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79話
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次の日、俺の特訓の成果を試すためにまた魔人キビと戦う事になり、俺は少し緊張していた。
「昨日、何もダメージを与える事ができなかったのに本当に大丈夫なのだろうか・・・」
「トリス兄ちゃん、準備してちょうだい。マズいと思ったら援護はするからね」
テウスはこちらの心配をよそに相変わらずな軽い感じだった。
「わかった」
俺は3種のリンゴポーションを取り出し飲み始めた。
「サイカ、オウリン、ジョナ・ゴールド・クリムゾン」
俺は激しくほとばしる金のオーラを身に纏い、白金の爪を具現化。
「じゃあ行くよーー!!」
テウスはそこら辺にある石をめくり上げると、魔人キビが姿を現した。
「我は魔人キビ、何用で・・・」
「風水拳・天門・天龍拳」
トリスの拳は天を駆け上がる龍の姿になって魔人キビの硬い殻を貫き、魔人キビは息絶えた。
「トリス兄ちゃん、昨日特訓した甲斐があったね。さっそくだけど、こいつ美味しかったからまた焼いて食べようか」
~~~
食事も終わったところでテウスが魔人キビの外殻に興味を持ち始めた。
「これだけ硬い殻だと防具の他にもいろいろと使えるかもね。それに混沌蟲の殻だからなのか魔力が半端ないんだよね。っていうかこの殻は魔力を増幅させる効果があるかもしれない」
「いろいろな物を作る事に関してはさすがは匠といったところか」
「それでなんだけど、これだけだと作りたい物に対して全然材料が足りないから、トリス兄ちゃん、今日は食料集めのついでに魔人キビ退治をお願いね。これも特訓だから」
「わ、わかったよ」
なんか特訓って言えばなんでもいいって思ってないか。
そんな事を思いつつ、魔人キビ退治を始めた。
「風水拳・天門・天龍拳」
「風水拳・天門・天龍拳」
「風水拳・天門・天龍拳」
石をひっくり返せばどこにでもいるから途中で数えるのをやめたが、相当な数の魔人キビを退治していった。
「これだけあれば充分だよ、ありがとうね。それでさっそくだけど試しに作ってみた物があるんだ」
テウスは黒い小さな箱を取り出して見せた。
「これはブラックキューブと言う『魔具』で魔力を増幅させる効果があるんだ。試しにトリス兄ちゃんの白金の爪に取り付けてみてよ」
俺はテウスに言われるがままに白金の爪に装着してみて、魔力を込め始めた。
「!!」
以前より少しの魔力で空間を斬り裂ける感覚を味わい、俺は驚きを隠す事が出来ずにいた。
「大成功だね。これでトリス兄ちゃんはさらに強くなれるよ」
「何から何まで、すまないな」
「気にしなくていいよ。話は変わるんだけど、トリス兄ちゃんの作るリンゴポーションを僕達も飲んだけど、トリス兄ちゃんにだけ効果があって僕達には効果がなかったんだよね。きっと僕達は魔力の限界まで鍛えてしまってるから効果がないんだと思う」
「それはどういう事だ?」
「リンゴポーションはおそらく魔力の底上げの効果があるんだと思う。僕達は限界まで鍛えてしまっているから底上げする事は出来ない。だけど、トリス兄ちゃんはまだまだ魔力が上がるっていう事。トリス兄ちゃんはこの短期間でかなり強くなったけど、まだまだ強くなれるって事だよ」
「そうなんだ」
「だから今、特訓してるんだ。トリス兄ちゃんは僕達より強くなれるよ」
俺はテウスの言う事を素直に受け入れて、再び魔人キビ退治の特訓を続けた。
「昨日、何もダメージを与える事ができなかったのに本当に大丈夫なのだろうか・・・」
「トリス兄ちゃん、準備してちょうだい。マズいと思ったら援護はするからね」
テウスはこちらの心配をよそに相変わらずな軽い感じだった。
「わかった」
俺は3種のリンゴポーションを取り出し飲み始めた。
「サイカ、オウリン、ジョナ・ゴールド・クリムゾン」
俺は激しくほとばしる金のオーラを身に纏い、白金の爪を具現化。
「じゃあ行くよーー!!」
テウスはそこら辺にある石をめくり上げると、魔人キビが姿を現した。
「我は魔人キビ、何用で・・・」
「風水拳・天門・天龍拳」
トリスの拳は天を駆け上がる龍の姿になって魔人キビの硬い殻を貫き、魔人キビは息絶えた。
「トリス兄ちゃん、昨日特訓した甲斐があったね。さっそくだけど、こいつ美味しかったからまた焼いて食べようか」
~~~
食事も終わったところでテウスが魔人キビの外殻に興味を持ち始めた。
「これだけ硬い殻だと防具の他にもいろいろと使えるかもね。それに混沌蟲の殻だからなのか魔力が半端ないんだよね。っていうかこの殻は魔力を増幅させる効果があるかもしれない」
「いろいろな物を作る事に関してはさすがは匠といったところか」
「それでなんだけど、これだけだと作りたい物に対して全然材料が足りないから、トリス兄ちゃん、今日は食料集めのついでに魔人キビ退治をお願いね。これも特訓だから」
「わ、わかったよ」
なんか特訓って言えばなんでもいいって思ってないか。
そんな事を思いつつ、魔人キビ退治を始めた。
「風水拳・天門・天龍拳」
「風水拳・天門・天龍拳」
「風水拳・天門・天龍拳」
石をひっくり返せばどこにでもいるから途中で数えるのをやめたが、相当な数の魔人キビを退治していった。
「これだけあれば充分だよ、ありがとうね。それでさっそくだけど試しに作ってみた物があるんだ」
テウスは黒い小さな箱を取り出して見せた。
「これはブラックキューブと言う『魔具』で魔力を増幅させる効果があるんだ。試しにトリス兄ちゃんの白金の爪に取り付けてみてよ」
俺はテウスに言われるがままに白金の爪に装着してみて、魔力を込め始めた。
「!!」
以前より少しの魔力で空間を斬り裂ける感覚を味わい、俺は驚きを隠す事が出来ずにいた。
「大成功だね。これでトリス兄ちゃんはさらに強くなれるよ」
「何から何まで、すまないな」
「気にしなくていいよ。話は変わるんだけど、トリス兄ちゃんの作るリンゴポーションを僕達も飲んだけど、トリス兄ちゃんにだけ効果があって僕達には効果がなかったんだよね。きっと僕達は魔力の限界まで鍛えてしまってるから効果がないんだと思う」
「それはどういう事だ?」
「リンゴポーションはおそらく魔力の底上げの効果があるんだと思う。僕達は限界まで鍛えてしまっているから底上げする事は出来ない。だけど、トリス兄ちゃんはまだまだ魔力が上がるっていう事。トリス兄ちゃんはこの短期間でかなり強くなったけど、まだまだ強くなれるって事だよ」
「そうなんだ」
「だから今、特訓してるんだ。トリス兄ちゃんは僕達より強くなれるよ」
俺はテウスの言う事を素直に受け入れて、再び魔人キビ退治の特訓を続けた。
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