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第12話:武器新調

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 ブローチのクエストの報酬を受け取ったその日の晩、俺たちは初クエスト達成とパーティ結成を祝して、宿屋近くの居酒屋にて祝杯を挙げていた。


「いやー、今日は働いたな!
 セリーヌ、お兄さんが奢ってあげるからジャンジャン食べなさい!」

「レイト君太っ腹ニャ!
 お言葉に甘えて…まずは何頼もうかニャ~?」

「ちょっと、レイト?
 昼の事忘れてないでしょうね?」

「大丈夫大丈夫!
 どうせ明日もギルドで報酬貰えるだろ?
 盗品の分の依頼でさ」

「はぁ、まったく…ってセリーヌ!
 なにしれっとお酒のメニュー見てるのよ!?」

「ニャ? 飲みたいからニャ?」

「なんでそんな怒ってるんだフレイ?」

「なんでって…セリーヌはまだ子供でしょ!?
 そんな小さい時から飲むなんてダメでしょ!」


 んん?
 セリーヌが子供だって?
 こいつセリーヌの話聞いてなかったのか?


「シュバルツァー。
 モービルの年齢はおそらく君たちより上だぞ?」

「は?」

「フレイ、セリーヌ言ってたじゃねぇか。
 紅の魔王が『武の国スマッシュ』に襲って来たって。
 その当時は今から40年以上前って村長から聞いたぞ…あれ?
 そうなると今のセリーヌの年齢は…よん…」

パシっ!

 指を折って数えてたら、セリーヌが笑顔で俺の指を掴んできた。


「レイト君?
 『女の子』の年齢を探るのはとーーっても失礼だと思うのニャ?」


 セリーヌはニコニコしたまま、ギギギと指を曲げてはいけない方向へ倒し始めた!

 いでででで!!


「しませんしません!
 セリーヌさんはキュートな仔猫ですぅ!」

「うむ、それでいいニャ」


 パッと指を離してくれた。
 今の笑顔…怖かった…。


☆☆☆


 頼んだ料理がテーブルに並び、何故か乾杯の音頭を俺がとるハメになって、ようやくご飯にありつくことができた。

 やはり、冒険者というのは危険が伴う仕事なのだろう。
 初めてフレイん家でご飯を食べた時と同じ感動を俺は今、噛み締めている。

 生きてて良かった…!


「そういえばレイト君とルカちゃんの事はまだ詳しく聞いてないニャ。
 ガルドから来たのは分かったけど、2人の出身はどこなのニャ?」

「ああ、それか。
 俺は地球って星の日本っていう国だ。
 けどルカは…」

「私は記憶喪失なのだ。
 現時点で思い出した事は…」


 俺とルカは、出会いの経緯と旅の目的を説明した。


「異世界…別の星…5つの宝石スフィア…。
 な、なんだか、とんでもない旅を送っているのニャ…」

「でしょう?
 セリーヌ、パーティ組んだ後に説明しちゃったけど大丈夫?
 もし嫌なら今からでも…」

「フレイちゃん!
 猫妖精ケット・シーに二言はないニャ!
 こうなったら魔族だろうが魔王だろうがあたしがぶっ飛ばしてやるニャ!」


 セリーヌは右の拳を胸に当てて自信満々に啖呵をきった。
 おお、頼もしい猫だな!


「よっ! 期待のスーパールーキー!」

「えへへっ! レイト君もニャッ!」

カァン!

 俺とセリーヌは腕を組み、ジョッキを乾杯してゴクゴクと飲み干した。
 うーん、この子ノリが良くて楽しいぜ。


「おい零人、あまり飲み過ぎるなよ?
 明日は君の武器を買いに、朝一番で向かうのだからな」

「分かってるよ。
 ちゃんとアラームもセットしたしな」


 そう、盗賊団の連中と闘ってる際に俺の剣は紛失してしまった。
 というかぶん投げて回収しないまま帰ってきてしまったのだ。

 なので明日武器屋に買いに行かないといけないのだが、正直俺にはどれがいいとか分からん。
 そこら辺はフレイに頼もうと思ってる。


「ニャハハハ!
 こんなに楽しいご飯は久しぶりなのニャ!」


 すっかり上機嫌になったネコ様はどんどん酒と料理を注文してる。
 …あれ、奢るって言っちゃったけど大丈夫だよな?
 た、足りるよね?


