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第弐拾漆話-大物
大物-11
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紅音々救出作戦は成功した。音々の身柄は今、警視庁ではなく都内某所のマンションにあった。
「それで、収賄の現場を見て監禁されていたんですか?」
「はい」
絢巡査長の質問に音々はそう答えた。
「収賄の現場には、どの人物が居たか。分かりますか?」
国会議員の顔写真が映っているタブレット端末を音々に見せる。
「お借りします」
音々はタブレット端末を受け取り、険しい顔で国会議員達の顔を見つめる。
「この人とこの人です」
音々が指さしたのは、参院議員・ 比本 淳 35歳、衆議院議員・矢古 稔 55歳の二人であった。
「この二人ですね?」
「はい」
「分かりました。今日はここまでにしましょうか」
「え? でも、良いんですか?」
「一週間もあんな倉の中に閉じ込められていたんですから、ゆっくりと休んでください」
「ありがとうございます」
「じゃ、これで失礼しますね。この部屋は音々さんが好きに使って良いので。それと、申し訳ないのですがなるべくこの部屋から出ないでください」
「はい」
音々はこれじゃ監禁されている時とあまり変わらないなと思うのだった。
絢巡査長は音々の取り調べを終えて、警視庁へと戻った。
「只今、戻りましたぁ~」
ハンドバッグを机の上に置いて、自席に腰を降ろす。
「お疲れ様ぁ~ で、どうやったと?」
「はい。収賄の現場を目撃してしまい、監禁されたという事です」
「ほぉ~ そいで、その収賄していた相手っていうのは?」
「参院議員の比本淳、衆議院議員の矢古稔の二人だそうです」
「えらく年齢の離れた二人やね」
「そうなんです。しかも、衆議院議員と参院議員ですよ。どうして、別の議会の議員が何を頼みに行ったのか」
「う~ん、何やろね?」
「長さんに協力を仰いでみますか?」
「そうね。長さんに連絡して」
「はい」
絢巡査長がスマホを取り出した瞬間、命捜班の内線電話が鳴った。
「はい。命捜班」電話を取ったのは一川警部であった。
「はい、はい。ああ、分かりました。今から向かいます。はぁ~い、失礼しますぅ~」
一川警部は受話器を置いて絢巡査長の方を見てバツが悪そうな顔をする。
絢巡査長は長四郎にメッセージを送るため、音々から聞き出した内容を入力していた。
「どうしたんです?」
「早速、上に苦情が来たらしい。絢ちゃんは長さんとこ行ってきて。上の人達の相手はあたしがしとくけん」
「了解です。何かあればまた連絡します」
絢巡査長は颯爽と命捜班の部屋を出ていった。
「はぁ~ やだなぁ~」
一川警部は困り顔で、光り輝く頭をペチペチと叩くのだった。
そんな頃、長四郎は依頼人の富澤婦人に報告しに富澤婦人の部屋を訪れていた。
「取り敢えず、紅音々さんは救出しました。怪我とかもなく無事である事を取り敢えず報告しました」
「取り敢えずが多いわね」
「ま、依頼人を危険にさらさせない為の手段ですので」
「あんた、本当に探偵なのね」
「探偵ですよ。富有子さんも気を付けてくださいね。相手が厄介ですから」
「私なら大丈夫よ。それより、燐ちゃんから聞いたわ。入念な調査をして音々ちゃんを救出したって」
「当たり前の事をしただけです。それに入念でもないですから。では」
長四郎はソファーから立ち上がると「あ、そうそう」とまだ話があると言った感じで富澤婦人が口を開いた。
「燐ちゃん。ここ最近、学校に通っているみたい。制服姿でよく見かけるもの」
「そうですか。では」
今度こそ、富澤婦人の部屋を出た長四郎は燐の部屋へと移動した。
チャイムを鳴らすと、「開いてるよ」とインターホンから返答が返って来たので長四郎はゆっくりとドアを開けるとドアの隙間から漆黒のアブラムシが出てきてマンションの共用部へと消えていった。
