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第228話:ミナゴロシ
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☆ルカsides☆
「し、しまった!!」
「零人!!」
「…………ッ!」
瀕死の浮遊蛇から放たれた、真っ黒なエネルギーが零人の頭部へ覆い被さる!
な、なんだコレは!?
「この…、死に損ないが!!!
くたばれ! 『土礫射《ターマック・ショット》』!」
ドウッ!!
直後、黒の騎士もエネルギー弾を撃つ。
…!? 後方からエネルギー反応!!
「『投円盾』!」
ドォン!!
「なっ!? 何者!」
浮遊蛇の前に円形の大盾が立ち塞ぎ、騎士の攻撃を弾いた!
展望台から降りる階段の傍に、胴が長い蛇型の魔物が立っていた。
や、奴は…っ!
「ふ~セーフっ! 危なかったねー隊長!」
「『蛇頭王』! 貴様…!」
突如乱入してきた者の正体は、展望台の下で出くわした魔族どもだった。
なっ…奴がここにいるということは…?
まさか、マスカットとバーミリオンは!?
「む…? 何故イザベラ隊長がここにいる?
昼間の時間帯に行動するなど、彼女にとって自殺行為のはずだが…」
「『王蟲』!?
うげー! 俺ちゃんミミズはキライだぜ!」
片割れも来たか! ……待て、イザベラだと?
王蟲《キング・ワーム》の下に何か居る…?
なっ!? あの外套の女は…!
そういうことか!
鴉獣が言っていた、もう一人の侵入者とは奴のことだったのか!
エネルギー反応があまりにも微弱すぎて感知できなかったんだ!
「隊長の魔力が萎んでいってるから来てみれば、まさか死にかけてたなんてねー。
しかも悪魔化まで使ってるし…。
うーん、普通に考えてここは戦略的撤退をしないとダメですな?」
「了解。不本意だがイザベラ隊長も回収する。
お前はミラー隊長を頼むぞ」
「はいはーい!」
ビュンッ!
二体の魔族は役割を決めて行動を起こした。
片割れの『蛇頭王』が身体をバネのようにしならせ、黒の騎士を飛び越えて浮遊蛇の元へやすやすとたどり着いてしまう。
「き、貴様…!!」
「あ。〝裏切り者〟はっけーん。
あはは、安心しなよ。
僕らは元々偵察隊だからね。
それにさっき充分楽しませてもらったんだ。
じゃ~ね~!」
蛇頭王は浮遊蛇を腕に担ぐと、再び宙に舞い片腕を伸ばした。
「偵察完了につき帰投する。落ちるなよ」
ガシッ!
「「あっ!?」」
王蟲の背中から羽が…!?
イザベラを背に乗せ、跳び上がった蛇頭王を脚で掴み、背より展開させた薄っぺらな幾つもの羽を小刻みに震えさせながら飛行を開始した。
クソ! そう簡単に逃がすものか!
奴らの進路上に座標を置こうとした時だった。
エネルギー反応がさらに二つ、階段から接近していることに気が付く。
「はぁ、はぁ! アレ!? 魔族は!?
テオさん上にいませんよ!?」
「ハア…ハア…、な、なん…だと…?」
「マスカット! バーミリオン!
良かった、無事だったか!」
……あっ! しまった! 座標を置く時間が…
いや…、奴らはとりあえず後回しだ。
今はこちらにいる零人が…!
「すまない! 闘っている最中に急に離脱して…
…ってレイト!? なんだその仮面と黒いモヤは!?」
「ああっ!? ナディアさん!?
ど、どうしたんですかそのヒドイ傷は!?」
合流を果たした二人も、展望台の状況に慄く。
そうだ…さっき食らってしまった謎の黒い魔法は、零人の仮面ごと覆い被さっている。
「時間が無いので簡潔に説明する!
ウォルトは魔族により致命傷を受け戦闘不能。
そして零人はいま悪魔と化している!
おい、このエネルギー体は何の魔法だ!?」
黒の騎士へ問うと、回答が直ぐに返ってきた。
「『幻愚想』は闇属性の魔法だ。
…その効果は直近で最もストレスのあった出来事を回想させるだけ…。
だが今の彼にとっては…!」
なんだと!?
ということは、ウォルトの死が零人の脳内にフラッシュバックしているということか!?
ま、まずいぞ…!
「デ…デビルだと!?
