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起点-第壱話 改訂第一版
起点-11
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今度は、レッカー移動されないよう事務所最寄りのコインパーキングに車を止め事務所に向かう寅三郎と翔。
事務所に入ると、縄で縛られ拘束された男二人が床に寝そべっていた。
しかも、口には猿轡までしてある。
「ちょっと! これはやりすぎです!」
翔は、拘束されている男たちの縄を解こうとする。
「ちょっと、瑠希君何してるの。
解いちゃダメでしょ」
翔を男から引き離す鳴本所長。
「所長さん!彼らを離してください。
これは立派な監禁です!」
「あら、思ってたより堅物なのね」
その光景を見ながら、事情聴取のため一人だけ猿轡を外す寅三郎。
「で、お前さんたちがここに石投げこんでくれたの」
「し、知らねえよ!」男の一人・山谷が否定する。
「しらばっくれても無駄。ちゃんと証拠はあるんだから!」と所長。
「お前、あの人あまり怒らせないほうが良いよ。
こんな怪我じゃ済んだのが奇跡なくらいだから。本当だよ」
寅三郎は、そう言って、痣ができている頬を思いっきり抓る。
「痛たたっ!」山谷はジタバタとする。
「寅さん、やりすぎです!」
翔は、寅三郎に駆け寄り抓っている手を離させる。
「もう、楽しんでいたのに。」寅三郎は不貞腐れる。
苦悶の表情で山谷は、のたうち回る。
「全く。君達は誰に頼まれてこんなことをしたんだ?」
翔が山谷に聞くがだんまりを決め込まれる。
「優って奴だろ。」寅三郎が言うと山谷ともう一人の男は明らかに動揺して見せる。
「なんでそれを!?」山谷は迂闊にも喋ってしまう。
「本当なのか?」
翔の問いに頷く山谷。
捜査5日目
覆面パトカーの中から優が経営する板金工場を偵察する寅三郎、翔。
「寅さん」翔は寅三郎に話しかける。
「どうした」
「昨日お会いした桂田さんに、遺骨の引き取りお願いするのを忘れてました」
「そうだったけ?ごめん、俺も気づいてなかったわ」
スマホゲームに夢中の寅三郎。
「どうしましょう」
「どうするって、俺の業務の内に入ってないから。
自分でどうにかしろよ」
「そんな事言わずに、僕達バディじゃないですか!」
「いつから俺とお前がバディになったよ」
「いやいやこうして事件解決に奮闘しているじゃありませんか!」
「お互いの利害が一致しているからだし。
刑事ならそれくらい出来ないとこの先、務まらないよ」
「寅さんも見たでしょう。
あの引き取ってもらえなそうな感じ」
「はぁ~」
寅三郎は深いため息をつくと同時に、スマホゲームを止める。
「新人君はもう少し人を観察する癖つけた方が良いよ」
「どうしてですか?」
「いやいや、桂田さん。強がっているように見えるけど目には終始、涙が溢れていたぜ。
それに彼女言っていたじゃない自分で、未婚の母ですって。
女手一つで子供育てるって並大抵じゃないよ。
彼女、子供は居ても結婚するタイミングは今まであったとは思うよ。勝手な推測だけど。
でも、彼女はそれを選ばなかった。
それは何故か、加藤の事を今でも愛して帰って来るのを待っていたんだよ。
そんなのも分からないようじゃダメだな」
「すいません」頭を下げ、翔は自分の観察眼の無さに凹む。
「ま、今回さ、こんな最悪な結果になったけど。
俺達にできることは、犯人を見つけ真実にたどり着くことじゃん」
「はい」
「だからさ、こうしてじっと張り込みをするんじゃなくて。
「一気にいくんだよ! 一気に!!」って、あぶねぇ刑事が言っていたよ」
「寅さん、そういうことじゃないと思いますけど」
「ノリが悪いねぇ~
ほら、弾はこんなにあるのに」
後部座席に置いてあるバックの中から例の鳥モチ弾を出す。
「君、実銃だから実銃使用の弾も持ってきたよ」
「思ってたんですけど。なんでそんな物騒なもの持ってるんですか?」
「言ってなかったっけ?
