198 / 325
第2章・のんびりまったりスローライフ?
謎のオネエ系男子
しおりを挟む買い物を済ませ、アルバトスさんやシルヴィーク村の人たちにお土産を買って、ビジードの街を歩き回っていると、夕方になった。
今日はどこでごはんを食べようかとキョロキョロしていると、
「ねぇちょっと、アンタ、その目、髪、本物なの?」
と、ユリウスの肩を乱暴に掴んだ男の人がいた。
「なんだよ、あんた……」
この世界で一番目立つ容姿のせいか、ユリウスはいろんな人からじろじろと見られてはいたけれど、今みたいに乱暴に聞いてくる人はいなかった。
ユリウスは男の人を睨みつけると、肩にかけられた手を振り払った。
「あぁ、ごめん、怒らないでよ! いきなり肩を掴んだアタシが悪かった! ごめん! ただ、あまりにも理想が服着て歩いていたもんだから、興奮しちゃってさ!」
男の人は両手を合わせて謝ると、にっこりと笑う。
金髪に深緑の瞳、身長はユリウスと同じくらいで、体つきはユリウスよりも逞しい感じだった。
ユリウスが細マッチョなら、この男の人は少しむっちりしている感じかな。
しかも一人称がアタシって、まるでアニメキャラみたいな美形が出て来たなぁと思う。
「は? 何だよ、それ。理想がどうのって……意味がわからない」
「あぁ、怒らないでよ、アタシが悪かったってば! あのね、ちょっとでいいの! お願いしたい事があるんだ! アタシのお願い、聞いてくんないかなぁ?」
「は? 何言ってんだ、あんた。オリエ、行こう」
ユリウスはそう言って私の肩に手を回した。
多分ユリウスは、面倒事は嫌だって思っているんだよね。
だけど謎の美形オネエ系男子は必死でユリウスを引き留めようとしていて、私もサーチートも気になって仕方がなかった。
「ねぇ、お願い! あ、そうだ。アタシのとっておきのお酒、飲ませてあげる! それに、美味しい家庭料理、ご馳走してあげるからぁ!」
謎のオネエ系男子は、ものすごく必死だった。
でも、ユリウスは断るだろうなぁと思った。
だって、ユリウスは絶対にこの謎のオネエ系男子を、面倒な奴って思っているだろうし、ユリウスはお酒を飲めるけど飲まないので、とっておきのお酒とごはんくらいじゃ、釣れるはずがないのだ。
だけど、釣れる者も居るのは確かで……。
「とっておきのお酒かぁ~。どんなのだろう~」
私が抱っこしていたサーチートが、よだれを垂らしていた。
この子、本当にお酒好きだなぁ。ちょっと……いや、かなり心配だよ。
「ほらほら、この……何かよくわかんない子が、アタシの持っているとっておきのお酒が気になってるよ! アンタも、気になるだろ? そこのお嬢さん、アンタだって、気になっちゃうんじゃない?」
「えっと……」
気にならないわけではない。
だけどそれはお酒ではなく、今必死にユリウスを引き留めようとしている、この謎のオネエ系男子の存在だ。
どんな頼み事なのかは知らないけれど、多分、ものすごく困ってように見えるんだよね。
だから、せめて話を聞いてあげるくらい、してもいいんじゃないかなぁ、と思う。
私がそう言うと、ユリウスは渋々だったけれど、仕方ないな、と言って頷いてくれた。
「え? ここって……?」
謎のオネエ系男子が、ユリウスの気が変わらないうちにと、大急ぎで私たちを案内したのは、昼間訪れた、スタイリッシュ・アーマーという店だった。
「ん? 知ってるの?」
「はい。昼間、来ました」
「あぁ、そうかぁ~。良く見たら、お兄さんの履いているズボンは、うちの物だよね。それに、腰に下げてるロングソードも、ガレアスさんの作った物だ。気づかなかったよ」
「え? という事は……」
「名乗るのが遅れちゃったね。アタシの名前は、リュシオン。みんなには、リュシーって呼ばれてる。このスタイリッシュ・アーマーの店主だよ」
16
お気に入りに追加
307
あなたにおすすめの小説
裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
魔神として転生した~身にかかる火の粉は容赦なく叩き潰す~
あめり
ファンタジー
ある日、相沢智司(アイザワサトシ)は自らに秘められていた力を開放し、魔神として異世界へ転生を果たすことになった。強大な力で大抵の願望は成就させることが可能だ。
彼が望んだものは……順風満帆な学園生活を送りたいというもの。15歳であり、これから高校に入る予定であった彼にとっては至極自然な願望だった。平凡過ぎるが。
だが、彼の考えとは裏腹に異世界の各組織は魔神討伐としての牙を剥き出しにしていた。身にかかる火の粉は、自分自身で払わなければならない。智司の望む、楽しい学園生活を脅かす存在はどんな者であろうと容赦はしない!
強大過ぎる力の使い方をある意味で間違えている転生魔神、相沢智司。その能力に魅了された女性陣や仲間たちとの交流を大切にし、また、住処を襲う輩は排除しつつ、人間世界へ繰り出します!
※番外編の「地球帰還の魔神~地球へと帰った智司くんはそこでも自由に楽しみます~」というのも書いています。よろしければそちらもお楽しみください。本編60話くらいまでのネタバレがあるかも。
私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
婚約破棄されたので、論破して旅に出させて頂きます!
桜アリス
ファンタジー
婚約破棄された公爵令嬢。
令嬢の名はローザリン・ダリア・フォールトア。
婚約破棄をした男は、この国の第一王子である、アレクサンドル・ピアニー・サラティア。
なんでも好きな人ができ、その人を私がいじめたのだという。
はぁ?何をふざけたことをおっしゃられますの?
たたき潰してさしあげますわ!
そして、その後は冒険者になっていろんな国へ旅に出させて頂きます!
※恋愛要素、ざまぁ?、冒険要素あります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
文章力が、無いのでくどくて、おかしいところが多いかもしれません( ̄▽ ̄;)
ご注意ください。m(_ _)m
捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる