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第1章・異世界転移と異世界転生

ユリウスのお披露目①

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「ねぇ、ユリウス……もしかして、なんだけど、昨日より成長した?」

 朝ごはんを食べる前に気付いたんだけど、ユリウスの体は昨日よりも少し大きくなっているように見えた。
 多分、二センチか三センチは大きくなっているような気がする。
 だって、昨日着ていたシャツやズボンが、ピチピチになっていたのだ。

「成長、したね。でも、もう落ち着いたと思う。心配をかけて悪かったね。あと、こんな恰好でごめん。手持ちの服は、全部こんな感じなんだ」

「ううん、大丈夫だよ。私は、ユリウスが元気になったのなら、それでいいから」

 ユリウスが元気になったのは、本当だと思う。
 昨日の朝とは比べ物にならないくらい、今日の彼は食欲旺盛だったからだ。
 良く食べるっていう事は、元気な証拠だと私は思っている。

「服の事なんだけどね」

「何だい?」

「ユリアナの時、大き目の服……男物ばかり着ていたのは、いつ体が変わっても大丈夫なようにしていたの?」

 私の問いに、そうだよ、とユリウスは頷いた。

「考えてみてごらんよ。女物の服を着ていて、突然体が変わったら、大変だと思わないか?」

 確かにそうかもしれない……私は想像してしまい、思わず吹き出してしまった。

「笑いごとじゃないんだよ、オリエ。そんなに簡単にあの人が死ぬはずはないとは思っていたけれど、もしもの事があるからね。だから、ドレスや着飾る事は避けていたんだ」

 そう言えば、ドレスは着ない、着飾る事は好きではない、みたいな事を、以前言っていたよね。
 あの時は、着飾ったら美人だろうな、もったいないなぁ、なんて事を思っていたけど、こんな理由があったなんて、夢にも思わなかった。

「失礼しまーす、ユリウス様、服をお持ちしましたー」

 モネちゃんがユリウスの服を持ってきたのは、朝食の片付けを終えた頃だった。

「助かったよ、モネ。ありがとう」

「いいえ、どういたしまして」

 今の体に合った服へと着替えたユリウスを見て、私はやっぱり彼はカッコいいなぁなんて思っていた。
 無造作に髪を結んだ彼は、

「髪も切らなきゃなぁ」

 と、小さく呟く。
 ユリアナはストレートの髪を背中の真ん中あたりまで長くしていたから、今のユリウスは、アニメの美形キャラのような銀髪の長髪だ。
 このままでもいいんじゃないかと思ったけれど、ユリウスは切る気満々のようだった。
 まぁ、髪を短くしてもカッコいいだろうけど。

「さて、顔を見せに行くかぁ」

「うん。みんな心配してると思うよ」

「そうだね、たくさん心配しているだろうな……。でも今度は、驚かせてしまうね」

 苦笑するユリウスに、そうかもね、と私も頷いた。
 なんてったってユリアナ王女が、男の人になっちゃったんだもんね。
 みんなびっくりするんだろうなぁ。

「ジャンくんとモネちゃんは、ユリウスの事、知っていたの?」

 私が尋ねると、ジャンくんとモネちゃんは頷いた。
 二人とも、お父さんから聞いていたらしい。
 ジャンくんのお父さんは、このシルヴィーク村の村長だし、モネちゃんのお父さんは、冒険者登録もできるハロン商店の経営者だ。
 このシルヴィーク村でユリウスを育てるために、アルバトスさんが協力を求めたのだろう。

「ユリウス様の事は、うちやモネのところの他は、一部の大人だけが知っているらしいです。でも、ほとんどの人が知らないだろうから……すごく驚くと思います……」

「男は号泣、女は黄色い声を上げる光景が目に浮かぶわ」

 ジャンくんとモネちゃんは、そう言うと苦笑した。
 確かに、美人のユリアナ王女が消えて、こんなにカッコいいユリウスが現れたら、男の子は泣いちゃうし、女の子は大騒ぎだろうね。
 ユリウス、モテるんだろうなぁ。
 そんな事を思いながら彼を見上げると、ユリウスは少し疲れたような顔で、ふう、とため息をついた。

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