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第157話:工業の都
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「はい、昨日『アングル平原』を超えましたので、現在地はおおよそこの位置となります。
質問はございますでしょうか? ウォルト様」
「ふむ…。だいたい七割くらいは踏破できたか。
では、次の補給ポイントの候補は…」
「ねぇ、シルヴィア。
もしジオンと付き合えたらまずはどこにデート行きたいの?」
「へっ…!?
そ、そんなこといきなり言われても…。
というか、なんで私と話すとそればかりなんですかフレデリカさん!」
「テオ君見て見てー!
前の町で買ったアメ舐めてたら、ベロが青くなっちゃったニャ!」
「セリーヌ…。
魔物とはいえ、一応お前も女子なのだから少しは周りの目をだな…」
『メディーバ・タウン』を出発してから、さらに数週間が経過した。
道中、魔物や山賊に襲撃されたり、以前寄った村に財布を忘れたりなど、色々トラブルに見舞われたが今のところ旅は順調だ。
現在時刻は夕方。
この日は天候があまりよろしくなく、早めにキャンプを設営して一夜を明かすことになった。
といっても、さすがに4羽のクルゥを野ざらしにしとくのは可哀想なので、雨を凌げるよう近くにあるダンジョンの入り口にキャンプを建てた。
そこは『赤の洞窟』と呼ばれている場所で、既に昔の冒険者が攻略済みの大型ダンジョンだ。
入り口はかなり広く、キャラバンを二台駐車してもまだ余裕でBBQを行えるほどだ。
ダンジョンにキャンプを建てるなんて大丈夫なの?とナディアさんに質問したところ、『全く魔物が居ないわけじゃないが入り口ならば安全だろう』と、お墨を付けてくれた。
歴戦の元冒険者が言うなら間違いないだろう。
そして皆が火を囲んで談笑するなか、俺を含むある3人は、雨が地面を穿つ外で戦闘訓練を行なっていた。
「『竜式正拳突き』!」
「甘いな! 『流水反撃』!」
「ヘッ、引っかかったなァ!
『流水式巻き投げ』!」
「むおっ!?」
ブォン!
リックに腕を絡め取られ、そのまま上へ放り投げられる。
野郎、ストレートはフェイントか!
今の俺はルカと『融解』状態になっているため、空中に投げられても体勢はすぐに整えられる。
けど、もし地面に叩きつけられたらちょっとまずかったな。
「やるな! ちょっと前までは、俺のパンチをまともに食らってブッ飛んでたのによ!」
「ヒャハハハ!
オズベルクの技をあんだけ叩き込まれりゃ、誰だって覚えんだろ!」
拳を上に突き上げて上腕の筋肉を叩くリック。
…おっと? もしやその顔は調子に乗ってるな?
俺と同じことを思ったのか、ルカも身体越しにリックへ話しかけた。
「フフ、成長したじゃないかランボルト。
だが今の私達は本気じゃないことは分かるな?」
「おうよ!
転移だろうがナントカトレットだろうが使ってこいや!」
「フン、良い覚悟だ。
零人、ガントレットを展開しよう」
「おっけー!」
ガキャン!
両手首のスナップをきかせ、俺たちの〝得物〟を抜刀する。
さすがに訓練で刃物は危険なので、展開したのはシールド。
だがこれは防御だけではなく、殴打にも使うことが可能な優れ物だ。
その分、手入れがちと大変だけど。
「行くぞ!!」
ビュンッ!
複数座標を作成し、リックへ向かってまっすぐ急降下する。
さあ、どう出る!?
「来やがれ! 『竜式上昇拳』!」
ドン!
待ち構えずにむしろ飛び上がってきたか!
リックらしい選択だ。
だが、融解の俺相手に空中戦を挑むなんざ愚の骨頂だぜ?
ガゴンッ!!
ひねりが加えられた力強い一撃を受け止める。
もちろんそれだけで終わるはずがなく、すぐに次の一手を繰り出してきた。
「『竜式杭打ち落とし』!」
ガッ!!