これ、内の所長の方針で持ってるの」
「え?あの所長さんが?」
「そう、君が大好きな所長ね。
ほら、普通の探偵と違って警察の下請けを請け負っているから。
護身用にってね。それに昔、あんな事があったから余計な」
「そうなんですね。因みに、あんな事というのは?」
「う~ん、それは秘密。
じゃあ、これ銃に込めたら行くぞ」
寅三郎は翔に実銃用の弾を渡し、一応受け取る翔。
「込めません!」
「ああそう。俺達を襲ってこいっていう奴らよ。
簡単にお縄についてくれるとは思わないけどね」
「分かりました」
翔は渋々、携行しているS&W M10に鳥モチ弾を込める。
「よしっ!行くか!!」
車を降り、板金工場へ歩き出す二人。
工場に入ると、従業員の一人が話しかけてきた。
「あの、修理依頼ですか?」
その従業員の首にはコルセットを着用しており、手も擦り傷を覆う絆創膏だらけだった。
寅三郎と翔は、この男が自分達を遅い逃げ切った男の一人なのだろうと確信した。
「違います。あのこの事務所に優さんはいらっしゃいますか?」翔が尋ねる。
「あ、社長ですか。社長ぉ~!」
事務所に居た優は、もしもの時にと用意した拳銃トカレフTT-33を机の引き出しから取り出しつなぎ服の懐にしまい、事務所から出る。
「貴方達、警察でしょう」優が二人に声を掛ける。
「ご名答。クズ野郎の分際で意外と察しはいいんだな」
寅三郎がいきなり優にケンカを売り始める。
「どういう意味ですか?」顔を引きつらせる優。
「言葉の通りだよ。自分の後輩使って邪魔な奴を消そうとする野郎は、ゴミだよ」
「んだと、この野郎!!!!」
優はつなぎ服の中から、拳銃を取り出す。
それを見るや否や寅三郎、翔に応対した従業員とモブキャストの従業員二人の計三人は事務所に引っ込む。
「おお、怖っ!
新人君。これ銃刀法違反だよね?」
両手を挙げ、横に居る翔に聞く寅三郎。
「本物であれば。あの、僕達はお話を聞きたいだけなので銃を降ろしてもらえますか?」
冷静な翔。
「だってよ。それ本物か? 撃てるもんなら撃ってみろよ!」寅三郎が煽る。
しかし、本物の銃を撃ったことがない優の手は震えていた。
「こ、この野郎ぉぉぉぉ」
ついに、優は引き金を引く。
パァ~ンと乾いた音が工場に響く。
寅三郎と翔はテレビドラマの刑事の様な動きでそれを避け各々、工場内の物陰にお身を潜め、銃を取り出す。
「おい、新人君。こんなに早くプッツンするとは思わなかったな」
この状況を楽しむかのような寅三郎。
「寅さんが怒らせなければ、穏便に事が済んだんです!!!」
翔は、物陰から顔を上げて優の状況を確認するが直ぐに銃弾が飛んでくる。
「あぶねっ!!!」直ぐに身を屈める翔。
「大丈夫か? 新人君!!」
寅三郎はそう言い放つと優に向けて発砲するが、優も鳥モチ弾を避け寅三郎に向けて発砲する。
寅三郎は、再び物陰に隠れる。
すると事務所に引っ込んでいた従業員達が、優と同じトカレフTT-33を手に持ち、出て来た。
「おいおい、ここ板金工じゃないのかよ」と物陰の横から覗き敵が増えたことに動揺する寅三郎。
三人は寅三郎目掛けて発砲する。
「新人君!」
寅三郎の掛け声と共に立ち上がり怪我をした従業員の手に鳥モチ弾を付け引き金が引けないようにする。
「またこれだ!引き金がぁ!外してくれ!」
モブキャスト二人に鳥モチを外すように頼み引き剥がそうとするが、自分たちも鳥モチが外れなくなり結果、自滅した。
「やるねぇ、新人君」感心する寅三郎。
「調子に乗るんじゃねぇ!」
優は、翔を撃とうとする。
「それは、こっちの台詞!」
寅三郎のコルトM19 11 A1マークⅣ火を噴き、優のトカレフの銃身に鳥モチを付けることに成功する。
そのままの勢いで優は引き金を引いてしまい銃は暴発。
