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大衆の望んだ未来。

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「機械反対!雇用を奪うな!」というデモ隊のシュプレヒコールに起こされ、S氏は目覚めた。“またあいつらか…”と舌打ちをしながら、「いつものコーヒーとパン」と小声でつぶやくと、AIが反応し、朝食を作り始めた。

 AIの発達により、徐々に人々の生活は変化をもたらしている時代。家庭や組織を問わず、張り巡らされたネットワークと共にAI装置が設置されている。AI装置を導入していないのは、一部の人間たちだけだ。

 S氏は“便利な時代になった”と思う一方で「全てのコンピューターを否定して使わないのならともかく、あいつらはネットで人々を集めてデモをしているじゃないか。」と、主にAIによって雇用を奪われたと叫ぶ人々に対するいらだちも覚える。

 確かにありとあらゆる産業で既存の働き方はAIに置き換わった。人々が喜ぶような映画やアニメも、ビッグデータを活用し、確実にスマッシュヒットが狙えるモノが流されるようになった。大衆の望むものは、AIがやってくれるのだ。しかも人間のようにブレも無く、コストも高くない。便利になったものだ。そう考えながら、焼き上がったパンをコーヒーで流し込んだあと、出勤の準備をする。

 ──AI装置は便利な分、大きく電気代がかかるのだ。
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