俺の身体をムキムキの両腕で拘束し、頭と足の位置を逆転させ、そのまま下に落下を始めた!
見た目のわりに器用な筋肉トカゲだ!
ブン!
「おら、お前にプレゼントだ」
「あァ? …っ!?」
俺は近くの小岩に紐付けておいた座標を使用し、落下中のリックへ命中するように転移を発動させた。
目の前から迫る岩石を回避しようと、リックは拘束を解き俺から離れる行動をとり始めた。
…逃がすとでも?
ガシッ!
「ク、クソッ!! 離しやがれ黒毛!」
「やだ♡」
そんなすぐ別れるなんて寂しいじゃないか。
両脚をリックの腰へ巻き付けて体勢を入れ替える。
すると、先ほど彼が繰り出そうとした投げ技が必然的に俺のものになった。
「し、しまったァァ!!?」
「ほらほらー、このままじゃ落ちるだけだぞ?」
ヒュウウウウッ!!
降り注ぐ雨と同化したように、俺とリックは地面へ真っ逆さま。
何もしなければリックから地面に激突する。
俺が組み付いているので、受け身も取れないだろう。
「ま、待てェ! こうさん! 降参だ!」
「ハーイ俺たちの勝ちっ!」
ブン!
潔く白旗を上げたので、最初に作っておいた座標へリックを飛ばす。
訓練を観戦しているフレイ達の焚き火付近だ。
俺もシールドを収納し、洞窟の入り口へ降下した。
「あらおかえり、あなた達。
リックもう忘れたの?
空中戦だとレイトたちの十八番よ?」
焚き火の近くへ飛ばしたリックは仰向けになっている。
そしてそのぐったりとした顔をフレイが覗き込んでいた。
「る、るせェな…。
ちくしょう、もしオレが『竜人』ならもっと良い勝負できると思うんだがなァ…」
手を上に掲げ、雲を掴むようにグーパーをするリック。
…っと、合体したままだ。
『融解』解除しなきゃ。
「ルカ。ありがとう、あと戻ってくれ」
「ん? もう戻るのか? それは残念だ」
シュウウウン…
身体から蒼のエネルギーが霧散、そして収束して俺とルカは元の姿へ戻った。
やはり地に足が着いてる方が俺は落ち着くな。
「…ルカ殿。それはどういう意味だ?」
串肉が刺さった火を焚べているナディアさんがなぜか険しい表情で尋ねた。
彼女と同様にフレイも眉をひそませている。
「ふふん、零人と一つになっている間はな…とても『幸せ』なのだ。
彼の身体の隅々まで、私が〝浸透〟している…あの一体感は得も言われぬ快感を生み出してくれるんだ…」
「「!!」」
ルカはうっとりとした恍惚な表情で自身の身体を抱いた。
ふむ、『幸せ』ねぇ…。
俺も死にかけたときにルカと初めて『癒着』を行なったからその気持ちちょっと分かるな。
「ちょ、ちょっと!?
じゃあ、アンタ今までそんな卑猥なこと感じながらレイトと〝合体〟してたってわけ!?」
「卑猥とはなんだ、失礼な女だな。
宝石なら抱いて当然の感情だ」
「いや、明らかに下心がある顔をしているではないか!」
3人はヒートアップしてギャアギャアと言い争っている。
つか腹減ったな、俺もメシ食うか。
「ザベっさん、俺にも串肉1本ちょーだい」
「お食事の前にお召し物を変えられてはいかがですか?
服が濡れたままでは風邪を患ってしまいますよ」
「あ、そだね。
ほら、お前も行こうぜリック」
「ん、あいよォ…」
ノソッとデカい身体を起こし、俺たちは肩を並べながらキャラバンが停めてある場所…入り口より少し奥へ歩き出した。
☆☆☆
「なあなあ、さっき言ってた『竜人』ってさ…。
俺まだその種族と出会ったことないけど、どんなやつらなんだ?」
「見た目は人化したオズベルクと大体同じだぜ。
自前の翼を持ってる竜人がほとんどなんだ。
アイツらは『竜の国』からあんま出てこねェからなァ…」
キャラバン内で着替えながら、リックとお喋りをしている。
やっぱ雨の中で訓練するべきじゃないなー、余計な洗濯物が増えちまった。
あ、つか俺にしては珍しく自分からドラゴンに関することを訊いたかも。
同じことを思ったのか、リックはニヤリと口角を上げた。
「ヘッ、そんなに会いたきゃ『竜の国』に来るかァ?
