異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第2章・のんびりまったりスローライフ?

大金を手に入れた!②

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「あの、私、自分でポーションを作ったりするんですけど、そういうのも買い取りしてもらえるんでしょうか?」

「あぁ、大丈夫だ。ただし、鑑定してその出来での査定になる」

 ゴムレスさんが、チラリとジルさんへと視線を向けた。
 ジルさんは鑑定の魔法が使えるらしく、持ち込まれた素材やポーションは、ジルさんが鑑定しているのだそうだ。

「はい、大丈夫です。よろしくお願いします!」

 ポーションを入れた小瓶をとりあえず十本ローテーブルに並べると、ジルさんはその内の一本を手に取り、「鑑定」と小さく唱えた。
 ジルさんの青い瞳が色を変え、金色へと変わる。
 鑑定魔法を使うと、瞳の色が金色に変わるみたいだ。

「え? ギルドマスター、このポーション、上級です!」

「何だと!」

 ジルさんの言葉を聞いて、驚くゴムレスさん。
 え? どういう事だ? と私は首を傾げた。
 上級ポーションは、シルヴィーク村に置いてきたはずなんだけどなぁ。

「本当ですよ。しかも、特級寄りの、かなり良くできたものですよ! オリエさん、すごいです!」

 鑑定中の、金色に輝くキラキラした瞳で、ジルさんが私を興奮気味に見つめた。
 特級寄りの上級ポーションだなんて、本当なのかな?

「本当みたいだよ。上級ポーション(+)になってる」

「え?」

 隣に座っているユリウスを見ると、彼の金色の瞳が、いつもよりも輝いていた。
 これって、ジルさんが使っていた、鑑定魔法だよね。
 ユリウスも使えるの? というか、私だって使えるのでは?
 だって私のステータス、全ての魔法が使えるって書いてあるわけだし。

「鑑定」

 小さく唱えて持ち込んだポーションを見てみると、ユリウスの言う通り、上級ポーション(+)と表示されていた。
 どうやら本当に上級ポーションらしく、(+)というのが、特級寄りという事らしい。
 じゃあ、私がシルヴィーク村に置いてきたポーションって、特級って事になるのかな。
 戻ったら確かめてみよう。

「あの、これ、買い取りしてもらえます?」

「あぁ、ぜひ買い取らせてもらおう。ここは商都だから、もちろんいろんな店でポーションを置いているが、ギルドでも販売しているんだ。質の良い物なら、大歓迎だぜ」

 ゴムレスさんはそう言って笑うと、この上級ポーション(+)を、一本金貨九枚、九千ルドでどうだと言った。
 だいたいポーションの相場は、下級ポーションが三百ルド、中級ポーションが千ルド、そして上級ポーションが一万ルドなのだそうだ。
 ギルドでこの値段で販売するために、少し安めで仕入れをしたいという事らしい。
 私はそれで構わないと頷いた。

「お嬢ちゃんは、薬師なのかい?」

 違います、と私は首を横に振った。
 ポーション作りは、やり始めたら楽しかったので、薬草を集めてはコツコツと作り貯めていたけれど、趣味程度のものだ。

「あのね、おじさん! オリエちゃんはね、んぐぐっ」

 多分聖女とでも言おうとしたのだろう、サーチートは腕を伸ばしたユリウスに捕まえられて、口を塞がれた。

「趣味でこれだけのものが作れるのなら、立派なもんだ。また作ったら持って来てくれ。できれば、下級か中級のものを多めに作ってもらいたい。あと、できるのなら解毒ポーションもあるとありがたいな」

 上級ポーションの相場は一万ルド……高くて普通の冒険者では手が出しづらいらしい。
 だから、下級と中級のポーションを多めに揃えておきたいのだとゴムレスさんは言った。
 薬草も、解毒ポーションの材料になる薬草も、シルヴィーク村を囲う森の中にたくさん生えている。
 ポーション作りは好きだから、たくさん作って持ち込みさせてもらう事にしよう。


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