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第拾伍話-異人
異人-20
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スクリーンに映し出されたのは、長四郎が浴室で見つけた凶器の写真であった。
「これが道前さん殺害の際に使われた凶器です」
「だ、だからなんだというんだ。あの人は元傭兵だったから、そんなナイフを持っていたっておかしくない」
「ねぇ、どうしてあれが彼の持ち物だって分かるの?」
ミシェルのその言葉に、津崎は肩をビクンっと上げ動揺していることが傍から見て取れた。
「以前、見せてもらったことがありまして。だから、分かるんです」
「そうですか。それはいつの事ですか? マンションの防犯カメラ映像を確認しますから。安心してください。あそこのマンションの防犯カメラ映像の保存期間は5年らしいので多分残っているんじゃないかな」
「ということなので、道前さんのマンションを訪れた日を教えてください」
絢巡査長にそう尋ねられた津崎の目は右往左往し、唇は恐怖からくるのかプルプルと震えていた。
津崎の返答を待つこと約1分、だが、津崎の体感で5分程の間が空き津崎は口を開いた。
「あれは6年前です」
「6年前。良く覚えていましたね。工事中のマンションの時のことを」
「はっ!」津崎はそこで自分が失言してしまったことに気づいた。
「事件現場のマンションの入居が開始しされたのが、5年前です。つまり、その1年前は工事中のマンションです。なぜ、道前さんがその工事中のマンションに住んでいると思われたんですか?」
「い、今のマンションではなく前に住んでいたマンションでした」
「ほぉ」長四郎は興味深そうな反応を示す。
「では、そのマンション名を教えてください。6年前の事ですが、津崎さんの無実を証明すると思いましてね」一川警部は優しい口調で言った。
津崎は答えようと思うのだが、答えられない。何故なら、6年前は役員の尻拭いを担当していなかったからであった。
「そ、それは・・・・・・」
「あれれ? おかしいぞぉ~」どこぞの日本一有名な小学生探偵の声真似をする長四郎に合わせて燐もまた「あれれ? おかしいぞぉ~」と同じように真似する。
「早く答えなさいっ!!」
ミシェルが突然、怒鳴ったのでその場に居た全員が驚く。
「ミシェル、落ち着いて」
長四郎が制するのも聞かず、ミシェルは続ける。
「貴方、いつまで白を切るつもりなの? 男でしょ。さっさと認めたらどうなの!!」
ミシェルのその発言を受けた津崎の表情が大きく変わった。
先程まではうろたえている表情だったのだが、急に強気な表情へと変わった。
「そういう発言は如何なものでしょうか? 無理矢理にでも自白させようっていう魂胆ですか? どうなんです!!」
今度は、ミシェルを怒鳴りつける津崎。
ミシェルは何も言い返す事が出来ずに困り果てたような顔になる。津崎は更に続ける。
「貴方達もそうだ。無理矢理にでも僕を犯人に仕立て上げたいらしいが、ちゃんとした証拠を見せてからこう言う茶番劇をしろっ!!」
先程までとは打って変わった態度の津崎に長四郎は動じず、口を開いた。
「証拠とおっしゃいますが、津崎さんが協力して頂けたら無実を証明できるかもしれませんよ。実はですね、このナイフ。犯人が風呂場で指紋が取れないよう洗い流したっぽいんですけど、きちんと流し切れていなかったみたいで残っているんですよ。どうです? 犯行時間に道前さんのマンションを訪れていたのは間違いないんですから疑いを晴らすためにも。ね?」
反論できないのか、津崎は再び口を閉じてしまう。
「また始まった」ミシェルは呆れ顔になる。
「さっきまでの威勢は何だったわけ? 指紋を提出するのか、しないのか、はっきりしなさいよ!!」
燐が机を思いっきり叩くと、津崎はぽつりと呟いた。
「私がやりました。私が道前を殺しました」
津崎はそのまま膝から崩れ落ちた。
「クソ、クソ! クソォォォォォォォォ!!」
何度も何度も拳を床に叩きつけ悔しがる津崎を見て、道前がもし生きていたら自分はこの姿を見ることになったのだろうか、そう思うミシェル。