『蒼の竜殺し』サマなら、たぶん諸手をあげて歓迎されるぜ?」
「バカか! 行くわけねぇだろ!
だって…ドラゴンを崇めてる国なんだろ?
んなとこ行ったら絶対に発狂する」
「ヒャハハ!
確かにオレの国はみんなドラゴンが好きだけどよ、それ以外にもおもしれェところあんだぜ?」
おもしろいところ?
ドラゴンで埋め尽くされたテーマパークとかじゃないだろうな?
リックは俺の腕を掴んで、なぜかガントレットを叩いた。
「オレらの国はな、この大陸でいちばん文明が進んでるんだぜ?
オレが生まれた『王都バハムート』なんか他の国から『工業の都』なんてあだ名が付けられるくらいだ。
だからお前の身に付けてるそのオモチャにも、興味を持ってくれると思うぜ」
「バハムート…へ、へぇ…そうなんだ。
あ、そういやハルートも外骨鎧のこと何か言ってたな…」
「エグゾ?…ああ、アリーナにいたヤツらな。
そうだ、あれはウチの国の鎧のはずなんだが、なんであんな所にあったんだろうなァ」
もしかして俺の偏見だったのかな?
勝手に『竜の国』はドラゴンしゅきしゅきヒャッハー共で溢れかえってると思ってた。(超失礼)
……それにしても、なぜ『バハムート』という単語にここまで寒気を覚えるのだろう?
どこかで別の意味として聞いたような…?
いや、ドラゴンに関する情報はシャットアウトしてるから、俺が単純に竜の国の王都の名前ということを覚えてなかっただけなのか?
うん、きっとそうだ。そうに違いない…。
質問はございますでしょうか? ウォルト様」
「ふむ…。だいたい七割くらいは踏破できたか。
では、次の補給ポイントの候補は…」
「ねぇ、シルヴィア。
もしジオンと付き合えたらまずはどこにデート行きたいの?」
「へっ…!?
そ、そんなこといきなり言われても…。
というか、なんで私と話すとそればかりなんですかフレデリカさん!」
「テオ君見て見てー!
前の町で買ったアメ舐めてたら、ベロが青くなっちゃったニャ!」
「セリーヌ…。
魔物とはいえ、一応お前も女子なのだから少しは周りの目をだな…」
『メディーバ・タウン』を出発してから、さらに数週間が経過した。
道中、魔物や山賊に襲撃されたり、以前寄った村に財布を忘れたりなど、色々トラブルに見舞われたが今のところ旅は順調だ。
現在時刻は夕方。
この日は天候があまりよろしくなく、早めにキャンプを設営して一夜を明かすことになった。
といっても、さすがに4羽のクルゥを野ざらしにしとくのは可哀想なので、雨を凌げるよう近くにあるダンジョンの入り口にキャンプを建てた。
そこは『赤の洞窟』と呼ばれている場所で、既に昔の冒険者が攻略済みの大型ダンジョンだ。
入り口はかなり広く、キャラバンを二台駐車してもまだ余裕でBBQを行えるほどだ。
ダンジョンにキャンプを建てるなんて大丈夫なの?とナディアさんに質問したところ、『全く魔物が居ないわけじゃないが入り口ならば安全だろう』と、お墨を付けてくれた。
歴戦の元冒険者が言うなら間違いないだろう。
そして皆が火を囲んで談笑するなか、俺を含むある3人は、雨が地面を穿つ外で戦闘訓練を行なっていた。
「『竜式正拳突き』!」
「甘いな! 『流水反撃』!」
「ヘッ、引っかかったなァ!
『流水式巻き投げ』!」
「むおっ!?」
ブォン!