テメェ…、よくもぬけぬけと…!
ナディア嬢をやったのもテメェか!?」
「落ち着けマスカット!
どちらも彼のせいではない!
奴らが回収していった浮遊蛇の仕業だ!」
マスカットは狼へ〝魔物化〟しているため、喉を太く唸らせて黒の騎士へ威嚇している。
状況だけみればそれも仕方ないが…。
「ど、どうすれば彼を助けられるのですか!?」
「それは…」
「おい姉御! 後ろだぜ!」
バーミリオンの問いに答えようとした時だった。
急に鴉獣が叫んだ。
伴って零人のエネルギー反応が増大する。
む!? このエネルギーは竜のもの…!?
彼の方に向き直ると、零人は左手をこちらに構え高濃度エネルギーの塊を放とうとしていた。
「『竜気砲』」
「避けろ!!」
ドオォォォン!!!
間一髪、転移で魔法を躱すことに成功する。
あ、危なかった…!
鴉獣の警告がなければ回避が遅れていたかもしれん…。
避けた弾道を追って見ると、綺麗に舗装された地面を容易く抉りとっている。
なんという一撃…!
「な、何をするんだレイト!?
お前がいま攻撃したのはルカ嬢だぞ!
仲間に手をあげるなん…」
「待て! 彼に近づくな人狼!
奴は正気じゃない! 距離をとるんだ!」
「アア!? さっきからテメェは誰なんだよ!
魔族が偉そうに指図すんじゃねえ!」
「テオさん! その人の言う通りです!
彼の様子は普通じゃありません!」
激しく興奮するマスカットをバーミリオンが遠ざける。
すると、攻撃を行なった張本人である零人がゆっくりと歩み出してきた。
「…ディアさん…、ナディア…サん…。
俺……俺の……セイ……」
「れ、零人…。しっかりするんだ!
ウォルトは生きていると言っただろう!
君は誰も殺していない!」
ピタリと、足が止まる。
ゾンビのようにうなだれた首を徐々に上げ、仮面の目元からゾッとするような視線を注いできた。
「〝悪〟ヲもっテ〝魔〟を滅ぼス…!
一人残ラず……ミナゴロシにしてヤる!!!」
「し、しまった!!」
「零人!!」
「…………ッ!」
瀕死の浮遊蛇から放たれた、真っ黒なエネルギーが零人の頭部へ覆い被さる!
な、なんだコレは!?
「この…、死に損ないが!!!
くたばれ! 『土礫射《ターマック・ショット》』!」
ドウッ!!
直後、黒の騎士もエネルギー弾を撃つ。
…!? 後方からエネルギー反応!!
「『投円盾』!」
ドォン!!
「なっ!? 何者!」
浮遊蛇の前に円形の大盾が立ち塞ぎ、騎士の攻撃を弾いた!
展望台から降りる階段の傍に、胴が長い蛇型の魔物が立っていた。
や、奴は…っ!
「ふ~セーフっ! 危なかったねー隊長!」
「『蛇頭王』! 貴様…!」
突如乱入してきた者の正体は、展望台の下で出くわした魔族どもだった。
なっ…奴がここにいるということは…?
まさか、マスカットとバーミリオンは!?
「む…? 何故イザベラ隊長がここにいる?
昼間の時間帯に行動するなど、彼女にとって自殺行為のはずだが…」
「『王蟲』!?
うげー! 俺ちゃんミミズはキライだぜ!」
片割れも来たか! ……待て、イザベラだと?
王蟲《キング・ワーム》の下に何か居る…?
なっ!? あの外套の女は…!
そういうことか!
鴉獣が言っていた、もう一人の侵入者とは奴のことだったのか!
エネルギー反応があまりにも微弱すぎて感知できなかったんだ!
「隊長の魔力が萎んでいってるから来てみれば、まさか死にかけてたなんてねー。
しかも悪魔化まで使ってるし…。
うーん、普通に考えてここは戦略的撤退をしないとダメですな?」
「了解。不本意だがイザベラ隊長も回収する。
お前はミラー隊長を頼むぞ」
「はいはーい!」
ビュンッ!
