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第2章・のんびりまったりスローライフ?

村長の話

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 スモル村の村長からの話は、子供たちや宿屋の女将さんのから聞いた事と、大差なかった。
 ゴヤの森の洞窟に、熊の魔物が棲みつくようになった事。
 かなり強い魔物で、森の中に居る他の動物にも影響を与え、一部の動物が魔物化し始めている事。
 最近、森を出て街道にまで現れるようになり、商都ビジードとスモル村を行き来する人々に、被害が出ている事。
 そして、魔物退治を冒険者に依頼をしたが、引き受けてもらえない事――。

「このスモル村は、王都オブリールと商都ビジードを繋ぐ街道沿いにあるため、冒険者がよく立ち寄る村です。馴染みの冒険者も大勢います。ですが、誰に頼んでも、引き受けてくれませんでした。中には一度は引き受けてくれた者も居るのですが、様子を見に行って戻ってきたら、断ってくるのです」

 冒険者が一度引き受けた依頼を断ると言うことは、ゴヤの森にいる熊の魔物は、相当厄介なものという事だろうか。
 それを尋ねると、村長さんは、どうやらそのようです、と頷いた。

「そんな凶暴な魔物なら、ギルドの方に依頼は入れてはどうだ? そうすれば王都オブリールや商都ビジードのギルドから、ランクの高い冒険者が派遣されるだろうし、オブルリヒト王宮から兵士を出す事もできるのでは?」

「それもしてみました。だけど今、多くの冒険者たちは、今世に蘇ったルリアルーク王と呼ばれている、ジュニアス王子の元に駆けつけるために、全体的にギルドの依頼を受けなくなっているらしいのです。だから、ギルドに出した依頼も、いつ引き受けてもらえるかわからないという状態で……。オブルリヒトの王宮の方は、二ヶ月ほど前に何か事件があったらしく、そちらに兵を出しているから、こちらにまで手が回らないという事でした」

「あぁー、そう、かぁー……」

 ユリウスは、深いため息をついた。
 二ヶ月ほど前にあった事件というのは、間違いなく私たちがオブルリヒト王宮から脱出した時の事だ。
 そうだよね、二ヶ月経った今も、結界の外にはオブルリヒトの兵士たちが見張っているもんなぁ。
 兵士たちにシルヴィーク村を見張らせるのを止めさせて、別のところに回せばいいのに。
 冒険者が依頼を受けないのも、オブルリヒトの兵士たちをゴヤの森へ派遣しないのも、ジュニアスが原因か……あいつ、本当に嫌な奴だなぁ。

「そうして困っていた時、この村にあなた方が現れた……宿屋のコズモさんから、かなりの腕のはずだと聞いています」

 村長さんがそう言うと、私たちを村長さんの家まで案内してくれた、宿屋の旦那さん――コズモさんが頷いた。

「俺は、いろんな冒険者を見てきました。冒険者たちが持ち込んでくる獲物も、ね。解体した獲物は、外傷がほぼない綺麗なものばかりでした。つまり、どれもほぼ一撃で倒しているという事です。こちらの方は、かなりの腕をお持ちだと思います」

「コズモさんの目は、私も信頼しています。だからユリウスさん、どうか、ゴヤの森の魔物を退治してくれませんか? お礼は、もちろんさせていただきますから」

 お礼、と村長さんが言うと、ジャンくんとモネちゃんが少しソワソワとしだした。
 ユリウスはちらりとジャンくんたちに視線を向けると、ふう、と息をついて、頷いた。

「わかりました。俺で退治できるかどうかはわかりませんが、やってみます」

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