐で、百二十ポイントと一万二千ルドの報酬となりますが、ポイントの振り分けと報酬の割合は、どのようにされますか?」

 おお、百二十ポイントと一万二千ルドの報酬かぁ~。
 GランクからFランクに上がるためには、確か百ポイント必要だったんだよね。
 ゴブリンはユリウスがほとんど一人で倒したようなものだし、ユリウスだけでも先にFランクに上がった方がいいよね。
 私はゆっくりランクを上げればいいし……と思っていたんだけど、ユリウスはポイントを半々にしてほしいとジルさんに言った。

「ユリウス、先にFランクに上がってくれていいんだよ? 早く上に上がった方が、受けられる依頼も増えると思うし」

「いや、いいんだ。今日だけで半分以上ポイントを得たのだから、残りのポイントを獲得するのも、そんなに時間はかからないだろうし」

 まぁ、確かにそうだと思う。
 ネーデの森には一時間ちょっとしか居なかったと思うけど、ものすごい数のゴブリンが出て来たもんなぁ。
 ゴブリンって、居るところにはたくさん居るんだね。

「お二人とも、早く上のランクになっていただけると、冒険者ギルドとしてもありがたいです。では、六十ポイントずつおつけしますね」

 ジルさんは冒険者ギルドのカウンターに置いてある水晶に、私とユリウスのカードをかざして、何か操作をした。
 あの水晶、魔道具か何かかな。
 どういう仕組みなのかはわからないけど、この世界はいろいろと便利な道具があるなぁ。

「お待たせしました。カードをお返ししますね」

「はい、ありがとうございます」

 返してもらったカードを見ると、Gと表示されている下に棒グラフみたいなのができていて、半分を少し超えていた。
 GランクからFランクに上がるには百ポイント必要だから、六十ポイント加算されたっていう事なのかな。
 ポイントだけで上のランクに上がっていけるのは、確かEまでだったはずだけど、後どのくらいポイントを貯めればいいかがわかるように、見える化されていると、やる気も出るよね。

「そしてこちらが、今回の報酬、一万二千ルドです。金貨でご用意しましたが、それで良かったですか?」

 ジルさんはカウンターに金貨を十二枚並べ、言った。
 一万二千ルドは、日本円にすると、だいたい十二万円くらいだ。
 買い物する時には銀貨があった方が便利だろうから、二十枚だけ銀貨にしてもらって、ユリウスに金貨六枚を渡し、私は金貨四枚と銀貨二十枚を手に入れた。
 昨日、低級ポーションを二十本と、中級ポーションを十本買取してもらったお金もあるから、結構お金持ちになってしまった。
 まぁ、リュシーさんのところで注文した衣装を買うには、まだまだなんだけどね。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ
ファンタジー
 私は死んだ。  はずだったんだけど、 「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」  神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。  なんと幼女になっちゃいました。  まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!  エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか? *不定期更新になります *誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください! *ところどころほのぼのしてます( ^ω^ ) *小説家になろう様にも投稿させていただいています

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

森だった 確かに自宅近くで犬のお散歩してたのに。。ここ  どこーーーー

ポチ
ファンタジー
何か 私的には好きな場所だけど 安全が確保されてたらの話だよそれは 犬のお散歩してたはずなのに 何故か寝ていた。。おばちゃんはどうすれば良いのか。。 何だか10歳になったっぽいし あらら 初めて書くので拙いですがよろしくお願いします あと、こうだったら良いなー だらけなので、ご都合主義でしかありません。。

処理中です...