二体の魔族は役割を決めて行動を起こした。
片割れの『蛇頭王』が身体をバネのようにしならせ、黒の騎士を飛び越えて浮遊蛇の元へやすやすとたどり着いてしまう。
「き、貴様…!!」
「あ。〝裏切り者〟はっけーん。
あはは、安心しなよ。
僕らは元々偵察隊だからね。
それにさっき充分楽しませてもらったんだ。
じゃ~ね~!」
蛇頭王は浮遊蛇を腕に担ぐと、再び宙に舞い片腕を伸ばした。
「偵察完了につき帰投する。落ちるなよ」
ガシッ!
「「あっ!?」」
王蟲の背中から羽が…!?
イザベラを背に乗せ、跳び上がった蛇頭王を脚で掴み、背より展開させた薄っぺらな幾つもの羽を小刻みに震えさせながら飛行を開始した。
クソ! そう簡単に逃がすものか!
奴らの進路上に座標を置こうとした時だった。
エネルギー反応がさらに二つ、階段から接近していることに気が付く。
「はぁ、はぁ! アレ!? 魔族は!?
テオさん上にいませんよ!?」
「ハア…ハア…、な、なん…だと…?」
「マスカット! バーミリオン!
良かった、無事だったか!」
……あっ! しまった! 座標を置く時間が…
いや…、奴らはとりあえず後回しだ。
今はこちらにいる零人が…!
「すまない! 闘っている最中に急に離脱して…
…ってレイト!? なんだその仮面と黒いモヤは!?」
「ああっ!? ナディアさん!?
ど、どうしたんですかそのヒドイ傷は!?」
合流を果たした二人も、展望台の状況に慄く。
そうだ…さっき食らってしまった謎の黒い魔法は、零人の仮面ごと覆い被さっている。
「時間が無いので簡潔に説明する!
ウォルトは魔族により致命傷を受け戦闘不能。
そして零人はいま悪魔と化している!
おい、このエネルギー体は何の魔法だ!?」
黒の騎士へ問うと、回答が直ぐに返ってきた。
「『幻愚想』は闇属性の魔法だ。
…その効果は直近で最もストレスのあった出来事を回想させるだけ…。
だが今の彼にとっては…!」
なんだと!?
ということは、ウォルトの死が零人の脳内にフラッシュバックしているということか!?
ま、まずいぞ…!
「デ…デビルだと!?
テメェ…、よくもぬけぬけと…!
ナディア嬢をやったのもテメェか!?」
「落ち着けマスカット!
どちらも彼のせいではない!
奴らが回収していった浮遊蛇の仕業だ!」
マスカットは狼へ〝魔物化〟しているため、喉を太く唸らせて黒の騎士へ威嚇している。
状況だけみればそれも仕方ないが…。
「ど、どうすれば彼を助けられるのですか!?」
「それは…」
「おい姉御! 後ろだぜ!」
バーミリオンの問いに答えようとした時だった。
急に鴉獣が叫んだ。
伴って零人のエネルギー反応が増大する。
む!? このエネルギーは竜のもの…!?
彼の方に向き直ると、零人は左手をこちらに構え高濃度エネルギーの塊を放とうとしていた。
「『竜気砲』」
「避けろ!!」
ドオォォォン!!!
間一髪、転移で魔法を躱すことに成功する。
あ、危なかった…!
鴉獣の警告がなければ回避が遅れていたかもしれん…。
避けた弾道を追って見ると、綺麗に舗装された地面を容易く抉りとっている。
なんという一撃…!
「な、何をするんだレイト!?
お前がいま攻撃したのはルカ嬢だぞ!
仲間に手をあげるなん…」
「待て! 彼に近づくな人狼!
奴は正気じゃない! 距離をとるんだ!」
「アア!? さっきからテメェは誰なんだよ!
魔族が偉そうに指図すんじゃねえ!」
「テオさん! その人の言う通りです!
彼の様子は普通じゃありません!」
激しく興奮するマスカットをバーミリオンが遠ざける。
すると、攻撃を行なった張本人である零人がゆっくりと歩み出してきた。
「…ディアさん…、ナディア…サん…。
俺……俺の……セイ……」
「れ、零人…。しっかりするんだ!
ウォルトは生きていると言っただろう!
君は誰も殺していない!」
ピタリと、足が止まる。
ゾンビのようにうなだれた首を徐々に上げ、仮面の目元からゾッとするような視線を注いできた。
「〝悪〟ヲもっテ〝魔〟を滅ぼス…!
一人残ラず……ミナゴロシにしてヤる!!!」
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