☆☆☆


「あ、危なかった…!
 あれ以上頼まれてたら、またスカンピンになるとこだったぜ…」


 楽しい楽しい打ち上げも終わり、俺たちは宿に戻ってきた。
 セリーヌもこちらの宿で泊まりたがってたが、今から荷物を持ってくるにはさすがに遅い時間だったので、明日以降にすることになった。


「まったく、だから言ったのよ。
 女の子の前だからって調子に乗って…」

「そんなんじゃないよ。
 セリーヌには色々助けてもらったから、恩返ししたかったんだよ」

「零人の女癖の悪さは今に始まったことではあるまい。
 気にするだけ疲れるだけだぞシュバルツァー」


 お、女癖!? 人をたらしみたいに…!
 失礼な石だな!


「さて、あとはもう寝るだけだが…
 あーフレイさん?」

「なによ?」

「いや、荷物を部屋に下ろした時にも言おうと思ったけどさ…。
 なんでベッドが1つしかないの?」


 宿の予約はフレイに任せたからあまり強く言えないが、さすがにこれは…。


「…仕方ないじゃない。
 ここしか空いてる部屋が無かったのよ」

「そ、そうすか。
 じゃあ俺はこっちのソファーで眠るわ、おやすみ」


 本当は疲れてるからベッドで寝たかったけど、この際仕方ない。
 …が、何故かそれをフレイが許さなかった。


「待ちなさい。
 ひっじょーーに不本意だけど私の隣で寝ることを許可するわ。
 この線から絶対に来るんじゃないわよ!」


 フレイはシーツの縦半分を指でなぞってラインを示した。
 これ、大きいけどシングルサイズだよな…?
 寝返り打ったら普通に入りそうなんだけど…。


「いや、どう考えてもムリがあるだろ。
 だいたいお前、俺よりタッパがデケェんだから…いだいいだいいだい!!!!」

「女子に向かって『デカい』とは何よ!
 あんたが動かなければ良いだけの話でしょ!」


 ほっぺをグイイイ!とつねってきた!
 もげるもげる!


「わはった! わはった! 寝う! 寝うかは!」


☆☆☆


「はあ…ルカ、起きてる?」

「ああ、なんだ零人?」


 ベッドイン(笑)してから30分、フレイはかなり寝付きが良いようでスースーと寝息が聴こえてきた。
 俺はというと、絶対に動いてはいけない寝相に軽い拷問味を感じていた。


「俺をソファーに転移テレポートしてくれない?
 それか俺にエネルギー補充してくれ。
 このままじゃ寝れん」

「…構わないが、転移時の音は響くぞ?
 シュバルツァーが起きるのではないか?」

「あっ…そう言われるとそうだ…」


 クソ、いい案だと思ったのにな。
 どうにか寝る方法は…。


「なぁ、零人。
 眠れないのなら私と少し話をしないか?」

「話? 別にいいけど…」


 そういえばルカと2人きりで話すって状況最近無かったかも。
 いつの間にか仲間が増えてきたからかな。


「話というのは今日私を騙した件についての説教だ」

「…………」


 …耳塞ごうかな。


「だ、だから謝っただろ…?
 もう嘘つかないって」

「いーや。いいか?
 女というのは男に1度でも嘘をつかれると一気に信用がなくなるものだ」

「………はい」


 くぅ…耳に痛いぜ。


「だが、今回に限ってはモービルもいた…。
 あの場において仕方がない判断だったことは重々承知している」


 ルカは少し重い口調で言った。
 いや、本当は俺が転移テレポートをちゃんと使えていれば良かったんだけどな。


「しかし、君は私の『契約者』なのだ。
 宝石スフィアは『契約者』が傍にいなければ、それは生きているとは言えない。
 たとえ私たちが永遠の寿命を持っているとしてもだ」

「ルカ…」

「零人、約束してくれ。私の傍を離れないと。
 私は…記憶のない私は、君が居なければ独りになってしまう。
 君が私を目覚めさせたのなら、最後まで責任を持って…私と共に生きてくれ」


 ………………………………………………………

えと、これって…?


