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第1章・異世界転移と異世界転生

聖女と、謎のハリネズミ②

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「えっと、スマホって、何?」

 やっぱりわかんないよね。ユリアナ王女の問いに、私は苦笑した。

「えぇと、スマホというのは、私が居た世界で使われていた、とても便利な道具です。それを使って、そばに居ない相手と話したり、調べ物なんかも簡単にできるんです」

 私がそう説明すると、ユリアナ王女は、「便利だね」と感心したものの、サーチートを見てまた首を傾げた。

「で、この子でどうやってそんなに便利な事ができるの?」

「それは……」

 なんて説明しようか。
 今のサーチートは、スマホを持っていないんだよねぇ。
 サーチートはスマホっていうけど、実際はスマホケースだ。
 小さな両手足にケースがついていて、そこにスマホをはめ込んでいたんだけど、私のスマホは一体どこに行ってしまったんだろう?

「オリエちゃん、ぼくを使う?」

 頰をピンクにして、わくわくしたような顔で、サーチートが言う。
 うん、と頷くと、サーチートはころんとテーブルの上に、仰向けに転がった。
 すると、サーチートの白いお腹のあたりから、スマホが現れる。
 これ、一体どう言う仕組みだ?

「オリエちゃん、触って?」

 ころんと寝転んだサーチートが、つぶらな瞳で私を見つめる。
 すごくうっとりとした表情をしてて、ちょっと引いてしまった。
 でも、今はユリアナ王女たちにスマホの説明をする流れだったから、何かして見せなくてはならない。
 私は少し考えて、『糸井織絵』と入力してみた。
 こんな事を入力しても何も反応しないだろうけど、他に何も思いつかなかったから。だけど――。

「これ、何?どういう事?」

 何故か、自分の名前でヒットした。
 驚いて、サーチートの顔を見つめると、サーチートは私の顔を見つめ、

「これは、今のオリエちゃんの事だね」

 と言う。

「ねぇ、どうしたんだい?」

 ユリアナ王女とアルバトスさんが、サーチートのお腹の画面を覗き込む。
 だけど二人は首を傾げた。
 どうやら二人には、スマホの文字がわからないようだ。まぁ、日本語だしね。

「えと、この文字は私の世界のものなので、多分お二人にはわからないでしょう。この文字をタップ……軽く押してみたら、この文字の内容がわかるわけなんですけど……」

「そこには、なんて書いてあるんだい?」

「それは……『現在の糸井織絵』って……つまり、私の事が書いてあるみたいなんですけど……でも……」

 一体何が書かれているのだろう?
 もしかして、異世界に転移したとか書かれているんだろうか?

「じゃあさ、ここ、押してみたらいいんじゃない? 何が出てくるか、見てみようよ」

 確かにそうだ。
 私は頷いて――『現在の糸井織絵』という表示をタップした。

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