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第3章・冒険者デビュー

ホイホイ&キラー①

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 サーチートのアイデアはとても上手く行って、私たちはとても簡単にゴブリン討伐をする事ができた。
 まず、ゴブリンを発見すると、ユリウスが前に出て、ゴブリンの左耳をロングソードで斬り落とす。
 ユリウス、ものすごく上手にゴブリンの左耳だけを狙って斬り落とすんだよね。器用だなぁ。
 最近の彼の戦い方は、主に蹴る、殴る、踏んづけるって感じだったけれど、実は、剣の腕もいい。
 ロングソードを軽々と振るうユリウスはかっこよくて、改めて惚れ直した。

 ユリウスがゴブリンの左耳を斬り落とした後は、私の番だ。
 左耳を失ったゴブリンにバリアの呪文を唱え、結界の中に閉じ込める。
 この時、他にゴブリンが居なければ、次の段階である火魔法の呪文を唱えて、ゴブリンを灰にするんだけど、ゴブリンが複数現れた時は、結界の中にゴブリンを閉じ込めたまま放置して、ユリウスが耳を斬り落としたゴブリンを、順次結界の中に閉じ込めて、後からまとめて灰にする。

「オリエちゃん! ユリウスくん! すごいね! いっぱい倒せたね!」

 私とユリウスが続けて十匹ほどゴブリンを倒した時、自分のアイデアが見事に成功したサーチートは、大喜びだった。

「オリエちゃんとユリウスくんが頑張ってくれているから、ぼくもお手伝いするよ! ぼくはぼくのできる事を頑張る! 薬草や毒消し草の採集はぼくに任せて!」

 サーチートが小さな手で、小さな胸をどんと叩く。そして、

「じゃあ、ぼく、行ってくるね!」

 と言って、止める間もなく森の奥へと消えてしまった。

「あの子、大丈夫かなぁ?」

 自分のできる事でお手伝いをしようする、その気持ちはとても嬉しいんだけれど、初めて入った森の中で迷子になったり、何かに襲われたりしないか、とても心配だ。

「迷子になっても、オリエが召喚すればすぐに戻って来るだろうけど……」

「そうか! その手があったか!」

「でも確かに、何かに……ゴブリンにでも見つかったら、襲われるかもしれない。追いかけよう」

「うん!」

 サーチートの気持ちは嬉しいけれど、やっぱり心配だ。
 ユリウスと共にサーチートが消えていった方向へと足を進めると、向かう方向から、

「オリエちゃ~んっ! ユリウスく~んっ!」

 と、私たち二人を呼ぶ声が聞こえ、それがだんだんこちらに近づいてきた。

「オリエちゃ~んっ! た~す~け~て~!」

「え?」

 ガサガサと音はするけれど、小さなサーチートの姿はなかなか見えない。
 代わりに見えたのは、緑色の肌をした人影――ゴブリンだ!

「オリエちゃ~んっ! ユリウスく~ん! ぼく、どうしたらいいのぉ~!」

 何故なのかわからないけど、一人森の奥へと向かったサーチートは、大勢のゴブリンに追いかけられて駆け戻って来た。
 その数、多分、三十体以上――ちょっと、サーチート、一体どうしてこうなった?

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