「あのルカ?
 もしかして俺今プロポーズされてる?」

「何を…あっ…」


 気付かないで言ったのか…。
 だけどその約束に対する返答なら決まってる。


「ルカ、約束するよ。
 俺は絶対にルカから離れたりしない。
 地球に帰った後だって、一緒に暮らそうぜ」

「…その言葉、取り消させないからな。
 覚悟しておけ」


 言ったあとだけど、ちょっと恥ずかしいな…。
 話題変えよう。


「そういえば昨日フレイが『宝石スフィアは基本的に寿命がない』ことに質問してたよな?
 その例外ってもしかして、さっき言ってた契約者が宝石スフィアの傍にいないと…ってやつ?」


 意味としてはそう捉えなくもない。
 ルカは少し笑って答えた。


「いやそういう意味で言ったのではない。
 相変わらず未だに思い出せないが、そんなに心配することはないぞ。
 その例外はとても素晴らしいことだったはずなんだ」


 死ぬのが素晴らしい? なんだそりゃ。


「…俺はルカには死んで欲しくないよ」

「何を言っている?
 今のは『寿命』の話だろう?
 私は外的要因で死ぬことはない」

「それでも、だよ。
 相棒には長生きして欲しいだけだよ…」

「長生き…か。
 それなら零人こそ私を置いていくなど許さんからな」


 ん、そろそろ眠くなってきたかも…。
 ルカのおかげで何とか眠れそうだ。


「…できるだけ努力するよ、おやすみルカ…」


 俺はスマホの上に寝ているルカに手を被せた。


☆☆☆


♪♪♪~

 無事スマホのアラームで起きれた。
 着替えたし顔も洗ったし、俺はいつでも行けるのだが、ルカとフレイは未だに爆睡中だ。

 つかてめフレイ、自分で国境設定しておきながらなに俺のエリアに入ってきてるんだよ。
 領域侵犯だぞこのやろー。

 2人とも起きないし、俺一人で武器屋に行くしかないな。

 あ、いや、セリーヌもこの後合流するからまずは待ち合わせ場所に行くかないとだった。

 昨日武器のお代は予め取っておいたので、それをリュックに入れ、俺は部屋をあとにした。


☆セリーヌ・モービルsides☆


「ふんふふーん♪」


 ん~今日は良い天気! お出かけ日和ニャ~。

 昨日の晩餐会が終わったあと、そのままレイト君達の部屋に行きたかったニャ…。
 けど、あたしはあたしで宿を借りていたから泣く泣く断念した。

 でも今日は、部屋の荷物を運ぶのをルカちゃんが手伝ってくれるニャ!
 それに、やっと…やっとガルドの牙に会えた!
 しかも、パーティにも入れてくれた!

 昨日からその事が嬉しくて嬉しくてたまらないのニャ!

 ウキウキしながら待ち合わせ場所に向かうと、人間で今まで見た事がない黒い髪の青年レイト君がすまほ?を持って待っていた。


「おはようニャ! レイト君!
 あれ、フレイちゃんとルカちゃんはどうしたのニャ?」


 挨拶するとレイト君は手を挙げて返してくれた。


「おう、おはよう。
 奴らはまだ寝てやがるんだ。
 …ったく、あいつら人に散々早起きしろなんて言っておいて…」


 ブツブツと文句を言うレイト君。
 どうやらフキゲンニャ。
 ふむ…


「それならレイト君、武器屋さんに行く前に朝ごはん食べないかニャ?
 きっとフレイちゃん達もその間に来るかもしれないのニャ」

「そうだな、そう言われると腹減ってきたぜ。
 何かオススメのモーニング食える店あるか?」

「もちろんニャ!
 この近くだから2人と入れ違いになる事もないはずニャ」


 あたしはまだ新人冒険者だけど、この王都で暮らした年数は結構長い。
 その間は頑張って人の言葉と、人の身体に慣れたのニャ!

 …食い扶持を稼ぐのにはかなり苦労したけど。

カランコロン

 レイト君を連れて近くの喫茶店へ入店する。
 扉に付けられているベルの音はあたしのお気に入りニャ。
 もちろんここの料理とお茶は絶品なのニャ!