手から血を流し、崩れ落ちる優。
「手間かけさせやがって」
寅三郎が首を振ると待っていたとばかりに翔は、優を起こすとそのまま手錠をかけ御用となった。
事務所に入ると、縄で縛られ拘束された男二人が床に寝そべっていた。
しかも、口には猿轡までしてある。
「ちょっと! これはやりすぎです!」
翔は、拘束されている男たちの縄を解こうとする。
「ちょっと、瑠希君何してるの。
解いちゃダメでしょ」
翔を男から引き離す鳴本所長。
「所長さん!彼らを離してください。
これは立派な監禁です!」
「あら、思ってたより堅物なのね」
その光景を見ながら、事情聴取のため一人だけ猿轡を外す寅三郎。
「で、お前さんたちがここに石投げこんでくれたの」
「し、知らねえよ!」男の一人・山谷が否定する。
「しらばっくれても無駄。ちゃんと証拠はあるんだから!」と所長。
「お前、あの人あまり怒らせないほうが良いよ。
こんな怪我じゃ済んだのが奇跡なくらいだから。本当だよ」
寅三郎は、そう言って、痣ができている頬を思いっきり抓る。
「痛たたっ!」山谷はジタバタとする。
「寅さん、やりすぎです!」
翔は、寅三郎に駆け寄り抓っている手を離させる。
「もう、楽しんでいたのに。」寅三郎は不貞腐れる。
苦悶の表情で山谷は、のたうち回る。
「全く。君達は誰に頼まれてこんなことをしたんだ?」
翔が山谷に聞くがだんまりを決め込まれる。
「優って奴だろ。」寅三郎が言うと山谷ともう一人の男は明らかに動揺して見せる。
「なんでそれを!?」山谷は迂闊にも喋ってしまう。
「本当なのか?」
翔の問いに頷く山谷。
捜査5日目
覆面パトカーの中から優が経営する板金工場を偵察する寅三郎、翔。
「寅さん」翔は寅三郎に話しかける。
「どうした」
「昨日お会いした桂田さんに、遺骨の引き取りお願いするのを忘れてました」
「そうだったけ?ごめん、俺も気づいてなかったわ」
スマホゲームに夢中の寅三郎。
「どうしましょう」
「どうするって、俺の業務の内に入ってないから。
自分でどうにかしろよ」
「そんな事言わずに、僕達バディじゃないですか!」
「いつから俺とお前がバディになったよ」
「いやいやこうして事件解決に奮闘しているじゃありませんか!」
「お互いの利害が一致しているからだし。
刑事ならそれくらい出来ないとこの先、務まらないよ」
「寅さんも見たでしょう。
あの引き取ってもらえなそうな感じ」
「はぁ~」
寅三郎は深いため息をつくと同時に、スマホゲームを止める。
「新人君はもう少し人を観察する癖つけた方が良いよ」
「どうしてですか?」
「いやいや、桂田さん。強がっているように見えるけど目には終始、涙が溢れていたぜ。
それに彼女言っていたじゃない自分で、未婚の母ですって。
女手一つで子供育てるって並大抵じゃないよ。
彼女、子供は居ても結婚するタイミングは今まであったとは思うよ。勝手な推測だけど。
でも、彼女はそれを選ばなかった。
それは何故か、加藤の事を今でも愛して帰って来るのを待っていたんだよ。
そんなのも分からないようじゃダメだな」
「すいません」頭を下げ、翔は自分の観察眼の無さに凹む。
「ま、今回さ、こんな最悪な結果になったけど。
俺達にできることは、犯人を見つけ真実にたどり着くことじゃん」
「はい」
「だからさ、こうしてじっと張り込みをするんじゃなくて。
「一気にいくんだよ! 一気に!!」って、あぶねぇ刑事が言っていたよ」
「寅さん、そういうことじゃないと思いますけど」
「ノリが悪いねぇ~
ほら、弾はこんなにあるのに」
後部座席に置いてあるバックの中から例の鳥モチ弾を出す。
「君、実銃だから実銃使用の弾も持ってきたよ」
「思ってたんですけど。なんでそんな物騒なもの持ってるんですか?」
「言ってなかったっけ?
