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第19話:吸血鬼《ヴァンパイア》の食事

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『魔族』

ガルドにいる頃、学び舎の先生や村長から散々聞かされた
魔族の国アルケイン』の住人にして、人類の敵…
魔族にはたった一つ、同じ共通点がある

それは種族を問わず『闇属性』の魔法を使用できることだ


「くくくっ!脅えているなエルフの女よ。
我が恐ろしいか?」


イザベラがパチンと指を鳴らすと、俺たちの後ろにアンデッドの群れが一瞬で現れた
嘘だろ!?


「まさか、あいつも転移テレポート使えるのか!?」


俺がたじろいでいるとシルヴィアは冷静に訂正した

「いいえ、どうやらあの吸血鬼ヴァンパイアは『死霊使いネクロマンサー』のようです。
その職業ジョブは究極魔法のひとつ、『屍人起こしネクロズマ』を使用し、さまよう魂を集め、自らの屍人として使役します」


ネクロマンサーか…
たしか村長も言ってたな
闇属性の魔法で非人道的な技があると
こいつのことを言っているのかもしれない


「レイト、ルカ!早く逃げるわよ!」

「ああ。みんな、私の側へ…」

「人間よ、そなたは珍しい毛色をしているな?」

「「「!?」」」


いつの間にかイザベラが俺の隣に来ていた!
さっきまでイスに座ってたはずだろ!?
ダメだ!外の座標を感じ取るヒマがない!

抜刀したファルシオンを女に向けて一閃する

ガキンッ!

素手で受け止めた!?
なんだと!?


「ほう、いい一撃だ。だが些か軽いようだ」


剣先を指でつまむと、そのまま俺の手から引き剥がし、上に投げ天井へ突き刺さした

な、なんて力だよ…


「レイト!」


フレイが至近距離のためか、得物をナイフに持ち替え、イザベラに斬りかかった


「そう焦るでない。
まだ宴は始まったばかりだ」

「うっ!?」

キンッ!

イザベラはフレイの攻撃を同じように手で弾くと、ガシッと俺の腰を抱えあげた

ちょ、何する気だ!?


「てめぇ!黒毛を降ろしやがれ!」


リックが拳を握り殴りかかると、若干顔をしかめた


「フン、『蜥蜴人リザード』もいるか。
貴様ら竜の血は不味くてかなわん。
消え失せろ」

ドゴォッ!!

「ガハァ!!」


吸血鬼の前に骨が乱雑に組み合わさったボールのような物が出現し、リックの腹部に激しくぶつかった
リックは後方へぶっ飛ばされ、柱に激突した


「う…ぐ、く…そ」


リックは腹を抱えながら床へ沈んだ

嘘だろ!リックが1発でやられた!?
あの頑丈な筋肉トカゲが…


「リック!?
…『吸血鬼ヴァンパイア』さん、あなたは運が悪いですね。
あいにくこのパーティーには私がいます!
輝光線ルミナス・レイ』!」


シルヴィアは魔導杖を構え、神々しい光を放つ魔力マナを練り上げ、イザベラに向けて光線にして撃ちだした


「『聖教士クレリック』か。
我ら『吸血鬼ヴァンパイア』とは相性が悪い…
少しは楽しめそうだな」


再びパチンと指を鳴らし、シルヴィアの射線上にアンデットを一体出現させ、攻撃を防いだ

なんだよ、その魔法!
反則だろ!


「やはりそう簡単にはやられてくれませんか…!」


シルヴィアは盾にしたアンデッドを光属性の魔法で浄化させ、塵の状態にした

抱えられた状態で上を睨みつけると、キラッと光る物が首の辺りに映った

…ん?


「なんてこったニャ!
まさかそのネックレスって…」


セリーヌも気づいたようだ
くそ!まさかこいつが依頼のアイテムを身に付けてやがったとは…
一応譲ってくれるか聞いてみるか


「なぁ、イザベラさん!
俺たちはあんたの付けてるネックレスが欲しいだけなんだ!
それをくれたらすぐに出ていく!」

「フフフ、『出ていく』?
むざむざ入り込んだエサを逃がすわけはないだろう。
これから食事の時間だ、やれ」

「零人!?貴様どこへ行く気だ!」

「レイト!!くっ!どきなさいよ!!」

「レイト君!逃げてニャ!」


フレイ達の周りをアンデッドの集団が囲み、イザベラはニヤリと嗤うと踵を返した

まずい!このままじゃ袋叩きだ!

