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第弐拾弐話-結社

結社-13

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「麻取? 麻薬取締官が動いとうと?」
 電話の向こうに居る一川警部が驚いた反応する。
「はい。桑子の捜査をするなと念を押されました」
 長四郎はそう告げ、ビールを流し込む。
「名前は聞いた?」
「いいえ」
「ま、聞いても教えてくれないかもだから、仕方ないか・・・・・・・」
 一川警部が残念がっているのは電話口でもよく分かる。
「一川さんの方は、どうでしたか?」
「うん。例の浮気相手の正体は掴めたばい」
「誰なんです?」
「名前は、浮渡 布里子うわき ふりこ。年齢は29歳。職業は、フリーのカメラマン」
「相棒ってわけですな」
「そうみたい。共に仕事をしてみたいやね。でもね、浮気していたのも事実みたいと」
「まぁ、尾行調査している時に、そんな雰囲気だったんで特に違和感はないですけど。それで、彼女は何と?」
「何ととは?」
「またまたぁ~ ごまかさなくても良いですよ。事情聴取しているんでしょ。警視庁総出で」
「気づいとったと?」
「まぁねぇ~ それで、彼女は塚児殺害を認めているんですか?」
「いいや。彼女曰く、トイレに行っている間に殺されとったらしいけん。そんで、死体の横でアタフタする長さん見て、犯人見たぁ~思うて逃げたらしいったい」
「失礼な女だ。人を犯人扱いするなんて」
「そんな事はさておき、我が警視庁としては、第一重要参考人として、浮渡布里子を任意で聴取し続けとうと」
「ほう。それをやっているのは所轄署の澤ですよね」
「そう、その通り。因みに彼女も組織の一味として、捜査を受けとうからね」
「きな臭いなぁ~」
 長四郎は頭をボリボリと掻いて、困り顔をする。
「それと、頼まれとった桑子の素性についてやけど」
「はい」
 長四郎は背筋を伸ばして、一川警部の話に耳を傾ける。
「分かりました。調べて頂きありがとうございました。では、また」
 電話を切った長四郎は、最後の一口を飲みソファーに寝転ぶ。
「ふぅ~」
 目を瞑り、長四郎は事件について整理する。
 桑子は確実に麻薬組織と繋がっており、それを警視庁ではなく麻取が追っている。
 でも、麻取は桑子の逮捕に躍起になっており、塚児殺害なんて目もくれていない。
 ということは、塚児殺害は麻薬組織が関わっていないという事なのか?
 長四郎の頭の中でグルグルと先程のような事がかき回っていると、突然、頭に衝撃が走る。
「痛っ!」
 目を開けると、制服姿の燐が目の前に立っていた。
「あら、制服を着ているなんて珍しい」
「そうじゃないでしょ」
「何しに来たの?」
「事件の調査、手伝いに来たんでしょ」
「ああ、そうかい。じゃあ、もう帰りな。今日はやることないし」
「うん、分かった。帰るねって、言う訳ないでしょ」
「俺、酒飲んでいるから今日はやる気ないよぉ~」
「やる気ある私がやるから、あんたは寝てな。パソコン借りるわね」
「どうぞぉ~」
 長四郎は事務所と併設している自室へと入って行くのだった。
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