【完結】誰でも持っているはずの7つのスキルの内の１つ、運び屋スキルしか持っていなかったけど、最強になりました

81話

「我は魔人ムラクモの特殊個体『アシタカ』」

魔人ヤガミを真っ二つに斬り裂いた紫色の刀と肌を持つ者が話しかけてきた。

「この闇の一族、魔人ヤガミは夜の神『ジー』と呼ばれる者。はるか昔、我らムラクモ一族を救ってくれた太陽の子『天悟空』の子達よ、我はお主達を天時空界に案内する役目を授けられた者だ」

「危ないところを助けていただき、ありがとうございました」

片腕をなくしたマリアはアシタカに礼を言う。

「もう少し早く駆けつける事が出来たならお主は腕をなくさずにすんだだろう。すまなかった」

「これは私が未熟な証の結果ですので、お気になさらずに」

マリアは気丈に振る舞っているが、利き腕をなくした事で動揺していた。

「マリア姉ちゃん、なくした腕は僕がなんとかするよ。こうみえても匠として義手とかも作ってたりしたからさ。この前、手に入れた魔人キビの素材で特別な腕を作ってあげる！」

「ありがとうテウス」

「じゃあさっそく製作に取り掛かるよ」

テウスはアイテム収納から製作道具を取り出し、マリアの義手を作り始めた。

～～～
意識を失っていた俺は目を覚ました。

「あれから一体どうなったんだ・・・」

「ようやく目を覚ましたみたいね、こちらは魔人ムラクモの特殊個体『アシタカ』さんよ。私達を天時空界に案内してくれるみたい」

魔人が天時空界まで案内してくれるのか。そういえば、マリアの腕は・・・

見ると、マリアのなくしたはずの右腕には機械の右腕が取り付けられていた。

「その腕は・・・」

「これは僕が作った特製の義手だよ。マリア姉ちゃんの力を最大限引き出せるようにブラックキューブの『魔具』を埋め込んでいるんだ」

「テウスのおかげで前よりずっと暴れる事が出来るかも。これなら全身機械の身体の方がいいかもね、フフフ」

「そうなったら魔具だらけのマリアになってしまうね。もちろんそんな事にはならないよう僕が守ってみせるよ」

「俺も・・・」

だが俺はこの先の言葉を言えずにいた。

またしても俺はマリアを守る事ができなかった。俺は守られてばかりだ・・・強くならないと・・・

俺は足を引っ張ってばかりいる自分の無力さを嘆いていた。