ヒュッ!

女は俺を抱えたまま高く飛び上がり、その場を離れる

ストッ、と着地した場所は先程の大きいイスの場所だ

よく見ると近くにテーブルが置いてあり、その上には皿とナイフ、フォークが置かれていた

食事ってまさか俺を喰う気か!?
冗談じゃねぇ!!
ぐっ…腕が石みたいに動かねぇ!

こうなったら転移して…いやダメだ!
ここまで密着されてるとこいつまで転移させちまう!


「さて、黒き人間よ。
そなたは魔王様と同じ、『宝石スフィア』を従えし者なのか?」

「え!?」


魔王様?
紅の魔王のことか!
こいつまさか…


「あんたまさか魔王の部下なのか?」

「質問しているのは我だ。
そなたは聞かれたことに答えるだけでいい」


パチンと指を鳴らした
するとイスの前に骨がパキパキと生え、歪な壁に変形した

「な、なんだこれキモ…ぐっ!?」

俺をその壁に投げ飛ばし、背中からぶつかる

バキバキバキバキ!

「うっ!?」


骨に触れた瞬間、壁はさらに変形して俺の手足に巻きついてきやがった!
しかも、喉元に尖った骨まで突きつけられた


くそ!身動きを封じられちまった!


「フフフ、良い眺めだ。
さぁ、我を見ろ…『魅惑眼チャーム』」

「!?」

グイッと顎を掴まれ強制的に目を合わせられた
俺を見つめる瞳は紫色に妖艶に光り、目が…離せない…


「レイトさん!その眼を見てはいけません!
それは『幻惑魔法』です!
リック!早く起きなさい!」

「ヤバいニャ!
どんどんアンデッドが増えてきてるニャ!」

「ルカ!レイトを助けて!」


何か聞こえた気がしたけど、頭がボーッとしてうまく思考ができない…
なんだ…?
俺は…

ブン!


「零人!しっかりしろ!!私だ!」


蒼い何かが…近くに来た

…………………………………………………

これ、いじョウ、カンがえらレない


☆ルカsides☆


骨の壁に捕らえられた零人に何度も呼び掛けるが応答がない
瞳は虚ろになり、焦点も合っていない

喉元に骨が突き付けられているせいで転移テレポートが行えない
もし実行すれば、反動で喉に突き刺さる恐れがある

くそっ!


「貴様!!零人に何をした!?」


零人をこんな状態にした張本人に問い詰める
女はイスに座って脚を組み、すました顔で答えた


「少々そやつに確認することがあるがゆえ、我に従順にさせた。
さぁ、ニンゲンよ、答えよ。
そこの蒼い石は魔王様の『紅』と関係があるのか?」

「はイ…彼女は『紅の宝石』ノ妹デす」

「零人!?」


なぜこの女の質問には答える!?
いや、先程ゴードンは幻惑魔法と言っていた
たしかそれは魔族のみに使える闇属性の魔法だったはずだ

その効果は…この通りか…!


「妹だと…?やはりそうか、魔王様が使役していた宝石と瓜二つなのはそういう事か。
となれば、そなたは魔王様と同じ、宝石スフィアの力を使用できるのだな?」

「(コクン)」


魔王?
まさかこの女は兄を捕らえている紅の魔王の関係者なのか?
そう理解した途端、最悪の予想が頭をよぎった


「…兄を苦しめているのは貴様らだな。
まさか、魔王は既に復活したというのか?」


私の問いに吸血鬼は口元から牙を見せ、嗤った


「ハハハハッ!!
やはり妹なら兄に会いたいか!
残念だが、そなたの兄は未だに魔王様と共に次元の狭間に囚われている。
もし魔王様が復活なされていたなら、既に『理の国ゼクス』など陥落している事だろう」

「…………」


ほんの少しだけ、安堵する
どうやら私達にはまだ時間があるようだ

だが、現在の状況は依然として変わらん
シュバルツァー達は未だにアンデッド共と交戦を続けている

どうやってここから零人を救出すればいい?


「そしてそなたも宝石スフィアなのだろう?
どうやら能力は魔王様がお持ちの『紅』とは違うようだが」

「私たちをモノ扱いするか、下衆め。
どんな方法を使って兄を捕らえた?」

「ほう、興味があるか?
ならば我輩の軍門に降れ、魔王様が復活した暁には、そなたを存分に使役して下さるだろう」

「…ふざけているのか?」

「巫山戯てなどいない。これならばどうだ」


パチン!


指を鳴らすと零人を捕らえている壁から尖った骨が新たに生え、身体中に次々と食い込ませていった!

何をする!!


「零人!!やめろぉぉ!」

「イヤァァァ!!!レイト!」

「レイト君!!!」

「フハハハハハハ!!!
そなたの表情を見れないのは残念だが、仲間達は実に良い表情かおをしているな!」


突き刺さった骨からは零人の血液がポタポタと流れている
しかし、それでも零人は痛がりもせず相変わらず無反応のままだ…

なぜだ…?

私はなぜ攻撃ができない!?
私はなぜ武器を持てない!?
私はなぜ皆のように肉体がない!?

転移テレポートだけでいったい何ができる!
みすみす私の契約者を…零人を見殺しにするだけではないか!

あまりにも非力な己を呪っていると、零人は視線をこちらに動かした


「………る…か…」

「…っ!?零人!」


虚ろな眼をしたまま零人は右手をゆっくり掲げ、私のエネルギーを集中し始めた
零人…正気に戻ってくれたのか!


「…なに?
バカな…我の『魅惑眼チャーム』は効いているはずだ…」

ブン!

「ルカ!?」


視界が一転してシュバルツァーの姿が目の前に現れた
いや…私を転移テレポートさせたのか!?

何のつもりだ零人!


「に…ゲ……ロ…、みん…ナ…そと…に…」


零人は言葉を絞り出すように言った
まさか…君を置いて逃げろという意味か!?
そんなこと…できるわけないだろう!


「レイト!待ってて!今助けに…くぅっ!?」


なまくら剣を装備した『骸骨騎士スカル・ナイト』がシュバルツァーに斬りかかった
辺りを見回すと、全員が防戦一方だった

クソッ!

こう敵が密着されては誰かを送り出すこともできん!


「…驚いたぞ黒き人間よ。
我輩の『魅惑眼チャーム』に抵抗できたのはそなたが初めてだ。
殺すのは実に惜しいが、そろそろ我も空腹を我慢できそうにない。
せめてそなたを味わい尽くして平らげよう」

「貴様!なにを…」


女は零人の傍に立つと身体に突き刺してある骨の1本を勢いよく引き抜いた
抜かれた部分からは血がドクドクと流れ出している


「まずは味見だ。どれ…」


イザベラは引き抜いた骨に付いた零人の血を舌で舐めとった
すると目を見開き、狂ったように悦ぶ

「ほう!見事な血だ!
かつて味わったことがない味だ!
喜べ、蒼き宝石よ。
血肉はもちろん、この男の特殊な魔力マナも我の一部となる!
つまり、こやつの代わりを務められるわけだ!
安心して我と『契約』を交わせるな!
ハハハハハハハッ!!!」


その言葉を聞いた瞬間、私の何かが弾けた


☆フレデリカ・シュバルツァーsides☆


ボン!!!

突如、ルカが爆発した
これはレイトとルカが『同調シンクロ』するときの…
だけど、レイトはまだヴァンパイアに捕らえられたままだ

じゃあ今の爆発は…?


「グオオ!」

「…っ!?くっ!」


近くに来た『動く死体ゾンビ』が私に被さってきた!
戦闘中によそ見するなんて…!

次々とゾンビ達が私に流れ込んでくる


「フレデリカさん!きゃあっ!」

「シルヴィアちゃん!ニャアッ!?」


私以外にもアンデッドが襲いかかって、全員に覆いかぶさった

潰され…る…

……私、こんなところで死ぬの…?

ごめんなさい、パパ、ママ…

ブン!

懺悔をした瞬間、突然圧力が軽くなった

え…?
いや、覆いかぶさってきたアンデッド達が消えた?

ドドドドド!!!!

上の方からものすごい爆音が聞こえてきた
見上げると、さっきまでいたアンデッド達が全て天井に叩きつけられていた

ボトボトと、血と肉と骨の雨が降り注ぐ

しかし、一体だけ上に留まっているアンデッドが…違う!?

あれは人!?

腰まで届いた蒼い髪にスラリとした長い四肢、右手にはレイトが使っていたファルシオンを携えていた
ま、まさか…あれって…


「…ルカ…?」

「…………」


宙に浮いている蒼い女性は何も答えず、ブン!とその場から消えた


「ぎゃあぁぁぁぁあ!!!」


レイトのいる方から悲鳴が聴こえてきた
そちらを見ると、血のついた骨を持っているヴァンパイアの腕が切り落とされ、うずくまっていた

は、速い…!


