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第3話-報道
報道-8
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更衣室へと入ったミミを待っていたのは、京助と薫であった。
「どうして、ここに?」ミミの視線、疑問は女子更衣室にいる京助に向いていた。
それをいち早く察した薫が答え始める。
「金智さんが居るのはですね。これが発見されたからです」
薫はポリ袋に入った小瓶を見せた。
「それは・・・・・・」
「この小瓶は田沢さん殺害に使用された毒物が入っていた小瓶です」
薫がそう答えると「そ、そうですか・・・・・・」ミミは興味ないといった感じで自分のロッカーを開ける。
「えっ!?」
ミミの目の前にあるロッカー内は、もぬけの殻の状態であった。
「すいません。証拠保全の観点からロッカーに入っているものは全て押収させて頂きました。勿論、机の方も同様に」
薫の説明を到底受け入れる事のできないミミは二人を睨み付ける。
「そんな怖い顔で見ないでください」京助はそう前置き「理由もなしにこのような事はしませんよ」とミミに告げた。
「じゃあ、その理由をお聞かせください」
「はい。率直に言います。田沢さんを殺害したのは、あなたですよね? 三邉ミミさん」
「私が犯人。どういう理由で?」
「痴情のもつれでしょうかね」
「何ですか? 私が田沢さんと不倫でもしていたというんですか?」
「そうです。そして、ミミさん。貴方のお腹の中に田沢さんとのお子さんが」
「それ以上言わないでください!」
ミミは京助を怒鳴りつける。
「すいません。デリカシーが無さ過ぎましたね」
「どうして、私が妊娠していると思うんですか?」
「早い話、ミミさんから酸っぱい臭いがするんですよ。勿論、最初にお会いした時にはしなかったんですけど」
「酸っぱい臭いって・・・・・・私が嘔吐したからって、それで妊娠と言うのは酷くないですか?」
「そうかもですけど。薫ちゃん」
「はい」
薫はレジ袋から焼き肉弁当を取り出して、ミミに差し出した。
「うっ!!」口元を押さえて必死に内側からこみ上げてくるものを堪えよとするミミ。
「無理せずにこれ使って下さい」
薫はエチケット袋をミミに渡した。
ミミは受け取るとすぐさまエチケット袋に嘔吐した。
心配そうにミミを見守る京助と薫。
ミミが落ち着くまでそう時間はかからなかった。
「すいません」ミミは二人に謝罪するのだが、「気にしないでください。我々も悪いんですから」と薫はミミの背中を擦りながら慰める。
「これ以上、心身に負担を掛けるのは宜しくなさそうなので、詳しい話は警察病院で話してもらう事はできますか? お腹の子の為にも」
京助のその問いかけにミミは「はい」と返事する。
そして、連行される前のミミに京助がこう問いかけた。
「すいません。ミミさんの大学時代の学部は?」
「文学部です」とだけ答えて、連行されていった。
「これで、事件解決ですね」
ミミを乗せたパトカーが走り出して、薫は京助に告げた。
「そんな訳ないじゃん。戻るよ」
京助は踵を返してテレビ局へと戻っていった。
「どうして、ここに?」ミミの視線、疑問は女子更衣室にいる京助に向いていた。
それをいち早く察した薫が答え始める。
「金智さんが居るのはですね。これが発見されたからです」
薫はポリ袋に入った小瓶を見せた。
「それは・・・・・・」
「この小瓶は田沢さん殺害に使用された毒物が入っていた小瓶です」
薫がそう答えると「そ、そうですか・・・・・・」ミミは興味ないといった感じで自分のロッカーを開ける。
「えっ!?」
ミミの目の前にあるロッカー内は、もぬけの殻の状態であった。
「すいません。証拠保全の観点からロッカーに入っているものは全て押収させて頂きました。勿論、机の方も同様に」
薫の説明を到底受け入れる事のできないミミは二人を睨み付ける。
「そんな怖い顔で見ないでください」京助はそう前置き「理由もなしにこのような事はしませんよ」とミミに告げた。
「じゃあ、その理由をお聞かせください」
「はい。率直に言います。田沢さんを殺害したのは、あなたですよね? 三邉ミミさん」
「私が犯人。どういう理由で?」
「痴情のもつれでしょうかね」
「何ですか? 私が田沢さんと不倫でもしていたというんですか?」
「そうです。そして、ミミさん。貴方のお腹の中に田沢さんとのお子さんが」
「それ以上言わないでください!」
ミミは京助を怒鳴りつける。
「すいません。デリカシーが無さ過ぎましたね」
「どうして、私が妊娠していると思うんですか?」
「早い話、ミミさんから酸っぱい臭いがするんですよ。勿論、最初にお会いした時にはしなかったんですけど」
「酸っぱい臭いって・・・・・・私が嘔吐したからって、それで妊娠と言うのは酷くないですか?」
「そうかもですけど。薫ちゃん」
「はい」
薫はレジ袋から焼き肉弁当を取り出して、ミミに差し出した。
「うっ!!」口元を押さえて必死に内側からこみ上げてくるものを堪えよとするミミ。
「無理せずにこれ使って下さい」
薫はエチケット袋をミミに渡した。
ミミは受け取るとすぐさまエチケット袋に嘔吐した。
心配そうにミミを見守る京助と薫。
ミミが落ち着くまでそう時間はかからなかった。
「すいません」ミミは二人に謝罪するのだが、「気にしないでください。我々も悪いんですから」と薫はミミの背中を擦りながら慰める。
「これ以上、心身に負担を掛けるのは宜しくなさそうなので、詳しい話は警察病院で話してもらう事はできますか? お腹の子の為にも」
京助のその問いかけにミミは「はい」と返事する。
そして、連行される前のミミに京助がこう問いかけた。
「すいません。ミミさんの大学時代の学部は?」
「文学部です」とだけ答えて、連行されていった。
「これで、事件解決ですね」
ミミを乗せたパトカーが走り出して、薫は京助に告げた。
「そんな訳ないじゃん。戻るよ」
京助は踵を返してテレビ局へと戻っていった。
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