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第1章・異世界転移と異世界転生
ナディア様①
しおりを挟む食事が終わると、アニーさんは部屋にあったワードローブの中を確認して、私に服を選んでくれた。
これから人に会うのだから、その格好では失礼にあたるというのが、彼女の言い分で、今私が着ている服は、寝衣のような物だったらしい。
体を締め付けない、ゆったりとしたデザインだったので、楽でいいなぁと思っていたのだけれど、寝衣というなら仕方がないと、私はアニーさんが選んでくれた服へと着替えた。
アニーさんが選んでくれた服は、水色のドレスのようなワンピースだった。
細かいレースがたくさんついていて、可愛すぎて私には無理って思ったけれど、鏡を見ると、今の私には良く似合っていた。
「では、参りましょう」
「はい」
右も左もわからないので、素直にアニーさんについていく。
これから会うのが誰なのかはわからないけど、アニーさんはご飯をくれたので、いい人という事にした。
「アニー様、この者の外出は控えさせるようにと、ノートン様より言われております!」
部屋から出ると、部屋の外には兵士が二人いた。
彼らは森の中で私を殺そうとしていた兵士のうちの二人で、私は思わず身構える。
だが彼らは私を見ると、「えっ! お、お前っ」と言って驚き、頬を染めた。
何なんだろう? 以前殺そうとした私が王宮に居るから、気不味いのか。
それとも、アニーさんの可愛らしさに照れているのか。
「この方にお会いしたいと、ナディア様が仰せなのです。あなた方は、ナディア様にここまで来いと言うおつもりですか?」
アニーさんは兵士たちに、ぴしゃりと言い放つ。
うぉ、アニーさん、カッコいい!
兵士たちは何も言い返す事ができないまま、二人して俯いてしまう。
「では、オリエ様、行きましょう」
「はいっ!」
歩き始めたアニーさんについて、私も歩き出す。
いやぁ、アニーさんって、しっかりした人だなぁ。
王宮の侍女さんって、みんなこんなにしっかりしているのだろうか。
「オリエ様、こちらですわ」
やがて、アニーさんはある部屋の前で足を止めた。
「今からオリエ様が会われる方は、私にとって命よりも大切な方なのです。もしもあの方に危害を加えようものなら、あなたが何者だとしても許しませんので、くれぐれも失礼のないように、お願いいたします」
「わ、わかりましたっ……」
アニーさんが、命よりも大切だと思っている人か。
私が頷くと、それを確認したアニーさんは、静かにドアをノックした。
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