61 / 332
第1章・異世界転移と異世界転生
前向きに、前向きに②
しおりを挟む
「オリエ様、おはようございます。アニーです」
ノック音の後、アニーさんの声が聞こえ、私はドアへと目を向けた。
「オリエ様、失礼しますね。朝食は食べられそうですか?」
「アニーさんっ!」
配膳ワゴンを押して、アニーさんが部屋に入って来る。
私はベッドを降りて、アニーさんへと駆け寄った。
アニーさんは私の格好を見ると、苦笑する。
「オリエ様、まだそんな恰好をしているのですか?」
「えへへ、ごめんなさい」
私はまだ寝衣のままで、しかも、アニーさんが来るまでは、ベッドでごろごろもしていた。
アニーさんは早起きをしてごはんを作って、忙しく働いていたのに、だ。
「オリエ様、昨日は助けていただき、ありがとうございました」
アニーさんはぺこりとお辞儀をして、私にお礼を言った。
私は何の事だろうと少し考えて、ジュンがナディア様の部屋の前で暴れた時の事だと思い出す。
「アニーさん……あのジュンって人のああいうの、良くある事なんですか?」
「いえ、今まではそうでもなかったのですが……。昨日の事で、今後は気を付けなければいけないと、改めて思いました……」
今までは、大人しいナディア様を睨んだり、大声で悪口を言ったり、ジュニアスとの仲を見せつけたり、という事が主だったらしい。
ナディア様もアニーさんも、ジュンが明らかにナディア様に敵意を持っていたのを、感じ取っていたのだと言う。
だけど、まさか直接手を下そうとする事はないだろうと思っていたらしい。
「あの方は何をするかわからない……本当に、気を付けます」
「うん、そうした方がいいと思う。ところで……」
ナディア様は大丈夫だったかと問うと、アニーさんは少し困ったような表情で私を見つめたが、こくりと小さく頷いた。
ナディア様は軽めの食事を終えて、今はお眠りになっているらしい。
「あのジュンという人が、オリエさんの事も狙っているようだと、ナディア様にお伝えしたのです。そうしたら、とても心配されて……。食事に毒でも入れられたら大変だからと……」
「ありがとう、ナディア様、アニーさん……」
私は、ナディア様とアニーさんの心遣いに感謝した。
それからアニーさんは、私が食事を終えると、また昼に来るからと言って、ナディア様の元へと戻り、私は今の自分にできる事をしようと前向きな気持ちになって、ワードローブに入っている服の中で、一番動きやすそうなシンプルなワンピースに着替え、部屋を出た。
ノック音の後、アニーさんの声が聞こえ、私はドアへと目を向けた。
「オリエ様、失礼しますね。朝食は食べられそうですか?」
「アニーさんっ!」
配膳ワゴンを押して、アニーさんが部屋に入って来る。
私はベッドを降りて、アニーさんへと駆け寄った。
アニーさんは私の格好を見ると、苦笑する。
「オリエ様、まだそんな恰好をしているのですか?」
「えへへ、ごめんなさい」
私はまだ寝衣のままで、しかも、アニーさんが来るまでは、ベッドでごろごろもしていた。
アニーさんは早起きをしてごはんを作って、忙しく働いていたのに、だ。
「オリエ様、昨日は助けていただき、ありがとうございました」
アニーさんはぺこりとお辞儀をして、私にお礼を言った。
私は何の事だろうと少し考えて、ジュンがナディア様の部屋の前で暴れた時の事だと思い出す。
「アニーさん……あのジュンって人のああいうの、良くある事なんですか?」
「いえ、今まではそうでもなかったのですが……。昨日の事で、今後は気を付けなければいけないと、改めて思いました……」
今までは、大人しいナディア様を睨んだり、大声で悪口を言ったり、ジュニアスとの仲を見せつけたり、という事が主だったらしい。
ナディア様もアニーさんも、ジュンが明らかにナディア様に敵意を持っていたのを、感じ取っていたのだと言う。
だけど、まさか直接手を下そうとする事はないだろうと思っていたらしい。
「あの方は何をするかわからない……本当に、気を付けます」
「うん、そうした方がいいと思う。ところで……」
ナディア様は大丈夫だったかと問うと、アニーさんは少し困ったような表情で私を見つめたが、こくりと小さく頷いた。
ナディア様は軽めの食事を終えて、今はお眠りになっているらしい。
「あのジュンという人が、オリエさんの事も狙っているようだと、ナディア様にお伝えしたのです。そうしたら、とても心配されて……。食事に毒でも入れられたら大変だからと……」
「ありがとう、ナディア様、アニーさん……」
私は、ナディア様とアニーさんの心遣いに感謝した。
それからアニーさんは、私が食事を終えると、また昼に来るからと言って、ナディア様の元へと戻り、私は今の自分にできる事をしようと前向きな気持ちになって、ワードローブに入っている服の中で、一番動きやすそうなシンプルなワンピースに着替え、部屋を出た。
66
お気に入りに追加
394
あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。

神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました
土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。
神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。
追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。
居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。
小説家になろうでも公開しています。
2025年1月18日、内容を一部修正しました。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる