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第1話-出会
出会-3
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「何もそこまで驚かなくて良いでしょ」
北澤が口をあんぐり開けている薫に話し掛けるのだが、事態が読めず放心状態を貫く薫。
「何で俺がこの薫ちゃんっていう刑事と捜査しないといけない訳? 北斎君」
「北澤だよ。お前、どうせ家に帰るだけだろ?」
「そうだけど。それで、どうして事件を解決しなきゃいけないの」
「感謝状出してやるから」
「絶対、嘘だ。そんなの一度も貰ったことないけど」
「取り敢えず、同級生の俺に免じてさ。頼むわ」軽い感じで頼んで来る北澤に嫌な顔をする京助。
「じゃ、宜しく」
北澤はそれだけ言うと、その場から去っていた。
「マジかよ。どうします? 薫ちゃん」京助がそう尋ねると「気安く人の名前を呼ばないでください!」と憤慨する薫は京助の顔を向き告げた。
「仕方ありません。捜査しましょう」
「噓でしょ」
「噓じゃありません。北澤さんからの話だと捜査したことあるような感じだったんですけど、どこから捜査をしていきますか」
京助は吞み込みが早い薫にドン引きしていると「金智さん?」そう声を掛けられて我に返る。
「あ、偉いこと吞み込みが早いなと思って。取り敢えず、被害者の情報が欲しいかなぁ~」
「分かりました。ここで、待っていてください」
薫は被害者の身元を調べる刑事の元へと向かった。
手持ち無沙汰の京助は部屋をきょろきょろと見回しながら、事件に繋がる手掛かりを探し始める。
この会社はチーキュウ株式会社という社名で、海洋ごみを回収する装置の販売、メンテナンスを社業としている会社であった。そして、その様な社業をしている会社にどの様な用件で京助が呼ばれたのか。
それはウォーターサーバーのレンタルの申し込み依頼が来たからである。しかし、それが事件に繋がるような事と思えなかった京助は、机の上に置かれている書類とかに目を配るようにした。
取り敢えず、課長若しくは部長の席であろう上座の席に置かれている物を物色し始める。
だが、事件に繋がる物はなく書類は決済書だけであった。
「聞いてきました」被害者の情報を聞き出した薫が話し掛けると、京助は薫の方を向き「どうでした?」と質問する。
「はい、被害者はこの会社に勤務する飯田 善さん。この会社で営業をやられていたようです」
「良く短時間で業務内容まで調べ上げましたね」
「社員名簿からの大まかな情報ですけど。何か見つけましたか?」
「いいえ、何も」
「そうですか」そう返事をしながら薫は京助、自ら尻尾を出すのを伺っていた。
「やっぱり、気乗りしないから帰るのはダメ?」
「ダメです」
この発言を受け、薫の疑念は益々濃くなる。
「ダメかぁ~」
「それで、次は何をすれば?」
「う~ん」暫くの長考の後、「被害者の死因は?」と尋ねた。
「飯田さんの死因は、あのオブジェで頭部を殴られたことによる脳挫傷です」
「そうか。防犯カメラ映像は確認しました?」
「別の捜査員が確認しているとは思いますが、犯人が写っているとでも?」
「俺が来る前に被害者は死んでいたから、それより前に誰かがここに居たのは間違いないでしょ」
「そうですけど」
ちょくちょく敬語からため口になる京助に少しイラッとしながら、京助の発言に耳を傾ける。
「俺が来た時には、あの入口のドアの鍵はかかっていなかった。だから、犯人はあの入口から出入りしていたんじゃないかなと俺は考えているんですけど。ここのテナントに非常口はありますか?」
「そこまでは確認してません。確認して来ます」
薫が踵を返して、非常口を探しに行こうとすると「あ、待って」と京助は呼び止める。
「俺も一緒に行こう」と言うのだった。
北澤が口をあんぐり開けている薫に話し掛けるのだが、事態が読めず放心状態を貫く薫。
「何で俺がこの薫ちゃんっていう刑事と捜査しないといけない訳? 北斎君」
「北澤だよ。お前、どうせ家に帰るだけだろ?」
「そうだけど。それで、どうして事件を解決しなきゃいけないの」
「感謝状出してやるから」
「絶対、嘘だ。そんなの一度も貰ったことないけど」
「取り敢えず、同級生の俺に免じてさ。頼むわ」軽い感じで頼んで来る北澤に嫌な顔をする京助。
「じゃ、宜しく」
北澤はそれだけ言うと、その場から去っていた。
「マジかよ。どうします? 薫ちゃん」京助がそう尋ねると「気安く人の名前を呼ばないでください!」と憤慨する薫は京助の顔を向き告げた。
「仕方ありません。捜査しましょう」
「噓でしょ」
「噓じゃありません。北澤さんからの話だと捜査したことあるような感じだったんですけど、どこから捜査をしていきますか」
京助は吞み込みが早い薫にドン引きしていると「金智さん?」そう声を掛けられて我に返る。
「あ、偉いこと吞み込みが早いなと思って。取り敢えず、被害者の情報が欲しいかなぁ~」
「分かりました。ここで、待っていてください」
薫は被害者の身元を調べる刑事の元へと向かった。
手持ち無沙汰の京助は部屋をきょろきょろと見回しながら、事件に繋がる手掛かりを探し始める。
この会社はチーキュウ株式会社という社名で、海洋ごみを回収する装置の販売、メンテナンスを社業としている会社であった。そして、その様な社業をしている会社にどの様な用件で京助が呼ばれたのか。
それはウォーターサーバーのレンタルの申し込み依頼が来たからである。しかし、それが事件に繋がるような事と思えなかった京助は、机の上に置かれている書類とかに目を配るようにした。
取り敢えず、課長若しくは部長の席であろう上座の席に置かれている物を物色し始める。
だが、事件に繋がる物はなく書類は決済書だけであった。
「聞いてきました」被害者の情報を聞き出した薫が話し掛けると、京助は薫の方を向き「どうでした?」と質問する。
「はい、被害者はこの会社に勤務する飯田 善さん。この会社で営業をやられていたようです」
「良く短時間で業務内容まで調べ上げましたね」
「社員名簿からの大まかな情報ですけど。何か見つけましたか?」
「いいえ、何も」
「そうですか」そう返事をしながら薫は京助、自ら尻尾を出すのを伺っていた。
「やっぱり、気乗りしないから帰るのはダメ?」
「ダメです」
この発言を受け、薫の疑念は益々濃くなる。
「ダメかぁ~」
「それで、次は何をすれば?」
「う~ん」暫くの長考の後、「被害者の死因は?」と尋ねた。
「飯田さんの死因は、あのオブジェで頭部を殴られたことによる脳挫傷です」
「そうか。防犯カメラ映像は確認しました?」
「別の捜査員が確認しているとは思いますが、犯人が写っているとでも?」
「俺が来る前に被害者は死んでいたから、それより前に誰かがここに居たのは間違いないでしょ」
「そうですけど」
ちょくちょく敬語からため口になる京助に少しイラッとしながら、京助の発言に耳を傾ける。
「俺が来た時には、あの入口のドアの鍵はかかっていなかった。だから、犯人はあの入口から出入りしていたんじゃないかなと俺は考えているんですけど。ここのテナントに非常口はありますか?」
「そこまでは確認してません。確認して来ます」
薫が踵を返して、非常口を探しに行こうとすると「あ、待って」と京助は呼び止める。
「俺も一緒に行こう」と言うのだった。
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