Detectiveは宇宙人

飛鳥 進

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第壱話-開始

開始-5

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 翌日、新三の言葉通り二日酔いで出社した愛子。
 気持ち悪いのを必死に堪えその日の業務に勤めようそう心に固く誓い事務所での作業にかかろうとしていた時、新三から声を掛けられる。
「愛子ちゃん、13時に誠っちが迎えに来るから」
「え? 巽川さんがですか、何するんです?」
 昨日、新三が犯人を超能力で見つけたのにこれ以上、何をすることがあるというのかといった感じの質問を投げかける。
「何って、昨日の事件の捜査だよ」
「それは、昨日解決したんじゃ・・・・・・・」
「詳しい話は、誠っちと合流してからね」
「はい」そう返事をする愛子。
 時が過ぎるのは早く約束の時間の5分前に差し掛かろうとしていた。
「ちょっと!! 小永さん!!! 起きてください!!!!」
 ソファーで熟睡している新三を揺さぶって起こそうとするのだが、一向に起きる気配がない。
「どうしよう。起きない」
 頭を抱え悩む愛子の元に史が近寄ってきてこう告げた。
「私に任せておきなさい」
 史はそう言うと、ゆっくりと深呼吸をし「おりゃ~」の掛け声とともに新三の鳩尾にエルボーを叩きつける。
「ぐぼっ!!!」
 新三はそのままソファーから転げ落ちた。
「さ、連れて行きなさい」
「あ、ありがとうございます!!!」
 愛子はうつ伏せに倒れている新三の首根っこを掴み引きずりながら、誠との待ち合わせ場所に向かった。
 誠が運転する覆面パトカーでどこかへと向かっていく新三と愛子。
 愛子は目的地を誠に尋ねる。
「あの巽川さん、私達はこれからどこへ行くんですか?」
「言っていませんでしたね。警視庁本部に向かいます」
「良いんですか? 一般人の私達が捜査に加わって?」
「特例です。と言っても、近頃は小永さんの協力してもらうことばかりですが・・・・・・・」
 少し悔しそうな顔をする誠の顔がルームミラーから覗かせていた。
「それで事件の事、聞かせて貰えますか?」
 愛子はハンドバックからタブレット端末とタッチペンを取り出しメモを取る準備をする。
「はい。被害者は大隈 泰山46歳。小永さんの言う通りアクシツ星の外星人でした」
「職業は?」
「職業は商社の営業マンです。勿論、外星の企業ですが。
今回の来訪目的はダンぺ製のキャリーケースの販路確保だそうです」
 誠の説明を箇条書きでメモしていく。
「かなりの成績を挙げていたみたいでした。
一緒に行った百貨店の様な状態が多かったようですね」
「ふむ」
「それと、犯人の真希 芳人はあの業界のトップシェア企業のグンギロの営業マンでした」
「一つ良いですか?」
「何でしょうか?」
「真希 芳人なる人物が犯人というのは確定で宜しいでしょうか?」
「我々はその線で動いています」
 愛子は新三の犯人を見抜く超能力に、警察は頼り切っているんだなと改めて痛感した。
 しかし、その頼られている人物は目を閉じ口を大きく開け涎を垂らして眠っている。
 そして、三人を乗せた覆面パトカーは警視庁本部の駐車場へと入っていく。
 新三と愛子は捜査本部へと通される。
「これが現時点での資料です」
 二人分の捜査資料を誠は新三と愛子の前に置く。
 愛子は資料に目を通し始めるが、一方の新三は資料を読まず前方の席で報告書を纏めている女性警察官の方を見て一生懸命顔を確認しようとする。
「凶器のナイフは市販の物でした」
 誠はその情報から説明を始め、愛子もまたタブレット端末で話を聞きながらメモを取る。
「当日の容疑者のアリバイは」誠がそう言いかけた時、「きゃあ!!」と驚く声が前方の方から聞こえてきた。
 二人は声の方に視線を向けると、新三が机の下から顔だけを出して報告書を纏めていた女性警察官にナンパしていた。
「ねぇねぇ、仕事は何時終わるの? もし、良かったら飲みに行かない?」
「へ、へ?」
 いきなりの事で、どう返して良いのか分からず困る女性警察官。
「はぁ~」誠はいつものが始まったといった様子で深いため息をつきながら大きい手のひらで顔を覆い隠す。
 すると、愛子は静かに立ち上がりナンパする新三の元へと近寄っていき新三の横で立ち止まり距離を取るために後退りし壁際で立ち止まる。
「ふぅ~」史と同様に深呼吸をし、助走をつけると華麗な宙返りをする。
「オリャァァァァァァァァァァァ!!!」
 その掛け声と共に飛び蹴りを新三の側頭部に浴びせた愛子。
 愛子はスタっという効果音が似合う着地を決める。
 飛び蹴りを受けた新三は一直線上に飛んでいき窓ガラスを割る直前で地面に落下した。
「話を続けましょう」
 愛子は先程まで座っていた席に着席し、誠にそう告げ事件の話を続けさせる。
「は、はい。それで容疑者の当日のアリバイですがあの百貨店に立ち寄った事はないようです」
「被害者が他に立ち寄った百貨店の線はどうですか?」
「そちらの方も調べたのですが、被害者は当日あの百貨店だけに営業をかけたようです」
「そうですか。犯人の行動は掴めているんですか?」
「掴めています」
 誠は捜査資料の10ページを開くよう促す。
 そこには、大まかな時間ではあるが事件当日のスケジュールが記載されていた。
 午前10時
 ゲリ百貨店銀座店に新規商品の営業

 午後13時
 家電量販店のザギバス新宿店に納品の打合せ

 午後15時
 ゲゲル代理店東京支社で展示会の打合せ

 午後16時
 帰社。打合せ等の報告書や納品書の作成。

 午後17時30分
 退勤
「これ、会社でのスケジュールですけど。退勤後の行動は?」
「それが・・・・・・・・・」
 誠は苦虫を嚙み潰したような顔になる。
「問い詰めれば良いじゃないですか!!」
「そういうわけに行かない事情がありまして」
「どういうものですか?」
「実は・・・・・・・・・・」
 誠たちは真希にアリバイがないことを確認し、任意で引っ張ろうと声掛けをした時の事であった。
 真希が雇った弁護士・西岡にしおかが見計らったようなタイミングで誠たちの前に姿を現した。
「何の事件か知りませんが彼は犯人ではありませんよ。
もし、任意で引っ張るというのなら私も同行させて頂きます」
 誠たち警察も超能力で真希が犯人である事を一般人に言えるわけもなく只引き下がるしかなかったのだ。
「納得しました」愛子は誠に笑みを見せる。
「そう言って頂けると幸いです。で、どうしましょうか?」
「そうですね・・・・・・・・」
 愛子は次の一手を考え始める。
「取り敢えず、接触してみればいいんじゃね?」
 先程まで気絶していた新三が、二人の会話に新三は軽い感じで入ってくる。
「接触というのは?」説明を求める誠。
「いや、事件の事を聞くんじゃなくて事件解決の為に協力を願うんだよ。
被害者の営業方法は他の業者からひんしゅくを買うものなのかってね」
「それが良いと思います」愛子がいの一番に賛成した。
「では、それで行きましょう」
 早速、三人は行動を次の行動を開始した。
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