「へぇ、綺麗だしなかなかお洒落な店じゃないか。
 この店セリーヌの行きつけなのか?」

「そうニャ!
 元々ここのマスターはあたしの正体を知っていて、冒険者になるまで働かせてくれたニャ。
 マスターはとても良い人ニャ!
 レイト君もきっと仲良くなれるニャ」

「そうか、それならしっかり挨拶しないとな」


 ガチャっと厨房の扉が開く音がした。
 ウワサをすれば来たニャ。


「おはよん、セリーヌちゃん!
 今日も良い天気…あらあらあら!?
 何よ、今日は男連れなの!?」

「(ビクッ)!?
 は、はい、はじめまして、間宮零人です…」

「マスター、おはようニャ!
 この人はあたしの…」

「きゃー!! なんて事なの!
 あのセリーヌちゃんがこんなイイ男を連れてくるなんて!
 待ってて!
 今からお祝いの料理を作ってくるわ!」


 バタバタと、マスターは厨房の方へ戻って行った。
相変わらず元気な人ニャ。


「えっと…随分と個性的なおっさ…あ、いや『お姉さん』だな?」

「レイト君、ひと目でマスターの性別分かったのニャ!?
 すごいニャ!」


 あたし最初はあまりにも女っぽい仕草をしてたから本当に女性の人族だと思ってたのに!
 レイト君はドーサツ力があるニャ!


