150 / 544
第拾話-詐欺
詐欺-2
しおりを挟む
「何なのよ! あいつ。デレデレしちゃってさ!!」
燐は不満を漏らしながら、廊下を歩いていると一人キョロキョロと辺りを見回しながらまるで何かに怯えているような男が燐の目の前を通り過ぎて行った。
「何、あのおっさん」燐は不思議そうにその男を見送ると、再びビラ配りの為、校庭へと出て行く。
「二年B組、メイドカフェやってまぁーす」気だるそうにビラを配る燐。
だが、それに反して燐の可愛さからなのか、男どもが次々とビラを貰いに来る。
中には、埼玉県春日部市から来たという35歳男性から声をかけられる始末。
色々と根掘り葉掘り聞いて来るので、うっとおしく思っていると赤ちゃんを抱えた推定29歳の女性が助けてくれた。
どうやらこの二人は夫婦らしく、奥さんにしっ責されながら35歳男性は連行されていった。
その束の間、坊主頭の赤い服を着た5歳児に声をかけられるだけでなくナンパされ困っていると先程、旦那を連行した奥さんが戻って来て子供をしかりつけ、その子もまた父親同様に連行された。
あの台風一家は、一体何だったのか。燐は気疲れしていると来客用の駐車場から、女性の悲鳴が聞こえてきた。
燐はビラを放り投げ、来客用駐車場へ走り出す。
現場へものの25秒程で駆けつける燐が見た物は、車横で倒れている男性と3歳児ぐらいの子供を抱きかかえている母親であった。
「どうしたんですか?」燐が母親に尋ねると「し、死体ですっ」声を震わせながら必死になって伝える。
「ホントですか!?」燐は驚きつつ母親に「お子さんを連れてこの男性が見えない所まで離れて警察が来るまで待っておいてください。私が、警察とか呼びますから」と冷静に指示を出す。
「はい。お願いします」母親は燐に軽く頭を下げてその場を後にした。
燐は脈がないか確認し、絢巡査長に電話する。
「はい、こちら警視庁命捜班カスタマーセンターです」
絢巡査長はオペレーター風に電話に出た。
「絢さん、事件発生です」
「場所はどこ?」
「私が通う変蛇内高校の来客用駐車場です。それと、今文化祭をやっているので警察車両が入りにくい可能性はあります」
「分かった。ありがとう。学校の先生にも警察車両が来ること伝えて。客の整理をお願いしといて」
「はい。分かりました。後、長四郎も来ているんですけど、現場を荒らさないようにしますんで、先に捜査して良いですか?」
「もう、長さん居るの?」
「偶々、来ていたんです。良いですよね?」
「うん、一川さんもOKサイン出しているから良いけど。第一発見者はラモちゃんで良いの?」
「いや、来客の親子ですね。その親子から先に話聞いときます」
「じゃあ、お願い。なるべく人は近づけないようにしてね」
「ラジャー」燐は敬礼ポーズを取りながら返事する。
「私達、今から出るから何か分かったらまたかけて」
「はい」
そこで通話が切られた。
ふぅーっと燐は息を吐き捜査に取り掛かる為、気合いを入れて第一発見者の元へと向かおうとする。
すると、背後から「羅猛っ!!また、お前か!!」っと言う天敵の熱血教師の声が聞こえてきた。
燐はどうしたものかと考えていると、天敵の横から「ラモちゃん、また事件引き寄せたの?」と吞気な長四郎の声が聞こえてきた。
「あ、来た」
「あ、来た。じゃねえよ。殺人?」長四郎がそう尋ねる横で、熱血教師は金切り声を出しながら終始、燐を怒鳴り続ける。
「そうみたい。第一発見者は親子。そんで、絢さん達にはもう連絡した」
「手際が良いね。じゃあ、バカ教師。ここに人が入らないように他の先生方と協力してね。後、客にも事件が発生したとは言わずになるべくいてもらうようにして。警察車両も来るだろうからそれの交通整理もね」
長四郎がそう指示を出すと熱血教師は顔を真っ赤にして「何だ。貴様!! 俺に命令するな! 羅猛っ、お前がこの人を殺したんだな。今すぐ、職員室へ来い!!」と叫び散らしながら燐の腕を引っ張りながら職員室へと連行しようとする。
「助けなさいよ!!」
ジタバタと暴れまわりながら、助けを求める燐に長四郎はボイスレコーダーを投げ渡し「頑張れよぉ~」と言い見送るのだった。
「さてと」長四郎は後から来た別の教師に事情を説明して、協力を取り付ける事に成功し第一発見者から話を聞く為、その親子を探すと現場から数十メートル離れた所の石段の上で子供抱えたまま座り身体を震わせている母親が居たので、長四郎はその母親が第一発見者と踏んで話を聞くことにした。
「あの、すいません」そう声を掛けると弱々しく「はい」そう答える母親。
よく見たらこの母親、先程、長四郎の足を踏んずけてどこかへ去って行った子供の母親で抱きかかえられている子供も同じ子供だったが、長四郎は敢えてそこに触れは触れず死体発見時の状況について聞く。
