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第拾壱話-仲間
仲間-6
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長四郎は股間の痛みに耐えながら、再び長部が狙撃された現場へと戻った。
マスコミも駆けつけ騒がしい中、警察官達は事件の手掛かりになるようなものはないか、課を越えて捜索にあたっていた。
長四郎はそんな警察官達の邪魔にならないようにしながら、会社内を歩く絢巡査長の元へ向かう。
「絢ちゃん」
「あ、長さん」
「どう? 何か見つかった?」
「いいえ、何も。聞き込みをしても大した情報は?」
「そうか」
「あの会長の方に着いてなくて良いんですか?」
「大丈夫でしょ。病院の最上階に居るし、本職の人達が警護しているわけだから、素人の俺が居たら邪魔でしょう」
「はぁ」
「それに長部さんが撃ち殺されたのが解せない」
「というのは?」
「脅迫状には、「秀彦の命を貰う」って書いてあったからです」
燐が長四郎の解せない理由を答えながら、こちらに向かって近づいてくる。
「怒りは収まったのか?」長四郎の問いに燐は「い~やっ」と声を張り上げて答える。
「それでこれからの捜査方針は、何か考えているんですか?」
「い~やっ」長四郎は燐の真似をしながら答えた瞬間、燐に足の甲を思いっきり踏みつけられいつも通り、長四郎の絶叫がその場に響き渡るのだった。
翌日、長四郎と燐はトラベル弁当の工場へと来ていた。
「どうもぉ~」
長四郎はそう言いながらトラベル弁当の事務所に入って行くと一番手前に座っていた事務員のおばちゃんがこちらに近づいてくる。
「弁当のご依頼ですか?」おばちゃんはそう言いながら、メニュー表を取り出す。
「注文に来たんじゃないんです。実は、夏月産業で起きた事件の聞き込みに来たんで」
「ああ、あの事件の」
「はい。こちらの弁当屋さんは取引があると聞いたものですから。事件に繋がるような情報が聞きだせないかと思いましてね」
「そういう事でしたか。少々お待ちください」
おばちゃんは、自分のデスクに戻りノートパソコンで何かを調べてから長四郎達の元へと戻ってきた。
「配達員の河合君は、配達に行ったばかりで居ないんですけど」
「そうですか。配達ルートとか分かります」
「はい?」
「こちらで待っているのも申し訳ないですし、話も2,3聞くだけで業務に支障をきたす事はないので」
「はぁ、分かりました。お待ちください」
おばちゃんは再び自席に戻りパソコンを操作し、配達ルートの地図を印刷し長四郎に渡す。
「ありがとうございます。それと、河合さんの勤務態度ってどのような感じですか?」
「見た目は派手な感じですけど、真面目かつ誠実で配達先のお客様からの評判も群を抜いて良いんですよ」
「成程。ありがとうございました」
「あの河合君が事件に関わっているんですか?」おばちゃん特有の嗅覚が働いたのか、興味津々と言った感じで聞いてきた。
「いえいえ、個人的興味です。夏月産業の人も同じような事を仰っていたので」
「そうですか」期待していた回答ではなく素っ気なくおばちゃんは返事をする。
「では、失礼します」
長四郎と燐はおばちゃんに一礼し事務所を出ると、工場の入口前に配達用の車が止まっていたのを見つけた長四郎は車に近づいて内装を観察し始める。
「ねぇ、何かあるの?」
燐は長四郎にそう尋ねながら車内を見るが、特に変わった所はなかった。
車はワンボックスカーで、後部座席は倒されており弁当が奥まで詰め込めるようにしてあり、ルームミラーの裏にはドライブレコーダーが付いているだけの至って普通の配送車といった感じであった。
「何にもない。行くぞ」