長四郎は深いため息をつき、そのままドアをそっと閉めた。
「それで、収賄の現場を見て監禁されていたんですか?」
「はい」
絢巡査長の質問に音々はそう答えた。
「収賄の現場には、どの人物が居たか。分かりますか?」
国会議員の顔写真が映っているタブレット端末を音々に見せる。
「お借りします」
音々はタブレット端末を受け取り、険しい顔で国会議員達の顔を見つめる。
「この人とこの人です」
音々が指さしたのは、参院議員・ 比本 淳 35歳、衆議院議員・矢古 稔 55歳の二人であった。
「この二人ですね?」
「はい」
「分かりました。今日はここまでにしましょうか」
「え? でも、良いんですか?」
「一週間もあんな倉の中に閉じ込められていたんですから、ゆっくりと休んでください」
「ありがとうございます」
「じゃ、これで失礼しますね。この部屋は音々さんが好きに使って良いので。それと、申し訳ないのですがなるべくこの部屋から出ないでください」
「はい」
音々はこれじゃ監禁されている時とあまり変わらないなと思うのだった。
絢巡査長は音々の取り調べを終えて、警視庁へと戻った。
「只今、戻りましたぁ~」
ハンドバッグを机の上に置いて、自席に腰を降ろす。
「お疲れ様ぁ~ で、どうやったと?」
「はい。収賄の現場を目撃してしまい、監禁されたという事です」
「ほぉ~ そいで、その収賄していた相手っていうのは?」
「参院議員の比本淳、衆議院議員の矢古稔の二人だそうです」
「えらく年齢の離れた二人やね」
「そうなんです。しかも、衆議院議員と参院議員ですよ。どうして、別の議会の議員が何を頼みに行ったのか」
「う~ん、何やろね?」
「長さんに協力を仰いでみますか?」
「そうね。長さんに連絡して」
「はい」
絢巡査長がスマホを取り出した瞬間、命捜班の内線電話が鳴った。
「はい。命捜班」電話を取ったのは一川警部であった。
「はい、はい。ああ、分かりました。今から向かいます。はぁ~い、失礼しますぅ~」
一川警部は受話器を置いて絢巡査長の方を見てバツが悪そうな顔をする。
絢巡査長は長四郎にメッセージを送るため、音々から聞き出した内容を入力していた。
「どうしたんです?」
「早速、上に苦情が来たらしい。絢ちゃんは長さんとこ行ってきて。上の人達の相手はあたしがしとくけん」
「了解です。何かあればまた連絡します」
絢巡査長は颯爽と命捜班の部屋を出ていった。
「はぁ~ やだなぁ~」
一川警部は困り顔で、光り輝く頭をペチペチと叩くのだった。
そんな頃、長四郎は依頼人の富澤婦人に報告しに富澤婦人の部屋を訪れていた。
「取り敢えず、紅音々さんは救出しました。怪我とかもなく無事である事を取り敢えず報告しました」
「取り敢えずが多いわね」
「ま、依頼人を危険にさらさせない為の手段ですので」
「あんた、本当に探偵なのね」
「探偵ですよ。富有子さんも気を付けてくださいね。相手が厄介ですから」
「私なら大丈夫よ。それより、燐ちゃんから聞いたわ。入念な調査をして音々ちゃんを救出したって」
「当たり前の事をしただけです。それに入念でもないですから。では」
長四郎はソファーから立ち上がると「あ、そうそう」とまだ話があると言った感じで富澤婦人が口を開いた。
「燐ちゃん。ここ最近、学校に通っているみたい。制服姿でよく見かけるもの」
「そうですか。では」
今度こそ、富澤婦人の部屋を出た長四郎は燐の部屋へと移動した。
チャイムを鳴らすと、「開いてるよ」とインターホンから返答が返って来たので長四郎はゆっくりとドアを開けるとドアの隙間から漆黒のアブラムシが出てきてマンションの共用部へと消えていった。
長四郎は深いため息をつき、そのままドアをそっと閉めた。
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