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第2話-救出
救出-3
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太秦家リビングでは、犯人からの要求を待っていた。
当初の予定では、一時間後にスーツを着た男が太秦家を訪れる予定であった。しかし、一時間を過ぎても男は現れることはなかった。
そうこうしているうちに、三十分の時が流れた。
「来ないですね」
沈黙の中、口を開いたのは薫であった。
「そうだな」佐保田はスマホを持って、リビングを出て行ったのを見計らい「薫ちゃん」と部屋の隅で突っ立っている京助は小声で手招きしながら、薫を呼ぶ。
「何ですか?」
「あのさ、どうして薫ちゃんがここに居るわけ? 殺人担当の刑事でしょ」
「応援です」との回答を聞き「そういうことね」と京助は納得した。
すると、険しい顔をした佐保田が戻ってきてその場に居る全員に告げた。
「犯人らしき人物は、逃亡したという報告が入ってきた」
「逃亡・・・・・・」
エミリは犯人を逃がしたという悲報を聞き、椅子から転げ落ちてしまった。
「奥さん!!」薫がすかさず駆け寄り、その身体を起こし「奥さん、少し身体を休まれては?」と提案する。
「あ、ありがとうございます。でも」
「休まれた方が宜しいかと。下手したら長丁場になるかもですよ。休めるうちに休んで置かないと」
そう提案したのは佐保田、薫でもなく京助であった。
「分かりました。そうします」
エミリは京助の提案を受け入れて、薫に連れられながら寝室へと移動した。
「おい、あんた。余計な事を言うな。黙って、そこに座っていろ」
佐保田は空いているソファーを指差し、京助に忠告する。
「はぁ~い」京助は素直に従い、ソファーに腰を下ろした。
「佐保田さん、ここまで要求が無いとなると参りましたね」そう発言したのは、部下の香取であった。
「ああ」と答えながら、リビングに端から端を行ったり来たりする佐保田。
リビングのドアが開き、薫が戻ってきた。
「どうだった?」そう京助が尋ねると「少し落ち着きを取り戻したようで、今はベッドでお休みになられてます」と状況を説明した。
「それで、犯人からの要求は?」
薫は進展があったのかを尋ねると、その場に居た全員が首を横に振る。
「そうですか・・・・・・」悔しそうな顔を浮かべる薫は京助の隣に腰掛けた。
そして、また沈黙の時が流れ始めた時、インターホンが鳴った。
「君、頼む」
佐保田は薫を指名し、エミリに扮した薫が応対する。
「はい」
「この家の主人の浩です。開けてください!!」とこの家の家主を名乗る人物が切羽詰まった感じで開錠を求める。
薫が佐保田を見ながら確かめると、うんとだけ頷いて許可する。
「少々お待ちください」薫はそう告げ、佐保田を伴って玄関へと向かう。
薫は玄関の鍵を開けて、浩とその連れを家の中に入れる。
「すいません。遅くなってしまって」浩は慌てた様子で靴を脱ぎ、リビングへと入って行く。
「エミリ!!」
部屋に入ってくるなり、妻の名を呼び探す。
「奥様は、今、寝室でお休みになられてますよ」京助が教えると「そうですか。それで、太朗は!!」次は太朗の状況を質問する。
「太朗君は未だ尚、戻ってはいません。現在、犯人からの要求を待っている所です」
佐保田は申し訳なさそうな顔で、現在の状況を教える。
「そうですか」
「それより、その方は?」京助は手を差し出しながら、浩の横に立っている連れの男性について質問する。
「ああ、申し遅れました。私、YouTuberのマネージャーをしております。大穴 健人と言います」
大穴は、浩を除く全員に名刺を配る。
「では、ここで待っていて貰います」
佐保田が来たばかりの二人に告げてすぐに、「犯人からメッセージが届きました!!」捜査員の柴咲が報告した。
当初の予定では、一時間後にスーツを着た男が太秦家を訪れる予定であった。しかし、一時間を過ぎても男は現れることはなかった。
そうこうしているうちに、三十分の時が流れた。
「来ないですね」
沈黙の中、口を開いたのは薫であった。
「そうだな」佐保田はスマホを持って、リビングを出て行ったのを見計らい「薫ちゃん」と部屋の隅で突っ立っている京助は小声で手招きしながら、薫を呼ぶ。
「何ですか?」
「あのさ、どうして薫ちゃんがここに居るわけ? 殺人担当の刑事でしょ」
「応援です」との回答を聞き「そういうことね」と京助は納得した。
すると、険しい顔をした佐保田が戻ってきてその場に居る全員に告げた。
「犯人らしき人物は、逃亡したという報告が入ってきた」
「逃亡・・・・・・」
エミリは犯人を逃がしたという悲報を聞き、椅子から転げ落ちてしまった。
「奥さん!!」薫がすかさず駆け寄り、その身体を起こし「奥さん、少し身体を休まれては?」と提案する。
「あ、ありがとうございます。でも」
「休まれた方が宜しいかと。下手したら長丁場になるかもですよ。休めるうちに休んで置かないと」
そう提案したのは佐保田、薫でもなく京助であった。
「分かりました。そうします」
エミリは京助の提案を受け入れて、薫に連れられながら寝室へと移動した。
「おい、あんた。余計な事を言うな。黙って、そこに座っていろ」
佐保田は空いているソファーを指差し、京助に忠告する。
「はぁ~い」京助は素直に従い、ソファーに腰を下ろした。
「佐保田さん、ここまで要求が無いとなると参りましたね」そう発言したのは、部下の香取であった。
「ああ」と答えながら、リビングに端から端を行ったり来たりする佐保田。
リビングのドアが開き、薫が戻ってきた。
「どうだった?」そう京助が尋ねると「少し落ち着きを取り戻したようで、今はベッドでお休みになられてます」と状況を説明した。
「それで、犯人からの要求は?」
薫は進展があったのかを尋ねると、その場に居た全員が首を横に振る。
「そうですか・・・・・・」悔しそうな顔を浮かべる薫は京助の隣に腰掛けた。
そして、また沈黙の時が流れ始めた時、インターホンが鳴った。
「君、頼む」
佐保田は薫を指名し、エミリに扮した薫が応対する。
「はい」
「この家の主人の浩です。開けてください!!」とこの家の家主を名乗る人物が切羽詰まった感じで開錠を求める。
薫が佐保田を見ながら確かめると、うんとだけ頷いて許可する。
「少々お待ちください」薫はそう告げ、佐保田を伴って玄関へと向かう。
薫は玄関の鍵を開けて、浩とその連れを家の中に入れる。
「すいません。遅くなってしまって」浩は慌てた様子で靴を脱ぎ、リビングへと入って行く。
「エミリ!!」
部屋に入ってくるなり、妻の名を呼び探す。
「奥様は、今、寝室でお休みになられてますよ」京助が教えると「そうですか。それで、太朗は!!」次は太朗の状況を質問する。
「太朗君は未だ尚、戻ってはいません。現在、犯人からの要求を待っている所です」
佐保田は申し訳なさそうな顔で、現在の状況を教える。
「そうですか」
「それより、その方は?」京助は手を差し出しながら、浩の横に立っている連れの男性について質問する。
「ああ、申し遅れました。私、YouTuberのマネージャーをしております。大穴 健人と言います」
大穴は、浩を除く全員に名刺を配る。
「では、ここで待っていて貰います」
佐保田が来たばかりの二人に告げてすぐに、「犯人からメッセージが届きました!!」捜査員の柴咲が報告した。
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