「いや、声とかもだしどう見ても分かるだろうよ…
 まさかこっちの世界にもいるとは思わなかったが」


 レイト君が何か言った時、窓から見覚えのある人影が目に入った。


「ニャ? レイト君、外を見てニャ。
 フレイちゃんとルカちゃん来たみたいだニャ」

「なんだ、意外と早く合流できたな。
 セリーヌ、俺あいつら連れてくるから、追加の料理をマスターに頼めるか?」

「ガッテンニャ!」


☆間宮 零人sides☆


 2人に声を掛けて再び喫茶店へ入店した。
 どうやら2人ともお冠のようだ。


「昨日私と約束を交わしておいてすぐ居なくなるとは…。
 いい度胸をしているじゃないか零人?」

「私、置いて行かないでって言ったわよね?
 レイトはなんですぐ約束を破るのかしら?」

「お前ら、予定の時間になってもぐーすか寝てたのが悪いだろ…。
 フレイなんてヨダレ垂らして寝てやがったし…」


 というか寝起きのフレイはとてつもなく不機嫌なので、あまり近付きたくないというのが本音だった。
 ガルドにいる頃、朝に揉めるとグーが何回飛んできたことか…。


「なっ…!
 なんで寝顔なんて見てんのよ! この変態!」

「あっ…てめっ!
 自分からベッドに誘っておいて寝顔くらいでガタガタ抜かしてんじゃねぇっ!」

「ニャニャ!?
 レイト君とフレイちゃんはもうそこまでの関係ニャ!?」


 ギャーギャー騒いでいると、マスターができたての料理を抱えてテーブルに配膳してきた。


「うふふ、セリーヌちゃんの新しいお仲間さんはとても元気な子がいっぱいね!
 お姉さん、安心したわぁ。
 みんな、この子をよろしくお願いするわね」


 マスターはセリーヌの頭を撫でて、まるで娘みたいに接してる。
 何となく、ガルドの村長を思い出した。


「おお…見ろ零人!
 とても食欲を誘うパンじゃないか!
 匂いも香ばしくて美味しそうだ!」

「ああ! エッグトーストってシンプルな料理のはずなのに、これはウィルムスペシャル並のエネルギーを感じるぜ!」

「美味しそうね! 早くいただきましょう!」

「ニャフフ…!
 喫茶店『ブルー・ベル』の名物モーニングセットニャ!
 きっと気に入るニャ!」


 俺たちはマスターの作ってくれたモーニングに舌鼓を打った。
 めちゃくちゃ美味かった…。


☆☆☆


 マスターのモーニングを頂いた後、食後の紅茶をサービスしてもらえた。
 ふう、染みるぜ…。


「改めまして。
 アタシが店のオーナー、ベル・ルドガーよ。
 よろしくね」

「よろしくっす。
 俺は先程も言いましたが零人って言います。
 そんでこっちは…」


 俺達は自己紹介と旅の目的を簡単に説明した。


「なるほどね…。
 レイトちゃんの髪の色は見た事がなかったから不思議に思ってたのよ。
 まさかこことは違う世界があるなんて…」


 マスターはムキムキの両腕を組み、フレイの方を向いた。


「そして、あなたはフレデリカちゃんね?
 アタシ、貴方のお父さんとお母さんとは戦友だったのよ」

「えっ! そうなの!? もしかして…」

「ええ。
 アタシは昔、傭兵団『グリム・リーパー』の団長だったのよ。
 …レティちゃんの事は残念だったわ。
 ゴメンなさいね、葬儀にも立ち会えなくて」


 マジか! まさかこんな繋がりがあったなんて。
 世間は狭いとは良く言ったもんだ。


「ううん、ママが亡くなったことはこの大陸でもひと握りの人しか知らないから仕方ないわ。
 それより、もしかしてあなたも紅の魔王に…?」


「お察しの通りよ。
 当時アタシ達は傭兵と各国からの義勇兵でレジスタンス活動をして戦っていたわ。
 そして、魔王との最終決戦にはグリム・リーパー代表としてアタシも参加したの。
 けど、あの男は強過ぎた。
 レティちゃんがいなければ全員殺されていたわ」


 マスターは目を伏せて悔しそうに拳を握った。


「若気の至りという訳じゃないけれど、そこそこ腕には自信があったのよ。
 それがあそこまで叩きのめされるなんてね…」


 ガルドのマッチョ共より屈強そうなマスターでも負けたのか…。
 どんなやつなんだ? 魔王って。


「だけど、あのウィルムのやつが貴方達を送り出したというのなら、アタシも全力でサポートするわ!
 なんでも言ってちょうだいね!」


 ガシッと太い両腕で俺達を包み込んできた!
 く、苦し…。


「ニャハハ! マスター、暑いのニャー!」


 セリーヌがジタバタしている。
 するとルカがスルッと抜け、マスターの前に浮かんだ。


「それではルドガー。
 さっそく訊きたいのだが、この王都で珍しいエネル…いや魔力マナを持っている者に心当たりはないか?」

「そうねぇ…。
 この地区にはあまり魔力が強い人は見た事ないけど…」

「いや、私たちが捜しているのは『強い魔力マナ』ではなく、『珍しい魔力マナ』だ。
 よって個人の強さは関係なく、あくまで魔力マナの素質が重要なのだ。
 直感でもいい、何か心当たりはないか?」

「なるほどね…。
 それならあの子はどうかしら?」

「あの子?」

「『モネ・ラミレス』。
 その子はね、占い師…『占術士フォーチュナー』なのよ」


 占い師?
 占いってあの手相とか星座とかの?


「ルカ、『占術士フォーチュナー』の職業ジョブを持っている人ってこの世界にあまりいないわ。
 理由は後天的にその職業ジョブに転職することは不可能だから。
 家系にもよるけど、持って生まれた特別な魔力マナでないとダメなのよ」


 どうやらこの世界では占い師が珍しいらしい。
 そういう連中って、なんとなく胡散臭いイメージがあるけど、偏見は良くないか。


「なるほどな。
 話を聞く限りでは素質はありそうだな。
 ルドガー、そのラミレスとやらはこの王都に居るのか?」

「ええ、もちろんよ。
 貴方達、『アルタイル大学』はご存知かしら?
 彼女はそこの学生よ」


 なに!? その大学はローズさんの!
 そうだ! あれをお願いされてたんだった!


「ルカ! さっそく会いに行こうぜ!
 ローズさんの願書も届けなくちゃだしよ!」

「いきなり元気になったな零人?
 そんなにあの巨乳エルフに良い所を見せたいのか?
 それとも大学にいる女子が目当てか?」

「レイト? 下心丸出しだと嫌われるわよ?」


 ゔっ…別に下心とかじゃ…。
 いやちょっとあるけど。


「ニャニャ?
 レイト君その大学に用事があるのニャ?」

「ああ!
 ガルドを出発する前にとても世話になったお姉さんが居てな。
 その人から受験のための願書を託されたんだ。
 だから、アルタイル大学にはどっちみち行くつもりだったんだよ」


 そう! 願書を届けることがメインで、決して女の子を見たいなんてことは思っていない!


「うふふ。
 どうやらレイトちゃんは罪作りな男のようね。
 気を付けなさい、女の執念は怖いわよ~?」

「そ、そんな別に俺は…。
 ただ恩返しをしたいだけで…」

「まあいい。
 ところでレイト、何か忘れていないか?」

「え?」

「あんたの武器よ。
 元々この後はそっちに行く予定だったでしょうが」


 あ、そうだった。
 すっかり頭から抜けてた。


「それならあたしとルカちゃんでその大学へ行ってくるニャ!
 そのガンショ?も届けてくるニャ。
 フレイちゃんとレイト君は武器屋でゆっくり選ぶと良いニャ」


 は? おい何を勝手に…


「いいわね、それで行きましょう。
 願書はレイトのバッグに入ってるから。
 それぞれの用事が終わったら冒険者ギルドで合流でいいかしら?」


 ちょっと! 俺は自分の手で…


「「了解だ(ガッテンニャ)」」

「おいいい!?
 何をトントン拍子に話進めてんだ!
 アルタイルには俺が…!」

シュパッ

 抗議しようと立ち上がった瞬間、一瞬の隙をついてセリーヌが俺のリュックから願書を抜き取った!

