西園寺家の末娘

明衣令央

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第2章:周央学園

2・変わった学校

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「写真、こんな感じでいいかな?」

 賢さんが写真を撮るのを頼んでくれた男の人が、デジカメを私に渡してくれた。
 写真は、校門をバックに、七人全員が上手く収まっていて、綺麗に撮れている。

「はい、上手に撮っていただき、ありがとうございます」

 お礼を言うと、男の人はにこりと笑った。
 身長は、大樹さんや賢さんと同じくらいあるから、一八〇センチはあるだろうな。そして二人と同じくらいカッコいい人だった。
 年齢は、叔父さんと同じくらいか、もう少し上くらいかなと思う。

「西園寺、小花さん」

「は、はい」

 名前を呼ばれ、驚いた。この人は誰なんだろう? 私の名前を知っているって事は、学校関係の人なのかなぁ?
 男の人はもう一度にこりと笑うと、ぽんぽんと私の頭を撫でて、

「また後でね」

 と言い、おじいちゃんたちの方へと顔を向けた。

「真中様、どうぞこちらへ、ご案内します。小花さんは、教室に行きなさい。千隼、案内してあげてね」

「おう! じゃあな、じいちゃん、ばあちゃん、叔父さん! また後でな! 小花、教室行くぞ!」

「あ、うん! じゃあね!」

 おじいちゃんたちに手を振って、私は先に歩き出したちい兄を追いかけようとして、足を止めた。
 おじいちゃんたちが、さっき写真を撮ってくれた男の人に案内されて、向かった先に居た別の男の人が、とても優しい笑顔でおじいちゃんたちを見つめて、深く頭を下げたのが見えたからだ。

 あの男の人は、一体誰なのだろう。
 すごく優しく、穏やかに笑う人だと思った。
 おじいちゃんたちの知り合いなのかな?
 年齢は……多分、お父さんより少し若いくらいだから、四十代前半くらいってとこかな。
 そんな事を考えていた私に、

「おい、小花、行くぞ!」

 と、ちい兄が急かすように言って、私は慌ててちい兄の後を追いかけた。



 クラス分けの掲示版を見ると、私は一年A組との事だった。
 校門まで迎えに来てくれた流れで、ちい兄が私を教室まで案内してくれた。
 校舎の二階の、六つある教室の内の一つだ。
 大樹さんと賢さんとは、クラス分けの掲示版のところで別れていた。
 入学式が終わった後、『定食屋まなか』で集合する事になっている。

「小花、こっちがお前らの教室の一年A組。二つ向こうが俺のクラスの三年A組だ」

 一年A組と書かれた私の教室から二つ先の教室には、確かに三年A組と書かれていた。
 一年生から三年生までA組が続いた後、同じようにB組が続いている。
 高等部は同じ階に一年生から三年生が集められているって事みたいだけど、いろいろと変わった学校だなぁと思う。
 私が驚いていると、それに気づいたのだろう、

「小花、この学校さ、多分、めちゃくちゃ変わっていると思う」

 と、ちい兄が言った。

「でもまぁ、すぐに慣れると思うから、楽しめ。わからない事があったら、すぐそばに俺が居るから、何でも聞け」

「うん、ありがとう」

 ちい兄は何やら忙しいようで、私を一年A組まで送ってくれると、どこかに行ってしまった。
 私はこの少し変わった学校での、これからの学園生活がどうなるのだろうとわくわくしながら、一年A組の教室へと足を踏み入れた。
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