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第2章・のんびりまったりスローライフ?
出発②
しおりを挟む街道沿いは、相変わらずオブルリヒトの兵士が毎日交代で見張っていた。ジュニアスも、結構しつこいよね。
なので、結界を出て外に向かうには、やはり森を突っ切る事になる。
どこから出るのが一番見つからないだろうと考えた結果、シルヴィーク村とアルバトスさんの家の中間あたりから出る事になって、そこが待ち合わせ場所になった。
モネちゃんとジャンくん、そしてモネちゃんのお父さんのマルコルさんと、ジャンくんのお父さんであるドルスさんは、待ち合わせ場所に先に来ていた。
「モネちゃん、ジャンくん、結構な大荷物だね!」
二人はぱんぱんに膨れ上がった、大きなリュックを背負っていた。
中には今後の資金となる、ハロン商店が買い取った、ユリウスが仕留めた獣や魔物の素材が入っているんだろうけど……。
「それ、アイテムバッグだろ? それなのに、そんなにいっぱいになるのか?」
大荷物のモネちゃんたちに驚いたユリウスが聞いたけど、私も驚いていた。
商人であるマルコルさんが使うバッグは、特殊な鞄だと聞いていたのに、あんなにいっぱいになるなんて。
「そちらは、身軽でいいですねぇ」
モネちゃんは私たちを見ると、ため息をついた。
確かに私たちは、持っている荷物は各自バッグが一つだけの、身軽な恰好だ。
「アイテムバッグと言っても、これは魔力がない者でも使える既製品ですからね。そちらのように、自分が持つ魔力に比例した保管能力はないんですよ。それでも俺のこの鞄は、三十のアイテムを入れられるようになっている、商人御用達の優れものなんですよ」
マイコルさんの説明を聞いて、モネちゃんとジャンくんが背負っている、ぱんぱんに膨れ上がったリュックサックの中には、六十のアイテムが入っているというわけかと、ざっと計算をした。
そうか、そんなに売り物が入っているのか……まぁ、この二か月の間、ユリウスは森に出るたびに何匹か狩ってくるから、数も増えるよね。
マルコルさん、途中から買い取りたくても買い取る資金がないって言ってたもんなぁ。
だから、ハロン商会に無料で提供したものもあるけれど、途中からは私が解体して、自分で素材を取るようにしてたんだよねぇ。
この二か月……私もいろんな事ができるようになったなぁ。
狩った獣や魔物の解体とか、野外での料理とか、魔法を使った便利な生活とか……元の世界のアニメや漫画みたいな娯楽なないけど、この世界での生活が楽しくて仕方がない。
「モネちゃん、ジャンくん、私の鞄の中に、そのリュック入れてあげようか? まだ空きがあるから、入ると思うよ」
私やユリウスの鞄は、マジックアイテムバッグだ。
特殊な魔法、マジックバッグの魔法をかけてあるので、さっきマルコルさんが説明してくれたように、持っている魔力に比例した保管能力がある。
どのくらいあるかというと……サーチートで五、ユリウスで五十、私の場合は無制限の保管能力があるんだけど……これは内緒にしておこう。
「え? いいの? じゃあ……」
「こら、モネ!」
モネちゃんとジャンくんは、瞳を輝かせて背負っていたリュックを降ろそうとしたけれど、マルコルさんに怒鳴られて震え上がった。
「オリエさん、こいつらを甘やかさんでください! モネ! お前は俺の代わりに仕入れに行くんだぞ! 遊びに行くんじゃないんだ! お前が背負っている荷物は、うちの大事な商品だ! そのリュックは、俺の商人としてのプライドそのものだ! 遊びに行くつもりなら、今すぐ俺と代われ!」
「ジャン、お前もそうだ! お前はモネちゃんの手伝いで行くんだ! 遊びのつもりなら、俺が行く!」
モネちゃんとジャンくんは、まだ村から出てもいないのに、それぞれのお父さんに怒られて、ぐったりしながらわかりましたと何度も頷いた。
そして私とユリウスは、モネちゃんとジャンくんを絶対に甘やかさないようにと、何度も何度も念を押されたのだった。
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