「辛いところ申し訳ありませんが、発見時の状況について教えて頂けませんか?」
「はい。この子が駆けずり回っていたのでそれを追いかけていたら、この子があの男の人が倒れているのを見つけて。倒れていたので声を掛けても反応がなかったんです。それで揺さぶってみたら、首元に絞められたような痕があって・・・・・・・」
「もう大丈夫です」母親が言葉に詰まったタイミングで話を中断させた。
「あの私は殺していません!!」母親は長四郎に強く否定すると「分かっています。一応、確認なのですがあの男性と面識はないんですよね?」と質問すると「ありません」と即答した。
「分かりました。最後にもう一つだけ」と前置きし「不審人物とか見ませんでした? お子さんも含めて」と質問した。
「私もこの子も見てません」と返答した。
「分かりました。ありがとうございました。後、警察が来るまで待っていて頂けますか?」
「構いませんけど。あなた、警察じゃないんですか?」
「違いますよ。女子高生と共にやって来る探偵です」
長四郎はそう答え、事件現場に戻り、カラーコーンを立てている教師に怯えている母親を保健室に通すよう指示を出して死体の状態を確認するのだった。
燐は不満を漏らしながら、廊下を歩いていると一人キョロキョロと辺りを見回しながらまるで何かに怯えているような男が燐の目の前を通り過ぎて行った。
「何、あのおっさん」燐は不思議そうにその男を見送ると、再びビラ配りの為、校庭へと出て行く。
「二年B組、メイドカフェやってまぁーす」気だるそうにビラを配る燐。
だが、それに反して燐の可愛さからなのか、男どもが次々とビラを貰いに来る。
中には、埼玉県春日部市から来たという35歳男性から声をかけられる始末。
色々と根掘り葉掘り聞いて来るので、うっとおしく思っていると赤ちゃんを抱えた推定29歳の女性が助けてくれた。
どうやらこの二人は夫婦らしく、奥さんにしっ責されながら35歳男性は連行されていった。
その束の間、坊主頭の赤い服を着た5歳児に声をかけられるだけでなくナンパされ困っていると先程、旦那を連行した奥さんが戻って来て子供をしかりつけ、その子もまた父親同様に連行された。
あの台風一家は、一体何だったのか。燐は気疲れしていると来客用の駐車場から、女性の悲鳴が聞こえてきた。
燐はビラを放り投げ、来客用駐車場へ走り出す。
現場へものの25秒程で駆けつける燐が見た物は、車横で倒れている男性と3歳児ぐらいの子供を抱きかかえている母親であった。
「どうしたんですか?」燐が母親に尋ねると「し、死体ですっ」声を震わせながら必死になって伝える。
「ホントですか!?」燐は驚きつつ母親に「お子さんを連れてこの男性が見えない所まで離れて警察が来るまで待っておいてください。私が、警察とか呼びますから」と冷静に指示を出す。
「はい。お願いします」母親は燐に軽く頭を下げてその場を後にした。
燐は脈がないか確認し、絢巡査長に電話する。
「はい、こちら警視庁命捜班カスタマーセンターです」
絢巡査長はオペレーター風に電話に出た。
「絢さん、事件発生です」
「場所はどこ?」
「私が通う変蛇内高校の来客用駐車場です。それと、今文化祭をやっているので警察車両が入りにくい可能性はあります」
「分かった。ありがとう。学校の先生にも警察車両が来ること伝えて。客の整理をお願いしといて」
「はい。分かりました。後、長四郎も来ているんですけど、現場を荒らさないようにしますんで、先に捜査して良いですか?」
「もう、長さん居るの?」
「偶々、来ていたんです。良いですよね?」
「うん、一川さんもOKサイン出しているから良いけど。第一発見者はラモちゃんで良いの?」
「いや、来客の親子ですね。その親子から先に話聞いときます」
「じゃあ、お願い。なるべく人は近づけないようにしてね」
「ラジャー」燐は敬礼ポーズを取りながら返事する。
「私達、今から出るから何か分かったらまたかけて」
「はい」
そこで通話が切られた。
ふぅーっと燐は息を吐き捜査に取り掛かる為、気合いを入れて第一発見者の元へと向かおうとする。
すると、背後から「羅猛っ!!また、お前か!!」っと言う天敵の熱血教師の声が聞こえてきた。
燐はどうしたものかと考えていると、天敵の横から「ラモちゃん、また事件引き寄せたの?」と吞気な長四郎の声が聞こえてきた。
「あ、来た」
「あ、来た。じゃねえよ。殺人?」長四郎がそう尋ねる横で、熱血教師は金切り声を出しながら終始、燐を怒鳴り続ける。
「そうみたい。第一発見者は親子。そんで、絢さん達にはもう連絡した」
