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第3話-報道
報道-15
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三邉ミミ、町田恵理子逮捕のニュースは世間を大きく騒がせた。
週刊誌も挙ってあることないこと書き連ね、報道番組のコメンテーターも本当の事情も分かってないくせに適当なコメントを残していく。
かく言う事件を解決に導いた? 会社員はというと・・・・・・
「では、失礼します」
営業先の社員に頭を下げ、その場から立ち去る京助。
ビルを出ると「ふぅー」と息を吐き、気を取り直して次の営業先に向けて歩き始める。
「金智さん」
背後から名前を呼ばれたので、恐る恐る振り向くと薫が満面の笑みで立っていた。
「薫ちゃん・・・・・・」
「お久しぶりです」
「何か、事件?」
「ええ、聞き込みを。金智さんはいつも通りの営業ですか?」
「まぁ、そうだけど。それよりさ、三邉ミミとか町田恵理子はどうしてるの?」
「ああ、その後を教えてなかったですね。時間ありますか?」
薫は腕時計を見て時間を確認する。
「あるっちゃあ、あるけど。今じゃないとダメ?」
「ダメですね」
「分かったよ」
負けたといった表情で薫と共にチェーン店の喫茶店へと移動した。
各々が注文した商品が届いてから、二人のアナウンサーのその後について語り始めた。
「ニュースは見ましたか?」
「見たよ。どの番組も本当の事を言っているようには、思えなかったけど」
京助は思った事を率直に伝えた。
「そうですか。やはり、田沢さんを殺すように仕向けたのは町田恵理子でした」
「急に本題に入るのね」
「はい」と答えた薫は話を続ける。
「三邉ミミの妊娠に気付いた町田恵理子は、自分の経験談を話したらしいんです」
「ほぉ」
京助は身体を前に乗り出して、薫の話に耳を傾ける。
町田恵理子は自分が妊娠した経緯、何故、中絶したのかを三邉ミミに教えると共に、過去に自分が計画した殺人計画を享受した。
その時にチョウセンアサガオから抽出した毒液の入った小瓶を渡すと共に、町田恵理子は警察に捕まった場合、別れ話でこじれた結果、殺したという旨の供述をしろと吹き込んだ。
その為に、三邉ミミは北澤の取り調べに別れ話のもつれで殺害したと答えたのだ。
「へぇーそうだったんだ。でさ、どうして田沢さんは何であの廊下で死んだの?」
「それについては答えてくれないんですよ。なので、私の憶測なんですけど」と前置き「呼び出されたのではないかと」そう自分の推理を披露する薫。
「呼び出された。ねぇ~」京助はそう言うと、コーヒーに口をつける。
「はい。多分、呼び出したのは町田恵理子ではないかと。多分、密会に使っていた会議室に解毒薬があるとでも言ったんではないかと」
「成程。その推理は一理あるね」
「ありがとうございます」
薫は礼を言って、頭を下げる。
「そんなの良いから。まぁ、ある程度はスッキリしたかな」
「それなら良かったです」
「じゃあ、俺行くわ」
京助は薫にそう告げて席を立ち、次の営業先へと向かった。
そして、机に残されたのは二人が注文した伝票であった。
「あ! あいつ、スマートに出ていったと思ったら、奢らせる気だったな」
薫は悔しそうに伝票をグッと握り潰すと同時にいつか仕返ししてやろうと心の中で固く誓うのであった。
第3話・完
週刊誌も挙ってあることないこと書き連ね、報道番組のコメンテーターも本当の事情も分かってないくせに適当なコメントを残していく。
かく言う事件を解決に導いた? 会社員はというと・・・・・・
「では、失礼します」
営業先の社員に頭を下げ、その場から立ち去る京助。
ビルを出ると「ふぅー」と息を吐き、気を取り直して次の営業先に向けて歩き始める。
「金智さん」
背後から名前を呼ばれたので、恐る恐る振り向くと薫が満面の笑みで立っていた。
「薫ちゃん・・・・・・」
「お久しぶりです」
「何か、事件?」
「ええ、聞き込みを。金智さんはいつも通りの営業ですか?」
「まぁ、そうだけど。それよりさ、三邉ミミとか町田恵理子はどうしてるの?」
「ああ、その後を教えてなかったですね。時間ありますか?」
薫は腕時計を見て時間を確認する。
「あるっちゃあ、あるけど。今じゃないとダメ?」
「ダメですね」
「分かったよ」
負けたといった表情で薫と共にチェーン店の喫茶店へと移動した。
各々が注文した商品が届いてから、二人のアナウンサーのその後について語り始めた。
「ニュースは見ましたか?」
「見たよ。どの番組も本当の事を言っているようには、思えなかったけど」
京助は思った事を率直に伝えた。
「そうですか。やはり、田沢さんを殺すように仕向けたのは町田恵理子でした」
「急に本題に入るのね」
「はい」と答えた薫は話を続ける。
「三邉ミミの妊娠に気付いた町田恵理子は、自分の経験談を話したらしいんです」
「ほぉ」
京助は身体を前に乗り出して、薫の話に耳を傾ける。
町田恵理子は自分が妊娠した経緯、何故、中絶したのかを三邉ミミに教えると共に、過去に自分が計画した殺人計画を享受した。
その時にチョウセンアサガオから抽出した毒液の入った小瓶を渡すと共に、町田恵理子は警察に捕まった場合、別れ話でこじれた結果、殺したという旨の供述をしろと吹き込んだ。
その為に、三邉ミミは北澤の取り調べに別れ話のもつれで殺害したと答えたのだ。
「へぇーそうだったんだ。でさ、どうして田沢さんは何であの廊下で死んだの?」
「それについては答えてくれないんですよ。なので、私の憶測なんですけど」と前置き「呼び出されたのではないかと」そう自分の推理を披露する薫。
「呼び出された。ねぇ~」京助はそう言うと、コーヒーに口をつける。
「はい。多分、呼び出したのは町田恵理子ではないかと。多分、密会に使っていた会議室に解毒薬があるとでも言ったんではないかと」
「成程。その推理は一理あるね」
「ありがとうございます」
薫は礼を言って、頭を下げる。
「そんなの良いから。まぁ、ある程度はスッキリしたかな」
「それなら良かったです」
「じゃあ、俺行くわ」
京助は薫にそう告げて席を立ち、次の営業先へと向かった。
そして、机に残されたのは二人が注文した伝票であった。
「あ! あいつ、スマートに出ていったと思ったら、奢らせる気だったな」
薫は悔しそうに伝票をグッと握り潰すと同時にいつか仕返ししてやろうと心の中で固く誓うのであった。
第3話・完
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