 そんでもってむんずと腕をフレイに掴まれる。


「うっさいわね、早く行くわよ。
 ベルさん、ご馳走様。また来るわ」

「はーい! 気をつけて行ってらっしゃいね」

「イヤだァァ!!!」


☆☆☆


 半ばフレイに連行される形で武器屋のある地区まで歩いている。


「クソ…恨むぞフレイ」

「何よ、この方が効率的でしょ?
 それとも私と一緒じゃ嫌とでも言うの?」

「別に嫌じゃないけど…。
 この腕、恥ずかしいから離してくれない?」

「ダメよ、あんた逃げ出しそうだもの」


ちっ。やっぱりそう上手くいかないか。
 転移を使おうにも今日はまだエネルギーを貰っていない。
 もう諦めるか…。

 そのまま歩いて数分後、俺たちは看板に『武具屋スタンリー』と書かれた建物の前に着いた。


「ここってフレイ来たことあるのか?」

「ええ、この店からガルドの牙の装備を卸してもらっているのよ。
 はやく入りましょう!」

「お、おい!」


 腕をまた引っ張られて入店する。
 案外こいつはこいつで武器屋に来るの楽しみだったのか?


☆☆☆


 店の中は結構広く、壁には剣や槍、鎧などが展示されており、ショーケースの中にはアクセサリー類が入っていた。
 武器屋なのにアクセサリー?


「なぁフレイこれって…」

「あー!
 バルムンクシリーズの新作が出てるじゃない!
 あっ! このメイルとても頑丈ね!
 待って、このジャベリンもかなり可愛いんですけど!!」


 …どうやらフレイはウィンドウショッピング状態のようだ。
 異世界の女子って武器屋でテンション上がるものなの?


「いらっしゃいフレイちゃん。
 今日はデートかい? 羨ましいねぇ」


 店の奥から立派な髭を生やした男の人が出てきた。
 この人はドワーフかな?
 俺とフレイは店主さんのカウンターへ移動する。


「ご無沙汰してるわ、スタンリーさん。
 今日はこのモヤシ男の買い物に来たのよ」

「おいコラ。えっとはじめまして、零人です」


 すると店主のおじさんは腰に手を当ててガッハッハッと笑いだした。


「なんでい、彼氏じゃないってのかい?
 せっかくこの強情娘が男を連れて来たから弄ってやろうと思ったのによぉ」

「はいはい、それは良いからこいつの予算で買えそうな装備見繕ってくれない?」


 どうやら顔馴染みのようで、随分と慣れた感じのやり取りだな。
 何か少しカッコいい…。


「あいよ。
 よぉ、兄ちゃんの職業ジョブはなんだい?」

「俺は剣士ソードファイターです。
 あ、でも俺はかなり動き回る戦法なので、出来れば軽い装備だと助かります」


 敵によっては立体的な動きもしないといけないため、身体が重いと転移が完了した時の姿勢制御が難しい。
 それはガルド村での訓練で分かったことだ。


「ふむ、そうなると…盗人シーフ寄りの装備にするのが良さそうだな。
 ちょっと待ってな」


 そう言うと、スタンリーさんはカウンターから離れた。

 セリーヌと同じ装備?
 え、でもあいつの服装って結構肌が露出してたよな。
 まさか俺もあれと同じ格好になる!?