長四郎は燐の質問に答えてトラベル弁当を後にし、次に訪れたのは夏月産業の本社ビルであった。
会社前を報道陣が取り囲んでおり、出勤する社員にインタビューを行っていたのが今朝のテレビニュースで報道されていた。
長四郎と燐はそんな報道陣達を潜り抜けて、入口前に立っている制服警官に「命捜班の一川だ」と一川警部の真似をしながら自己紹介すると社内に通された。
「良いの? あんな事言って」
ビルに入ってすぐ燐は長四郎に尋ねると「良いんじゃない? ハゲ頭で見抜けなかったあの警察官が悪い」と長四郎は答えてエレベーターホールに向かう。
長四郎は上階に向かうボタンを押し、エレベーターが来るのを待っていると共にエレベーターを待っている男性社員二人が興味深い話をしていた。
「やっぱり、長部さんが殺されたのって新垣さんの復讐なのかな」
「そんな訳ないだろう」と話を切り出した社員を嘲笑する。
「でも、それしか考えられないだろう。徹田さんと長部さんが殺されたんだから」
「滅多な事を言うんじゃないぞ。あの件はもう片付いたんだから」そう言ったと同時にエレベーターが一回に到着し、乗り込む。
「何階ですか?」
エレベーターボタンの前に立った長四郎が社員に尋ねると「11階です」と答え11階のボタンを押し、長四郎は17階のボタンを押した。
先程の会話を聞かれたと思ったのか、男性社員二人は何もしゃべらなくなった。
燐はこの隙に、新垣について聞き出そうと社員の方を向こうとするのを長四郎は黙って制止する。
そのままエレベーターは11階に到着し、男性社員二人は降りていった。
「ちょっと! どうして行かせちゃうわけ?」
「良いんだよ。あそこで聞いても誤魔化されるだけだし」
「そうなの?」
「そうなのぉ~」
「でも、興味深い話だったわよね」
「ああ。被害者二人は昔、あの部署に関わっていたんだろうな」
「で、どうするの?」
「さぁ、どうしようか?」
17階に着いたエレベーターから降り、長四郎が歩を進めた方に向けて燐もまた歩き出すのだった。
マスコミも駆けつけ騒がしい中、警察官達は事件の手掛かりになるようなものはないか、課を越えて捜索にあたっていた。
長四郎はそんな警察官達の邪魔にならないようにしながら、会社内を歩く絢巡査長の元へ向かう。
「絢ちゃん」
「あ、長さん」
「どう? 何か見つかった?」
「いいえ、何も。聞き込みをしても大した情報は?」
「そうか」
「あの会長の方に着いてなくて良いんですか?」
「大丈夫でしょ。病院の最上階に居るし、本職の人達が警護しているわけだから、素人の俺が居たら邪魔でしょう」
「はぁ」
「それに長部さんが撃ち殺されたのが解せない」
「というのは?」
「脅迫状には、「秀彦の命を貰う」って書いてあったからです」
燐が長四郎の解せない理由を答えながら、こちらに向かって近づいてくる。
「怒りは収まったのか?」長四郎の問いに燐は「い~やっ」と声を張り上げて答える。
「それでこれからの捜査方針は、何か考えているんですか?」
「い~やっ」長四郎は燐の真似をしながら答えた瞬間、燐に足の甲を思いっきり踏みつけられいつも通り、長四郎の絶叫がその場に響き渡るのだった。
翌日、長四郎と燐はトラベル弁当の工場へと来ていた。
「どうもぉ~」
長四郎はそう言いながらトラベル弁当の事務所に入って行くと一番手前に座っていた事務員のおばちゃんがこちらに近づいてくる。
「弁当のご依頼ですか?」おばちゃんはそう言いながら、メニュー表を取り出す。
「注文に来たんじゃないんです。実は、夏月産業で起きた事件の聞き込みに来たんで」
「ああ、あの事件の」
「はい。こちらの弁当屋さんは取引があると聞いたものですから。事件に繋がるような情報が聞きだせないかと思いましてね」
「そういう事でしたか。少々お待ちください」
