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第1章・異世界転移と異世界転生
いろいろチャレンジ!②
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「あ、これ、薬草じゃない? こっちは、毒消し草?」
昨日の夜、サーチートに見せてもらった草と同じような草を見つけた私は、ユーリに聞いてみた。
「うん、そうだよ。よく知ってるね」
「昨日、サーチートが、私に教えてくれたの。これ、摘んで帰ってもいいかな。ポーションとかも作ってみたいなぁって思ってるんだけど……」
「いいんじゃないかな。家にいろいろと道具があるから、作ってみたらいいよ」
「ありがとう」
それからユーリに手伝ってもらって、私は近くに生えていた薬草や毒消し草を集めた。
「あのハリネズミくん、勉強好きだね。君も、だけど」
「いろいろと、試してみたいんだよね。できる事を、増やしたい」
実は、ちょっとゲーム感覚で、楽しんでいるところもあるんだけど、やっぱりユーリやアルバトスさんの呪いの毒を消してあげたい気持ちが強い。
本当かどうかは謎だけど、ステータスが大聖女の私が作ったポーションなら、通常よりも効果があるかもしれないし。
「あのね、ユーリ。サーチートはアルバトスさんから、魔法の事も薬草の事も教えてもらっていてね、私はそれをサーチートから教えてもらったんだけど……まだ魔法初心者だし、上手くできるとは全然思っていないんだけど……異常回復呪文、試させてくれないかな……」
私がそう言うと、ユーリは苦笑して、「気にしなくていいのに」と言った。
だけどその後、
「オリエは、優しいね」
と言って、つけていた手袋を取り、青紫の痣に覆われた腕を、私へと差し出してくれる。
「ありがとう」
お礼を言って、私はユーリの腕に、そっと手を触れ握りしめた。
異常回復呪文は、リカバー。
元に戻れと願いながら、その呪文を唱える。
すると頭の中に、めちゃくちゃにもつれた糸のような物のイメージが広がった。
何なの、これ。
驚いて、私は思わず握っていたユーリの手を放してしまった。
「オリエ、どうかした?」
心配そうな声がかかる。
私は首を横に振り、何でもないと言って、もう一度ユーリの腕に手を伸ばす。
もう一度リカバーを唱えると、頭の中にまたもつれた糸のような物イメージが広がった。
解毒の邪魔をしているのが呪いなのだとしたら、あのもつれた糸が呪いという事なのだろうか。
「オリエ、オリエ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「何かあったか?」
私はユーリに、リカバーを唱えると、もつれた糸のような物が見える事を伝えた。
そして、これが呪いなのではないかという事も。
「あの糸を、切るか、もしくは解く事ができたら、解毒できるんじゃないかって思ったんだけど……」
「なるほど」
「ユーリ、私、やってみるよ」
私はもう一度リカバーを唱えようとしたんだけど、ユーリに止められた。
「試すの、家に帰ってからにしないか? 今の話、伯父上にも話した方がいい……」
ユーリの言う事は、もっともな事だった。
私は摘んだ薬草や毒消し草を抱えると、ユーリと共に家へと足を向けた。
昨日の夜、サーチートに見せてもらった草と同じような草を見つけた私は、ユーリに聞いてみた。
「うん、そうだよ。よく知ってるね」
「昨日、サーチートが、私に教えてくれたの。これ、摘んで帰ってもいいかな。ポーションとかも作ってみたいなぁって思ってるんだけど……」
「いいんじゃないかな。家にいろいろと道具があるから、作ってみたらいいよ」
「ありがとう」
それからユーリに手伝ってもらって、私は近くに生えていた薬草や毒消し草を集めた。
「あのハリネズミくん、勉強好きだね。君も、だけど」
「いろいろと、試してみたいんだよね。できる事を、増やしたい」
実は、ちょっとゲーム感覚で、楽しんでいるところもあるんだけど、やっぱりユーリやアルバトスさんの呪いの毒を消してあげたい気持ちが強い。
本当かどうかは謎だけど、ステータスが大聖女の私が作ったポーションなら、通常よりも効果があるかもしれないし。
「あのね、ユーリ。サーチートはアルバトスさんから、魔法の事も薬草の事も教えてもらっていてね、私はそれをサーチートから教えてもらったんだけど……まだ魔法初心者だし、上手くできるとは全然思っていないんだけど……異常回復呪文、試させてくれないかな……」
私がそう言うと、ユーリは苦笑して、「気にしなくていいのに」と言った。
だけどその後、
「オリエは、優しいね」
と言って、つけていた手袋を取り、青紫の痣に覆われた腕を、私へと差し出してくれる。
「ありがとう」
お礼を言って、私はユーリの腕に、そっと手を触れ握りしめた。
異常回復呪文は、リカバー。
元に戻れと願いながら、その呪文を唱える。
すると頭の中に、めちゃくちゃにもつれた糸のような物のイメージが広がった。
何なの、これ。
驚いて、私は思わず握っていたユーリの手を放してしまった。
「オリエ、どうかした?」
心配そうな声がかかる。
私は首を横に振り、何でもないと言って、もう一度ユーリの腕に手を伸ばす。
もう一度リカバーを唱えると、頭の中にまたもつれた糸のような物イメージが広がった。
解毒の邪魔をしているのが呪いなのだとしたら、あのもつれた糸が呪いという事なのだろうか。
「オリエ、オリエ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「何かあったか?」
私はユーリに、リカバーを唱えると、もつれた糸のような物が見える事を伝えた。
そして、これが呪いなのではないかという事も。
「あの糸を、切るか、もしくは解く事ができたら、解毒できるんじゃないかって思ったんだけど……」
「なるほど」
「ユーリ、私、やってみるよ」
私はもう一度リカバーを唱えようとしたんだけど、ユーリに止められた。
「試すの、家に帰ってからにしないか? 今の話、伯父上にも話した方がいい……」
ユーリの言う事は、もっともな事だった。
私は摘んだ薬草や毒消し草を抱えると、ユーリと共に家へと足を向けた。
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