「手際が良いね。じゃあ、バカ教師。ここに人が入らないように他の先生方と協力してね。後、客にも事件が発生したとは言わずになるべくいてもらうようにして。警察車両も来るだろうからそれの交通整理もね」
長四郎がそう指示を出すと熱血教師は顔を真っ赤にして「何だ。貴様!! 俺に命令するな! 羅猛っ、お前がこの人を殺したんだな。今すぐ、職員室へ来い!!」と叫び散らしながら燐の腕を引っ張りながら職員室へと連行しようとする。
「助けなさいよ!!」
ジタバタと暴れまわりながら、助けを求める燐に長四郎はボイスレコーダーを投げ渡し「頑張れよぉ~」と言い見送るのだった。
「さてと」長四郎は後から来た別の教師に事情を説明して、協力を取り付ける事に成功し第一発見者から話を聞く為、その親子を探すと現場から数十メートル離れた所の石段の上で子供抱えたまま座り身体を震わせている母親が居たので、長四郎はその母親が第一発見者と踏んで話を聞くことにした。
「あの、すいません」そう声を掛けると弱々しく「はい」そう答える母親。
よく見たらこの母親、先程、長四郎の足を踏んずけてどこかへ去って行った子供の母親で抱きかかえられている子供も同じ子供だったが、長四郎は敢えてそこに触れは触れず死体発見時の状況について聞く。
「辛いところ申し訳ありませんが、発見時の状況について教えて頂けませんか?」
「はい。この子が駆けずり回っていたのでそれを追いかけていたら、この子があの男の人が倒れているのを見つけて。倒れていたので声を掛けても反応がなかったんです。それで揺さぶってみたら、首元に絞められたような痕があって・・・・・・・」
「もう大丈夫です」母親が言葉に詰まったタイミングで話を中断させた。
「あの私は殺していません!!」母親は長四郎に強く否定すると「分かっています。一応、確認なのですがあの男性と面識はないんですよね?」と質問すると「ありません」と即答した。
「分かりました。最後にもう一つだけ」と前置きし「不審人物とか見ませんでした? お子さんも含めて」と質問した。
「私もこの子も見てません」と返答した。
「分かりました。ありがとうございました。後、警察が来るまで待っていて頂けますか?」
「構いませんけど。あなた、警察じゃないんですか?」
「違いますよ。女子高生と共にやって来る探偵です」
長四郎はそう答え、事件現場に戻り、カラーコーンを立てている教師に怯えている母親を保健室に通すよう指示を出して死体の状態を確認するのだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
グリムの囁き
ふるは ゆう
ミステリー
7年前の児童惨殺事件から続く、猟奇殺人の真相を刑事たちが追う! そのグリムとは……。
7年前の児童惨殺事件での唯一の生き残りの女性が失踪した。当時、担当していた捜査一課の石川は新人の陣内と捜査を開始した矢先、事件は意外な結末を迎える。
Pieces of Memory ~記憶の断片の黙示録~
橋本健太
大衆娯楽
関西の自然溢れる文化的な大都市 神戸のとある小さな探偵事務所に、将来有望な二人の若手探偵がいた。男の子の方は神田雅文(22)といい、北野エリアに住む富豪の息子。女の子の方は、桐島美夜子(22)といい、芦屋の六麓荘に住むセレブのお嬢様。この二人は、依頼者の話から、自分自身と相手の記憶の断片を探し出して、それを繋ぎ合わせて事件を解決していく。
雅文は過去の記憶を辿ることに、興味と関心があり、愛読している小説「奴隷ゲーム」にもそれらに関することが記述してあった。この「奴隷ゲーム」は実話に基づいて描かれてある。ある日、探偵事務所にやってきた一人の女子高生 彼女はある男に狙われていた。この男との戦いが、過去に起きた大事件とこれから起こる反社会的勢力との戦いの伏線になろうとは…。
その戦いの中で、雅文は何者かに襲撃され、重傷を負う。意識は戻ったが、彼は青春時代の記憶だけ失ってしまった。上司のツテで、神戸市内の高校に通わせてもらうことになったが…。
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
LISTEN 狂犬刑事と道楽探偵、初めてのお推理。
伏瀬通 亀更新
ミステリー
身長177cm、性格は少々過激で負けず嫌い、憧れは捜査一課の窓際部署(⁉︎)。
あまりにも男前な女性刑事・今坂真理は、ある日、ひったくりを追っている最中に白髪の少女に出会った。謎めいた少女は、逃げたひったくりの居場所をぴたりと言い当て、その場を去ってしまう。
しかし、ひったくりを確保した今坂が署に戻ると、そこには再びあの少女が。彼女は自らが「道楽探偵」であることを明かし、今坂に補助役につけと言い出す。挙げ句の果てには上司まで、止めるどころか補助役になることを命令してきて……?