おばちゃんは、自分のデスクに戻りノートパソコンで何かを調べてから長四郎達の元へと戻ってきた。
「配達員の河合君は、配達に行ったばかりで居ないんですけど」
「そうですか。配達ルートとか分かります」
「はい?」
「こちらで待っているのも申し訳ないですし、話も2,3聞くだけで業務に支障をきたす事はないので」
「はぁ、分かりました。お待ちください」
おばちゃんは再び自席に戻りパソコンを操作し、配達ルートの地図を印刷し長四郎に渡す。
「ありがとうございます。それと、河合さんの勤務態度ってどのような感じですか?」
「見た目は派手な感じですけど、真面目かつ誠実で配達先のお客様からの評判も群を抜いて良いんですよ」
「成程。ありがとうございました」
「あの河合君が事件に関わっているんですか?」おばちゃん特有の嗅覚が働いたのか、興味津々と言った感じで聞いてきた。
「いえいえ、個人的興味です。夏月産業の人も同じような事を仰っていたので」
「そうですか」期待していた回答ではなく素っ気なくおばちゃんは返事をする。
「では、失礼します」
長四郎と燐はおばちゃんに一礼し事務所を出ると、工場の入口前に配達用の車が止まっていたのを見つけた長四郎は車に近づいて内装を観察し始める。
「ねぇ、何かあるの?」
燐は長四郎にそう尋ねながら車内を見るが、特に変わった所はなかった。
車はワンボックスカーで、後部座席は倒されており弁当が奥まで詰め込めるようにしてあり、ルームミラーの裏にはドライブレコーダーが付いているだけの至って普通の配送車といった感じであった。
「何にもない。行くぞ」
長四郎は燐の質問に答えてトラベル弁当を後にし、次に訪れたのは夏月産業の本社ビルであった。
会社前を報道陣が取り囲んでおり、出勤する社員にインタビューを行っていたのが今朝のテレビニュースで報道されていた。
長四郎と燐はそんな報道陣達を潜り抜けて、入口前に立っている制服警官に「命捜班の一川だ」と一川警部の真似をしながら自己紹介すると社内に通された。
「良いの? あんな事言って」
ビルに入ってすぐ燐は長四郎に尋ねると「良いんじゃない? ハゲ頭で見抜けなかったあの警察官が悪い」と長四郎は答えてエレベーターホールに向かう。
長四郎は上階に向かうボタンを押し、エレベーターが来るのを待っていると共にエレベーターを待っている男性社員二人が興味深い話をしていた。
「やっぱり、長部さんが殺されたのって新垣さんの復讐なのかな」
「そんな訳ないだろう」と話を切り出した社員を嘲笑する。
「でも、それしか考えられないだろう。徹田さんと長部さんが殺されたんだから」
「滅多な事を言うんじゃないぞ。あの件はもう片付いたんだから」そう言ったと同時にエレベーターが一回に到着し、乗り込む。
「何階ですか?」
エレベーターボタンの前に立った長四郎が社員に尋ねると「11階です」と答え11階のボタンを押し、長四郎は17階のボタンを押した。
先程の会話を聞かれたと思ったのか、男性社員二人は何もしゃべらなくなった。
燐はこの隙に、新垣について聞き出そうと社員の方を向こうとするのを長四郎は黙って制止する。
そのままエレベーターは11階に到着し、男性社員二人は降りていった。
「ちょっと! どうして行かせちゃうわけ?」
「良いんだよ。あそこで聞いても誤魔化されるだけだし」
「そうなの?」
「そうなのぉ~」
「でも、興味深い話だったわよね」
「ああ。被害者二人は昔、あの部署に関わっていたんだろうな」
「で、どうするの?」
「さぁ、どうしようか?」
17階に着いたエレベーターから降り、長四郎が歩を進めた方に向けて燐もまた歩き出すのだった。
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