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第拾弐話-監禁

監禁-11

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「どこから攻めるの?」
 燐は地図を見ながら長四郎に質問する。
 今、長四郎と燐はUZAKAWAから届いた3つ目のミッションに挑んていた。
「う~ん」長四郎は顔をゆがめながら、長考する。
「何、考えているの? あんまり、時間がないんだよ」
 燐の言葉通り、残り時間は50時間を切っていた。
 2つ目のミッションをクリアしてから、7時間近く連絡がなかったのだ。
 そして、30分前にUZAKAWAから長四郎に直接電話で連絡が来たのだ。
 今度のミッションの内容は、UZAKAWA指定した5ヶ所場所のどこかに一川警部が居るというものだった。
 だが、そう簡単にはいかなかった。
 まず、この捜索に多くの捜査員を導入してはならないということ。もう一つは、別の場所に行った際には一川警部に仕掛けられた爆弾が起爆してしまうとのこと。
 だからこそ、おいそれと特定できないのだが、勇逸の救いとして時間制限はなかった。
「ラモちゃん、落ち着け。この5ヶ所の場所のどこかに居るんだから」
「そ、それはそうだけど」
「なぁ、そんな事よりこの5ヶ所なんか綺麗に並んでるとは思わない?」
 長四郎にそう言われた燐は地図を見てすぐに気づいた。
「これ五芒星じゃない?」
「あ、ホントだ」
 長四郎はペンを取り、五か所の場所を線で結ぶと綺麗な五芒星が出来上がった。
「なんか、出来すぎていて気持ち悪いな」
「そういう感想は求めてないから。でも、この五芒星の意味って何だろう? 二重の事件に関係あるのかなぁ~」
「無いと思うぜ。だって、捜査資料によると二重の犯行の特徴は現場にローマ数字が書かれたサイン色紙が置いてあったらしいから」
「じゃあ、共犯の趣味って事?」
「その推理は、一理ある」
「え! ホントに?」嬉しそうな顔をする燐に長四郎は「ああ」とだけ答え場所の特定作業に戻る。
「そう言えば、絢ちゃん。あれっきり戻ってこないな」長四郎は燐にそう話をかけると「そうね。ちょっと、連絡してみる」燐は絢巡査長にメッセージを送る。
 その頃、絢巡査長はというと。
「齋藤君、何か分かった?」
 絢巡査長は、表裏が関わった犯罪者のその後を調べていた。
「分かりませんよ。でも、どうして医者の方なんですか? 二重の方が怪しいんですよね?」
「斉藤君はそんな事気にせず、黙って手を動かす」
「はいはい」
 齋藤刑事は不貞腐れるように返事をし、作業に戻る。
 絢巡査長が何故、表裏を調べようと思ったのか。それは、表裏の手の傷が気になったからだ。
 それから、10分経ったあたりで齋藤刑事が話始めた。
「絢さん、これ調べ始めて3時間ですよ。それで、成果は何一つない。意味ないんじゃないですか?」
「やかましいっ!!」
 絢巡査長に怒鳴られ驚く齋藤刑事。
「良い? 重要参考人と接触した癖に何も怪しいところはなかったとか言うバカ刑事が一丁前に意見するんじゃねぇ!!」
「す、すいません」齋藤刑事は謝罪し、がっくりと落とす。
 すると、絢巡査長のスマホにメッセージが届いた通知が表示される。
 内容は、長四郎が第三のミッションに挑んでいる事。絢巡査長からの報告を待っているとの事だった。
 絢巡査長はスマホをスピーカーモードにして、燐に電話を掛ける。
「もしもし、絢さん。今、何しているんですか?」最初に話を切り出したのは燐であった。
「実はね、共犯の正体が分かったかもなの」
「ホントですか」歓喜の声を上げる燐もまたスピーカーモードにし、長四郎にも聞こえるようにする。
「まだ憶測の域を出ないけど。二重の担当医、表裏が怪しいと私は思っているの」
「何か根拠があってのことだとは思うけど、気になる事でもあったの?」
「長さんですか? そうです。今朝に無かった傷があったんです。それも二重にもあった傷の箇所と酷似しているんです」
「ほぉ~それって、拳に傷があるって事?」
「その通りです」
「絢ちゃんの着眼点は間違ってないと俺は考えるから、そのまま捜査して」
「分かりました。長さんの方はどうです?」
「絶賛、苦戦中」
「どういう指令なんですか」
 長四郎に代わって、燐がミッション内容を伝えた。
「成程。それは迂闊に手は出せませんね」
「そうなんです。大した手掛かりはなくて、あるのは五芒星ぐらいで」
「五芒星。分かった。こっちも頭の片隅に入れて捜査を続けるから。そっちの方は任せた」
「はぁ~い。頑張りまぁ~す」長四郎のその返事と共に、通話は終了した。
「絢さん、凄いね。自力で共犯見つけたよ」燐はスマホを机に置きながら話かける。
「そうだなぁ~俺の見せ場が減るってもんだよ」ムスッとする長四郎。
「で、絢さんと話して何か思いついた?」
「んにゃ。何も思いつかん。これのどこかに居ると言われても手掛かり少なすぎるし、UZAKAWAにヒント求めても返信ないし、時間稼ぎの罠に引っかかっているんだよなぁ~腹減った」
「何か頼もうか?」
「牛丼若しくはカルビ丼で宜しく」
「脂っこ。太るよ」
「気にしないね。火事場の馬鹿力を発揮する為に必要なの」
 そんな長四郎の言葉を無視し、燐は牛丼、カルビ丼両方を大盛りで注文するのだった。
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