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第3章・冒険者デビュー

サーチートのゴブリン討伐勉強会②

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「オリエ、ギルドで依頼を受けたからには、ちゃんと受けた依頼を遂行したってい証拠が必要なんだ」

「証拠?」

「そう、証拠。例えば、薬草採集なら薬草をギルドへ持ち込む。街や村での手伝い系の依頼なら、依頼者のサインが必要。ツノウサギの狩猟なら、狩ったツノウサギを持って帰って手渡すんだ。じゃあ、ゴブリン討伐はどうすると思う?」

 どうするんだろう? 素直にわからないと口にすると、ユリウスはとんでもない事を口にした。

「ゴブリン討伐の証拠は、ゴブリンの左耳を切り取ってギルドに提出するんだ」

「え?」

 ゴブリンの左耳を切り取って提出? それを想像して、ゾッとした。
 一回の依頼につき、三匹のゴブリンの左耳を切り取って提出か。
 五ポイントもらえるとしても、六十匹のゴブリンの耳を切り取らなければいけない事になる。

「あのね、オリエちゃん。ツノウサギはお肉を食べられるし、角は武器やアクセサリーの材料になるんだけど、ゴブリンは持って帰っても、何の役にも立たないんだ。でも、討伐依頼は、ちゃんと討伐したという証拠が必要となる。だから、左耳を切り取って提出しないといけないんだよ」

「そ、そうか……証拠って、必要だもんね」

 いくらたくさん倒したとしても、証拠がなければ代金は支払えないって事なんだろうな。
 元の世界で言うなら、領収証がなければ、経費として認められません的な感じだろうか。
 でも、耳を切り取るって、結構きついな。できるかなぁ。
 気持ち悪いし、怖いなぁ。

「あとね、ゴブリンは、死骸をそのままにしちゃうと、ゴブリンゾンビになっちゃったり、異臭や毒を発生させる事があるんだ。他にも、いろんな魔物が死骸を食べに寄ってきちゃうかもしれない。だから、ゴブリンは倒した後、後始末までする事が望ましいんだ。魔石もあれば報酬もポイントもアップっていうのは、ゴブリンを倒した後、後始末をちゃんとした事への報酬なんだよ」

「後始末って?」

「ゴブリンの死骸を燃やして灰にするんだ。そうしたら、ゴブリンの体の中にある魔石だけが残るんだ。それを持って帰ったら、報酬もポイントもアップになるんだよ」

 つまり五ポイントをもらうためのゴブリン討伐とは、倒して、左耳を切り取って、体を燃やして中の魔石を入手して、左耳と共に冒険者ギルドに提出をしなければいけないという事か。
 うわぁ、ゴブリン討伐、面倒くさいなぁ。
 思わずそう呟くと、サーチートは真面目な顔をして頷いた。

「そうだね。確かに面倒だと思う。でもね、ゴブリンはいろんな所で湧いて出てくる魔物なんだ。だから、駆除していかなきゃいけないんだよ」

 確かにいろんな所で湧いて出てくるっていうのなら、放っておいたらどんどん増えて、大変な事になっちゃうよね。
 サーチートの言う通り、ちゃんと駆除していかないと。

「わかった、明日、頑張るよ!」

「うん、頑張ろう! オリエちゃんはぼくがいれば最強だから、大丈夫だよ! 僕に任せて!」

 ドヤ顔のサーチートが小さな手を握りしめて、とん、と胸を叩いて言った。

 それから私たちは、明日のゴブリン討伐のため、早めに休む事にした。
 サーチートが居るからエッチできないって、ユリウスが唇を尖らせていたけど、サーチートが二つあるベッドのうちの一つで眠ってしまったから、私とユリウスはもう一つのベッドで抱きしめ合って眠った。
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