金持ち道楽迷探偵×イケメン(女)刑事のドタバタミステリー(?)。
個性派JK☆勢揃いっ!【完結済み】
M・A・J・O
青春
【第5回&第6回カクヨムWeb小説コンテスト、中間選考突破!】
【第2回ファミ通文庫大賞、中間選考突破!】
庇護欲をそそる人見知りJK、女子力の高い姐御肌JK、ちょっぴりドジな優等生JK……などなど。
様々な個性を持ったJKたちが集う、私立の聖タピオカ女子高等学校。
小高い丘の上に建てられた校舎の中で、JKたちはどう過ごしていくのか。
カトリック系の女子校という秘密の花園(?)で、JKたちの個性が炸裂する!
青春!日常!学園!ガールズコメディー!ここに開幕――ッッ!
☆ ☆ ☆
人見知りコミュ障の美久里は、最高の青春を送ろうと意気込み。
面倒見がいいサバサバした性格の朔良は、あっという間に友だちができ。
背が小さくて頭のいい萌花は、テストをもらった際にちょっとしたドジを踏み。
絵を描くのが得意でマイペースな紫乃は、描き途中の絵を見られるのが恥ずかしいようで。
プロ作家の葉奈は、勉強も運動もだめだめ。
たくさんの恋人がいるあざとい瑠衣は、何やら闇を抱えているらしい。
そんな彼女らの青春は、まだ始まったばかり――
※視点人物がころころ変わる。
※だいたい一話完結。
※サブタイトル後のカッコ内は視点人物。
・表紙絵は秀和様(@Lv9o5)より。
20年かけた恋が実ったって言うけど結局は略奪でしょ?
ヘロディア
恋愛
偶然にも夫が、知らない女性に告白されるのを目撃してしまった主人公。
彼女はショックを受けたが、更に夫がその女性を抱きしめ、その関係性を理解してしまう。
その女性は、20年かけた恋が実った、とまるで物語のヒロインのように言い、訳がわからなくなる主人公。
数日が経ち、夫から今夜は帰れないから先に寝て、とメールが届いて、主人公の不安は確信に変わる。夫を追った先でみたものとは…
人狼ゲーム『Selfishly -エリカの礎-』
半沢柚々
ミステリー
「誰が……誰が人狼なんだよ!?」
「用心棒の人、頼む、今晩は俺を守ってくれ」
「違う! うちは村人だよ!!」
『汝は人狼なりや?』
――――Are You a Werewolf?
――――ゲームスタート
「あたしはね、商品だったのよ? この顔も、髪も、体も。……でもね、心は、売らない」
「…………人狼として、処刑する」
人気上昇の人狼ゲームをモチーフにしたデスゲーム。
全会話形式で進行します。
この作品は『村人』視点で読者様も一緒に推理できるような公正になっております。同時進行で『人狼』視点の物も書いているので、完結したら『暴露モード』と言う形で公開します。プロット的にはかなり違う物語になる予定です。
▼この作品は【自サイト】、【小説家になろう】、【ハーメルン】、【comico】にて多重投稿されております。
憑代の柩
菱沼あゆ
ミステリー
「お前の顔は整形しておいた。今から、僕の婚約者となって、真犯人を探すんだ」
教会での爆破事件に巻き込まれ。
目が覚めたら、記憶喪失な上に、勝手に整形されていた『私』。
「何もかもお前のせいだ」
そう言う男に逆らえず、彼の婚約者となって、真犯人を探すが。
周りは怪しい人間と霊ばかり――。
ホラー&ミステリー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる