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第二の不思議
お役に立てず
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「好きなんだ? 江藤くんのこと」
私の問いかけに、花岡さんが頬を色づかせて頷く。
「同じ中学の美術部でした。三年間、片想いしてます」
「そんなに! もしかして、同じ高校にきた理由って……」
花岡さんの赤面は勢いを増し、頭から湯気でもでそうなほど。小柄な体を、ますます縮こませている。
「へ、変ですよね。ヤバイですよね。しつこいですよね」
「そんなことないよ。ずっと想い続けているなんて、すごいことだと思うよ。頑張ってね。私でできることあるなら協力する」
「ありがとうございます。心強いです」
可憐にほころぶ横顔。しかしそれは、みるみるうちに鮮やかさをなくしてしまう。
「でも、部長、急に人物を描きたいって言いだして……。あのゴスロリさんのこと、好きなのかもしれません」
吹きだしそうになったドリンクを、どうにか喉の奥に落とす。いやいや、さすがにそれは。
「ないんじゃない? 物珍しかっただけとかな気が。好きだからって理由で絵のモデルにするものでもなさそうな。……芸術のことわかんない私が言うのもなんだけど」
まったくの素人考えも、花岡さん的にはアリだったらしい。こわばっていた眉間が、ふにゃっとほどけた。
「そうですよね。部長のことですから、きっと純粋に創作のためですよね。なのに私、疑うような見方なんかして」
「しかたないよ。相手の気持ちわかんないから、不安にもなるよね」
身近に、こんなにも想ってくれている人がいるって、江藤くん、早く気づけばいいのに。もったいない。
「話、聞いてもらえてよかったです。あの、よければこれからも恋愛について教えてもらってもいいですか?」
「えっ、それは……協力するって言っておきながら申し訳ないけど、彼氏いたこともないし、教えられるほどのことは……」
例の裏サイトのことがあって以来、人間不信ぎみで恋愛どころじゃなかった私に、どんなメソッドがあるというのか。
「頼りなくてごめんね。ほかにも相談できる人っている?」
首を横にふった花岡さんは、少し考えたあと、
「どうせバレましたから、できたら七不思議のみなさんにもアドバイスいただきたいです」
あのメンバーで恋愛相談、大丈夫だろうか。味方は多いにこしたことないけども。
「だったら、そのこと私から話しとくよ。みんな口はかたいだろうから心配しなくていいと思う」
ただし夏木くんだけは、悪気なく江藤くん本人に言っちゃいそうだから、くれぐれも釘を刺しておこう。
私の問いかけに、花岡さんが頬を色づかせて頷く。
「同じ中学の美術部でした。三年間、片想いしてます」
「そんなに! もしかして、同じ高校にきた理由って……」
花岡さんの赤面は勢いを増し、頭から湯気でもでそうなほど。小柄な体を、ますます縮こませている。
「へ、変ですよね。ヤバイですよね。しつこいですよね」
「そんなことないよ。ずっと想い続けているなんて、すごいことだと思うよ。頑張ってね。私でできることあるなら協力する」
「ありがとうございます。心強いです」
可憐にほころぶ横顔。しかしそれは、みるみるうちに鮮やかさをなくしてしまう。
「でも、部長、急に人物を描きたいって言いだして……。あのゴスロリさんのこと、好きなのかもしれません」
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「ないんじゃない? 物珍しかっただけとかな気が。好きだからって理由で絵のモデルにするものでもなさそうな。……芸術のことわかんない私が言うのもなんだけど」
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「そうですよね。部長のことですから、きっと純粋に創作のためですよね。なのに私、疑うような見方なんかして」
「しかたないよ。相手の気持ちわかんないから、不安にもなるよね」
身近に、こんなにも想ってくれている人がいるって、江藤くん、早く気づけばいいのに。もったいない。
「話、聞いてもらえてよかったです。あの、よければこれからも恋愛について教えてもらってもいいですか?」
「えっ、それは……協力するって言っておきながら申し訳ないけど、彼氏いたこともないし、教えられるほどのことは……」
例の裏サイトのことがあって以来、人間不信ぎみで恋愛どころじゃなかった私に、どんなメソッドがあるというのか。
「頼りなくてごめんね。ほかにも相談できる人っている?」
首を横にふった花岡さんは、少し考えたあと、
「どうせバレましたから、できたら七不思議のみなさんにもアドバイスいただきたいです」
あのメンバーで恋愛相談、大丈夫だろうか。味方は多いにこしたことないけども。
「だったら、そのこと私から話しとくよ。みんな口はかたいだろうから心配しなくていいと思う」
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