リックに腕を絡め取られ、そのまま上へ放り投げられる。
野郎、ストレートはフェイントか!
今の俺はルカと『融解』状態になっているため、空中に投げられても体勢はすぐに整えられる。
けど、もし地面に叩きつけられたらちょっとまずかったな。
「やるな! ちょっと前までは、俺のパンチをまともに食らってブッ飛んでたのによ!」
「ヒャハハハ!
オズベルクの技をあんだけ叩き込まれりゃ、誰だって覚えんだろ!」
拳を上に突き上げて上腕の筋肉を叩くリック。
…おっと? もしやその顔は調子に乗ってるな?
俺と同じことを思ったのか、ルカも身体越しにリックへ話しかけた。
「フフ、成長したじゃないかランボルト。
だが今の私達は本気じゃないことは分かるな?」
「おうよ!
転移だろうがナントカトレットだろうが使ってこいや!」
「フン、良い覚悟だ。
零人、ガントレットを展開しよう」
「おっけー!」
ガキャン!
両手首のスナップをきかせ、俺たちの〝得物〟を抜刀する。
さすがに訓練で刃物は危険なので、展開したのはシールド。
だがこれは防御だけではなく、殴打にも使うことが可能な優れ物だ。
その分、手入れがちと大変だけど。
「行くぞ!!」
ビュンッ!
複数座標を作成し、リックへ向かってまっすぐ急降下する。
さあ、どう出る!?
「来やがれ! 『竜式上昇拳』!」
ドン!
待ち構えずにむしろ飛び上がってきたか!
リックらしい選択だ。
だが、融解の俺相手に空中戦を挑むなんざ愚の骨頂だぜ?
ガゴンッ!!
ひねりが加えられた力強い一撃を受け止める。
もちろんそれだけで終わるはずがなく、すぐに次の一手を繰り出してきた。
「『竜式杭打ち落とし』!」
ガッ!!
俺の身体をムキムキの両腕で拘束し、頭と足の位置を逆転させ、そのまま下に落下を始めた!
見た目のわりに器用な筋肉トカゲだ!
ブン!
「おら、お前にプレゼントだ」
「あァ? …っ!?」
俺は近くの小岩に紐付けておいた座標を使用し、落下中のリックへ命中するように転移を発動させた。
目の前から迫る岩石を回避しようと、リックは拘束を解き俺から離れる行動をとり始めた。
…逃がすとでも?
ガシッ!
「ク、クソッ!! 離しやがれ黒毛!」
「やだ♡」
そんなすぐ別れるなんて寂しいじゃないか。
両脚をリックの腰へ巻き付けて体勢を入れ替える。
すると、先ほど彼が繰り出そうとした投げ技が必然的に俺のものになった。
「し、しまったァァ!!?」
「ほらほらー、このままじゃ落ちるだけだぞ?」
ヒュウウウウッ!!
降り注ぐ雨と同化したように、俺とリックは地面へ真っ逆さま。
何もしなければリックから地面に激突する。
俺が組み付いているので、受け身も取れないだろう。
「ま、待てェ! こうさん! 降参だ!」
「ハーイ俺たちの勝ちっ!」
ブン!
潔く白旗を上げたので、最初に作っておいた座標へリックを飛ばす。
訓練を観戦しているフレイ達の焚き火付近だ。
俺もシールドを収納し、洞窟の入り口へ降下した。
「あらおかえり、あなた達。
リックもう忘れたの?
