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第弐拾漆話-大物

大物-7

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 警視庁捜査一課命捜班の刑事二人は刑事部長に呼び出され、刑事部長室に来ていた。
「何故、呼ばれたか分かるか?」
 刑事部長にそう問われ、なんとなく理由は察せる二人だが声を揃えて「知りません」と白を切る。
「君たちは、事件解決の為に変な私立探偵とつるんでいるだろう」
「変な私立探偵。あ、長さんの事ですか。あん人は、事件に巻き込まれる体質なんです。昔から」
「一川君。そんな回答は求めていない。実はな、彼が違法な調査をしているという苦情がきているんんだ」
「違法やったら、逮捕すれば良いじゃないですか」
「絢君、相手方は事を穏便に済まそうとしているんだよ。それを大事にしたいのかね?」
「いや、違法であれば司法に則って検挙するべきかと」
「で、どげんな事をしとるとですか?」
「・・・・・・」刑事部長は質問に答えず、目を逸らす。
「刑事部長も何も知らないということですか」絢巡査長はあきれ返る。
「あの刑事部長。あたしら命捜班が違法な調査をしているのかを捜査するというのは?」
 一川警部の提案に黙って頷き了承した刑事部長は手を払い部屋を出ていくように促す。
「では、失礼します!!」
 一川警部と絢巡査長は、刑事部長に敬礼をして部屋を出ていく。
「一川さん。長さんの言った展開になってきましたね」
「そうやけど。こげん早くにコンタクトがあるとは思わんかったばい」
「そうですね。行方不明の人が見つからない状態ですし、何か詮索されたくないということでしょうか?」
「取り敢えず、長さんのところに行こう」
「はい。車、取ってきます!」
 警視庁の廊下を駆け足で走り抜ける絢巡査長を見送り、一川警部は長四郎に電話をかけるのだった。
「というのが今の現状です」
 長四郎は燐に話した事を目の前に座る一川警部と絢巡査長に話した。
 一川警部から連絡を貰った長四郎は、森下邸から離れ警視庁と森下邸の中間にある国道沿いのファミレスに場所を移した。
「今の話を聞いていると、森下衆男は紅音々の失踪に絡んでいるような動きにしか見えませんね」
「そうだな。というより、命捜班に俺を排除させるような動きをしてきたことで確証が持てた。あの屋敷に紅音々は居る」
 長四郎はそう言って、クリームソーダを胃に流し込む。
「そいで、どげんすると?」
「そうですね。それはこれから考えます」
「あの長さんの見解を聞きたいんですけど。紅音々さんは、殺されていると思いますか? それとも生きていると?」
 絢巡査長に質問された長四郎は視線を天井に移して、口を開いた。
「五分五分だと思う。けど」
「けど?」
「屋敷に近づけたくないって事は、生きているってことなのか? 死体を屋敷内に遺棄したのか。屋敷内に忍びこまないと分からんよ」
「って事は、長さんの中ではあの屋敷内に乗り込もうそう考えているってこと?」
「刑事の前で言いたくはないですけど、それが手っ取り早いかと。生きていれば、救出しようかと考えてはいます」
「了解。救出作戦を実行するにせよ。死体を見つけるにせよ。あたしらも協力するけん」
「ありがとうございます。では、用意ができ次第連絡します」
 長四郎は三人分の支払い伝票を持ちレジへと向かい会計を済まして、店を出て行った。
 出てすぐにスマホに着信が入った。
「はい。もしもし? ああ、あんたか。待ちくたびれたぜ。OK. 分かりました。じゃ、一時間後に例の場所で」
 長四郎は通話を終了させ、秋葉原へと向かった。
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