そして、もう少し早く道前を追い詰める証拠を見つければこの男も人を殺さずに済んだと考えると少し心苦しくなるミシェルであった。
「これが道前さん殺害の際に使われた凶器です」
「だ、だからなんだというんだ。あの人は元傭兵だったから、そんなナイフを持っていたっておかしくない」
「ねぇ、どうしてあれが彼の持ち物だって分かるの?」
ミシェルのその言葉に、津崎は肩をビクンっと上げ動揺していることが傍から見て取れた。
「以前、見せてもらったことがありまして。だから、分かるんです」
「そうですか。それはいつの事ですか? マンションの防犯カメラ映像を確認しますから。安心してください。あそこのマンションの防犯カメラ映像の保存期間は5年らしいので多分残っているんじゃないかな」
「ということなので、道前さんのマンションを訪れた日を教えてください」
絢巡査長にそう尋ねられた津崎の目は右往左往し、唇は恐怖からくるのかプルプルと震えていた。
津崎の返答を待つこと約1分、だが、津崎の体感で5分程の間が空き津崎は口を開いた。
「あれは6年前です」
「6年前。良く覚えていましたね。工事中のマンションの時のことを」
「はっ!」津崎はそこで自分が失言してしまったことに気づいた。
「事件現場のマンションの入居が開始しされたのが、5年前です。つまり、その1年前は工事中のマンションです。なぜ、道前さんがその工事中のマンションに住んでいると思われたんですか?」
「い、今のマンションではなく前に住んでいたマンションでした」
「ほぉ」長四郎は興味深そうな反応を示す。
「では、そのマンション名を教えてください。6年前の事ですが、津崎さんの無実を証明すると思いましてね」一川警部は優しい口調で言った。
津崎は答えようと思うのだが、答えられない。何故なら、6年前は役員の尻拭いを担当していなかったからであった。
「そ、それは・・・・・・」
「あれれ? おかしいぞぉ~」どこぞの日本一有名な小学生探偵の声真似をする長四郎に合わせて燐もまた「あれれ? おかしいぞぉ~」と同じように真似する。
「早く答えなさいっ!!」
ミシェルが突然、怒鳴ったのでその場に居た全員が驚く。
「ミシェル、落ち着いて」
長四郎が制するのも聞かず、ミシェルは続ける。
「貴方、いつまで白を切るつもりなの? 男でしょ。さっさと認めたらどうなの!!」
ミシェルのその発言を受けた津崎の表情が大きく変わった。
先程まではうろたえている表情だったのだが、急に強気な表情へと変わった。
「そういう発言は如何なものでしょうか? 無理矢理にでも自白させようっていう魂胆ですか? どうなんです!!」
今度は、ミシェルを怒鳴りつける津崎。
ミシェルは何も言い返す事が出来ずに困り果てたような顔になる。津崎は更に続ける。
「貴方達もそうだ。無理矢理にでも僕を犯人に仕立て上げたいらしいが、ちゃんとした証拠を見せてからこう言う茶番劇をしろっ!!」
先程までとは打って変わった態度の津崎に長四郎は動じず、口を開いた。
「証拠とおっしゃいますが、津崎さんが協力して頂けたら無実を証明できるかもしれませんよ。実はですね、このナイフ。犯人が風呂場で指紋が取れないよう洗い流したっぽいんですけど、きちんと流し切れていなかったみたいで残っているんですよ。どうです? 犯行時間に道前さんのマンションを訪れていたのは間違いないんですから疑いを晴らすためにも。ね?」
反論できないのか、津崎は再び口を閉じてしまう。
「また始まった」ミシェルは呆れ顔になる。
「さっきまでの威勢は何だったわけ? 指紋を提出するのか、しないのか、はっきりしなさいよ!!」
燐が机を思いっきり叩くと、津崎はぽつりと呟いた。
「私がやりました。私が道前を殺しました」
津崎はそのまま膝から崩れ落ちた。
「クソ、クソ! クソォォォォォォォォ!!」
何度も何度も拳を床に叩きつけ悔しがる津崎を見て、道前がもし生きていたら自分はこの姿を見ることになったのだろうか、そう思うミシェル。
そして、もう少し早く道前を追い詰める証拠を見つければこの男も人を殺さずに済んだと考えると少し心苦しくなるミシェルであった。
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