これ、内の所長の方針で持ってるの」
「え?あの所長さんが?」
「そう、君が大好きな所長ね。
ほら、普通の探偵と違って警察の下請けを請け負っているから。
護身用にってね。それに昔、あんな事があったから余計な」
「そうなんですね。因みに、あんな事というのは?」
「う~ん、それは秘密。
じゃあ、これ銃に込めたら行くぞ」
寅三郎は翔に実銃用の弾を渡し、一応受け取る翔。
「込めません!」
「ああそう。俺達を襲ってこいっていう奴らよ。
簡単にお縄についてくれるとは思わないけどね」
「分かりました」
翔は渋々、携行しているS&W M10に鳥モチ弾を込める。
「よしっ!行くか!!」
車を降り、板金工場へ歩き出す二人。
工場に入ると、従業員の一人が話しかけてきた。
「あの、修理依頼ですか?」
その従業員の首にはコルセットを着用しており、手も擦り傷を覆う絆創膏だらけだった。
寅三郎と翔は、この男が自分達を遅い逃げ切った男の一人なのだろうと確信した。
「違います。あのこの事務所に優さんはいらっしゃいますか?」翔が尋ねる。
「あ、社長ですか。社長ぉ~!」
事務所に居た優は、もしもの時にと用意した拳銃トカレフTT-33を机の引き出しから取り出しつなぎ服の懐にしまい、事務所から出る。
「貴方達、警察でしょう」優が二人に声を掛ける。
「ご名答。クズ野郎の分際で意外と察しはいいんだな」
寅三郎がいきなり優にケンカを売り始める。
「どういう意味ですか?」顔を引きつらせる優。
「言葉の通りだよ。自分の後輩使って邪魔な奴を消そうとする野郎は、ゴミだよ」
「んだと、この野郎!!!!」
優はつなぎ服の中から、拳銃を取り出す。
それを見るや否や寅三郎、翔に応対した従業員とモブキャストの従業員二人の計三人は事務所に引っ込む。
「おお、怖っ!
新人君。これ銃刀法違反だよね?」
両手を挙げ、横に居る翔に聞く寅三郎。
「本物であれば。あの、僕達はお話を聞きたいだけなので銃を降ろしてもらえますか?」
冷静な翔。
「だってよ。それ本物か? 撃てるもんなら撃ってみろよ!」寅三郎が煽る。
しかし、本物の銃を撃ったことがない優の手は震えていた。
「こ、この野郎ぉぉぉぉ」
ついに、優は引き金を引く。
パァ~ンと乾いた音が工場に響く。
寅三郎と翔はテレビドラマの刑事の様な動きでそれを避け各々、工場内の物陰にお身を潜め、銃を取り出す。
「おい、新人君。こんなに早くプッツンするとは思わなかったな」
この状況を楽しむかのような寅三郎。
「寅さんが怒らせなければ、穏便に事が済んだんです!!!」
翔は、物陰から顔を上げて優の状況を確認するが直ぐに銃弾が飛んでくる。
「あぶねっ!!!」直ぐに身を屈める翔。
「大丈夫か? 新人君!!」
寅三郎はそう言い放つと優に向けて発砲するが、優も鳥モチ弾を避け寅三郎に向けて発砲する。
寅三郎は、再び物陰に隠れる。
すると事務所に引っ込んでいた従業員達が、優と同じトカレフTT-33を手に持ち、出て来た。
「おいおい、ここ板金工じゃないのかよ」と物陰の横から覗き敵が増えたことに動揺する寅三郎。
三人は寅三郎目掛けて発砲する。
「新人君!」
寅三郎の掛け声と共に立ち上がり怪我をした従業員の手に鳥モチ弾を付け引き金が引けないようにする。
「またこれだ!引き金がぁ!外してくれ!」
モブキャスト二人に鳥モチを外すように頼み引き剥がそうとするが、自分たちも鳥モチが外れなくなり結果、自滅した。
「やるねぇ、新人君」感心する寅三郎。
「調子に乗るんじゃねぇ!」
優は、翔を撃とうとする。
「それは、こっちの台詞!」
寅三郎のコルトM19 11 A1マークⅣ火を噴き、優のトカレフの銃身に鳥モチを付けることに成功する。
そのままの勢いで優は引き金を引いてしまい銃は暴発。
手から血を流し、崩れ落ちる優。
「手間かけさせやがって」
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