「ぐっ!キ、キサマ!何者だ!?」

「……口を閉じろ、三下」


ブン!ブン!ブン!ブン!ブン!ブン!

吸血鬼を天井、地面、壁、柱へ転移テレポートさせ、容赦なく叩きつけ始める
あの声はやっぱりルカだわ…


「ガッ…!やめッ…!あがッ!」

「……………」


なんて攻撃なの…

イザベラが喋る隙すらあたえず、ひたすらに転移テレポートを繰り返した
ルカは背筋が凍るような冷たい眼で彼女を睨みつけている


「あ……あ…ガフッ…!」


やがてイザベラはボロ雑巾の如く、地面にうずくまり、身動きを取らなくなった


「…………」

ガン!

ルカは無言のままレイトの方へ向くと、ファルシオンを骨の壁に叩きつけた

ガラガラと骨が崩れ去ると同時に、レイトも前へ倒れ込む
その身体をルカは優しく受け止めた

レイト…!


「零人、大丈夫か?」

「…だ…レ?る…カ…なの…?」

「ああ、そうだ。よく頑張ったな…」


2人の元に行き、彼の具合をみる

ルカに抱えられているレイトは血みどろだ
ヒューヒューと変な音をさせて呼吸をしている

そんな…ダメよ!


「ルカ…なのよね?
レ、レイトは無事なの!?」

「深刻だ…
身体の傷もそうだが、先の『魅惑眼チャーム』とやらの残滓エネルギーが零人の中で燻っている」

「そ、そんな…」


いやよ…

ペタンと足の力が抜けてその場に座ってしまった


「レイト君!死んじゃ嫌ニャ!」

「レイトさんを寝かせてください!
私が治療します!」


ボロボロになったシルヴィアとセリーヌがこちらに走ってきた

そうだ…!

前と違って、今回は光魔法と回復魔法を扱う『聖教士クレリック』のシルヴィアが居る!


「零人。もう少し耐えてくれ」


ルカは地面に零人を寝かせると、シルヴィアがレイトに魔法をかけ始めた


「『回復ヒアル』!『解呪ディスペル』!」

パァァ!

光の魔力マナがレイトを包み込み、みるみるうちに傷が塞がった
それと同時に、イザベラの闇の魔力マナがレイトから放出されていく…

さすが『聖教士クレリック』ね
シルヴィアが今日ここにいて本当に良かったわ…

少し落ちつき、改めてルカの方を見る

…不思議な顔立ちね

切れ長の眼に、吸い込まれそうな蒼い瞳…
額にはルカが変身する前と同じ宝石が埋め込まれてる
宝石スフィアって人間だったのかしら?


「オオオオオオ!!!!」

「「「!?」」」


突然、雄叫び声が後ろから響いてきた!
まさか…


「ヨくも…よくモ…ヤッテくれタナ!!!
皆殺しにシテくれル!!」


イザベラ…!あの女まだ…
黒いドレスはビリビリに破れ、顔は原型を留めていない


「我を怒ラせた事、アの世で後悔スルが良い!!」


ヴァンパイアは身体を丸めると、ボコッボコッと背中から羽根が生え、肌の色が黒く変色していった

やがて、その身体は大きくなっていき、ドラゴンと同じような四つ足の異形の怪物になった

吸血鬼《ヴァンパイア》にこんな力が…?
こ、これじゃあまるで『悪魔デビル』だわ…


「死にぞこないが…もう一度叩き潰してやる」


ルカが応戦しようと立ち上がろうとした瞬間、レイトはパシッとルカの手を掴んだ


「れ、零人?」

「よぉ…俺にもやらせてくれよ…
まだ、肝心の仕事が残ってるんだ」

「レイト!?ダメよ!安静にしてなさい!」


ヘラヘラと何を言い出すのこいつは!
さっきまで瀕死だったくせに!


「……分かった。心を合わせろ、零人」

「ああ…」

「ちょ、ルカ!?」


ルカまで何闘わせようとしてるのよ!
あんな奴に適うわけ…


「シュバルツァー」

「へ?な、なによ?」

「許せ」


何の事…と訊く前にルカはレイトの上体を抱え、呟く


「『融解メルトロ』」


ルカはレイトにくちびるを重ねた
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