「レイト、バカなことを考えてる顔ね。
 まさかセリーヌと同じ装備になると思ってるの?」


 なんで分かるんだよ。


「ほらよっ! こいつでどうだい?」


 しばらくすると、スタンリーさんが戻ってきてカウンターにドン!と装備一式を置いた。


「まずお前さんの武器だが、これをおすすめするぜ。
 アルトニウム製のファルシオンだ。
 手に取って振ってみな」


 スタンリーさんから渡された剣を握る。
 おお、前に使ってた剣より軽い…。
 誰もいない方を向き、空を斬らせてみる。


「どう? レイト?」

「ああ、かなり使いやすいぜ。
 前に使ってたやつとは全然違う」


 率直な感想を述べるとスタンリーさんはまた豪快に笑った。


「そうかい! 気に入ってくれて良かったぜ!
 そんで次は防具だが、動き回るってんで今回はチェーンメイルにしといたぜ。
 羽織ってみな」


 フレイに着方を教えてもらいながら着てみる。
 んん、少し重いな…。
 けど、万が一攻撃を受けた時にはこれがないと怪我するかもだしな。
 慣れれば大丈夫なはずだ。


「ありがとうございます、スタンリーさん。
 これなら充分闘えると思います!」

「ガッハッハッ!
 若いのにちゃんと礼儀正しいな!
 これからもウチを贔屓に頼むぜ?」


 ここの店主は随分気さくな人だな。
 また機会があったら来てみよう。


「さ、用が済んだならギルドに向かいましょ。
 報酬を受け取らなくちゃね」

「おう。あ、待ってフレイ。
 このショーケースの中にあるアクセサリーみたいなのって何なんだ?」


 ずっとさっきから気になってたんだ。
 フレイの代わりにスタンリーさんが答えてくれた。


「こいつらは付けた奴の魔力マナや身体能力を補正してくれる物だ。
 まぁ、気休め程度には役立ってくれるさ」


 補正アイテム!? おお、なんかゲームぽい!
 そんなアイテムもあるのか~。
 ふむ…


「なぁ、フレイ。どれか1つ買わないか?」

「えっ!? レイトが買ってくれるの!?」

「おう。ここまで付き合ってくれたしな。
 あ、でもあんま高いのはナシだぞ?」


 フレイはパァァっとすごい笑顔になり、食いつくようにショーケースの中を物色し始めた。

 そんなにアクセサリー欲しかったのか?
 さっきはあっちの武器や防具に興奮してたのに。


「なんだ、やっぱり兄ちゃんはカレシなんじゃねぇか」

「え? 全然違いますよー」

「そうは見えないけどねぇ」


 スタンリーさんがからかうように言ってきた。
 ちょっとしたお礼のつもりなんだけど…。


「ねぇ、レイト! 来て!
 コレとコレならどっちが良いと思う!?」


☆☆☆


 フレイが決めるまで1時間くらい掛かった…。
 今回買ったのはフレイの瞳の色と同じ、翡翠色のイヤリング型の魔力補正アクセサリーだ。
 まさかあんなに悩むとは思わなかったぜ…。


「~♪」

「ったく、ご機嫌だなフレイ。
ちゃっかりもう付けちゃって」

「良いじゃない別に!
 買ってくれてありがとねレイトっ!」

「!?」


 な、なんだ!?

 珍しくフレイが普通に可愛い!
 普段あんなに怒ってるからギャップが凄まじい…。


「ん、どうしたのよ?」

「いやっ! なんでもない!
 ほら早くギルド行こうぜ!
 ルカ達もう着いてるかもしれないしな」

「あ! ちょ、ちょっと!」


 なんかこれ以上こいつと2人きりはヤバい気がしたので、早足でギルドに向かった。


☆☆☆


 ギルドに着くとなにやら騒がしかった。


「あれ、何かあったのか?」

「そうね、随分とザワついてるわね…」


 ギルドの中を進んでいくとこちらに視線が集まり、さらにヒソヒソ声も聞こえてきた。


「おい、アイツらが例の…」

「ああ、話によると昨日デビューしたばかりなんだろ?
まさかあんな…」

「黒髪の男とデカいエルフの女…。
 絶対アイツらだ…」


 なんだか穏やかじゃなさそう?
 どうしたんだろ?

 受付の方へ進んで行くと、ルカとセリーヌが待っていた。
 どうやら俺たちの方が遅れちまったな。

 セリーヌがこちらを見つけると、何故か血相を変えて走ってきた。


「はぁ、はぁ、レイト君…!
 た、大変なことになったニャ」

「ど、どうしたんだよ?
 まさかもう魔王が復活したのか?」

「いや違う」


 ルカもこちらにふわふわとやってきた。


「落ち着いてよく聞け、2人とも。
 昨日の盗賊のクエスト報酬だが…」


 ルカは少し間を置いて、言葉を紡ぐ。


「家を貰った」








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