空中戦だとレイトたちの十八番よ?」
焚き火の近くへ飛ばしたリックは仰向けになっている。
そしてそのぐったりとした顔をフレイが覗き込んでいた。
「る、るせェな…。
ちくしょう、もしオレが『竜人』ならもっと良い勝負できると思うんだがなァ…」
手を上に掲げ、雲を掴むようにグーパーをするリック。
…っと、合体したままだ。
『融解』解除しなきゃ。
「ルカ。ありがとう、あと戻ってくれ」
「ん? もう戻るのか? それは残念だ」
シュウウウン…
身体から蒼のエネルギーが霧散、そして収束して俺とルカは元の姿へ戻った。
やはり地に足が着いてる方が俺は落ち着くな。
「…ルカ殿。それはどういう意味だ?」
串肉が刺さった火を焚べているナディアさんがなぜか険しい表情で尋ねた。
彼女と同様にフレイも眉をひそませている。
「ふふん、零人と一つになっている間はな…とても『幸せ』なのだ。
彼の身体の隅々まで、私が〝浸透〟している…あの一体感は得も言われぬ快感を生み出してくれるんだ…」
「「!!」」
ルカはうっとりとした恍惚な表情で自身の身体を抱いた。
ふむ、『幸せ』ねぇ…。
俺も死にかけたときにルカと初めて『癒着』を行なったからその気持ちちょっと分かるな。
「ちょ、ちょっと!?
じゃあ、アンタ今までそんな卑猥なこと感じながらレイトと〝合体〟してたってわけ!?」
「卑猥とはなんだ、失礼な女だな。
宝石なら抱いて当然の感情だ」
「いや、明らかに下心がある顔をしているではないか!」
3人はヒートアップしてギャアギャアと言い争っている。
つか腹減ったな、俺もメシ食うか。
「ザベっさん、俺にも串肉1本ちょーだい」
「お食事の前にお召し物を変えられてはいかがですか?
服が濡れたままでは風邪を患ってしまいますよ」
「あ、そだね。
ほら、お前も行こうぜリック」
「ん、あいよォ…」
ノソッとデカい身体を起こし、俺たちは肩を並べながらキャラバンが停めてある場所…入り口より少し奥へ歩き出した。
☆☆☆
「なあなあ、さっき言ってた『竜人』ってさ…。
俺まだその種族と出会ったことないけど、どんなやつらなんだ?」
「見た目は人化したオズベルクと大体同じだぜ。
自前の翼を持ってる竜人がほとんどなんだ。
アイツらは『竜の国』からあんま出てこねェからなァ…」
キャラバン内で着替えながら、リックとお喋りをしている。
やっぱ雨の中で訓練するべきじゃないなー、余計な洗濯物が増えちまった。
あ、つか俺にしては珍しく自分からドラゴンに関することを訊いたかも。
同じことを思ったのか、リックはニヤリと口角を上げた。
「ヘッ、そんなに会いたきゃ『竜の国』に来るかァ?
『蒼の竜殺し』サマなら、たぶん諸手をあげて歓迎されるぜ?」
「バカか! 行くわけねぇだろ!
だって…ドラゴンを崇めてる国なんだろ?
んなとこ行ったら絶対に発狂する」
「ヒャハハ!
確かにオレの国はみんなドラゴンが好きだけどよ、それ以外にもおもしれェところあんだぜ?」
おもしろいところ?
ドラゴンで埋め尽くされたテーマパークとかじゃないだろうな?
リックは俺の腕を掴んで、なぜかガントレットを叩いた。
「オレらの国はな、この大陸でいちばん文明が進んでるんだぜ?
オレが生まれた『王都バハムート』なんか他の国から『工業の都』なんてあだ名が付けられるくらいだ。
だからお前の身に付けてるそのオモチャにも、興味を持ってくれると思うぜ」
「バハムート…へ、へぇ…そうなんだ。
あ、そういやハルートも外骨鎧のこと何か言ってたな…」
「エグゾ?…ああ、アリーナにいたヤツらな。
そうだ、あれはウチの国の鎧のはずなんだが、なんであんな所にあったんだろうなァ」
もしかして俺の偏見だったのかな?
勝手に『竜の国』はドラゴンしゅきしゅきヒャッハー共で溢れかえってると思ってた。(超失礼)
……それにしても、なぜ『バハムート』という単語にここまで寒気を覚えるのだろう?
どこかで別の意味として聞いたような…?
いや、ドラゴンに関する情報はシャットアウトしてるから、俺が単純に竜の国の王都の名前ということを覚えてなかっただけなのか?
うん、きっとそうだ。そうに違いない…。
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