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63話

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俺はアルファ達のいる天空山に来ていた。

「アルファ、テンブ老師、お久しぶりです。今日は聞きたい事があり来ました」

「それは賢者の石の事だな」

「テンブ老師、なぜそれを・・・」

「ワシらの持つ目は全てを見通す目。月影の白兎が何をしようとしているのかもお見通しじゃ。お主はこれからゲンブに会いに行くのだろう」

そこまでわかっているのか。

「ゲンブは今、産卵の時期で近づく者は容赦なく殺す。そんなゲンブに近づく方法は1つだけじゃ。ゲンブはサンゴが大好きでなぁ、特に自分の育った場所にある『南極サンゴ』が大好きなのじゃ!」

「その『南極サンゴ』はどこに?」

「この天空山よりはるか南に行けば急に寒くなる海が見えてくる。その海の中で採取できる。今のお前さんなら余裕で採取できるだろう」

「わかりました。それではさっそく行ってきます」

「採取が終わったら、またここに寄ってくれ」

「わかりました」

「気をつけてな」

「はい!ゴルゴ・ダ・フェザー」

俺は白き羽を広げて南に向かっていった。

~~~
「だいぶ寒くなってきたな・・・あっ!海が見えてきた・・・何か人影が見えるぞ。こんなところに普通に人がいるなんて思えない。1度地上に降りて近づいてみよう」

俺は地上に降り立ち、忍び足スキルを使い人影のあった方に近づいて行った。

「痛い目にあいたくないならさっさとこっちに来い!」

甲羅を背負った1人の少女が闇の縄で繋がれていた。

「あれはベルゼ・・・ベルゼに捕まっている彼女は一体何者だ・・・まぁ彼女が何者でも関係ないな。ベルゼのような悪党には容赦しないで全開でぶちかましてやるぜ」

俺はアイテム収納から『ジョナ・ゴールド・クリムゾン』ポーションを取り出し飲み、金色のオーラを纏う。

「白き爪と黒き盾を両手に宿す『ホワイトクロー』」

「白き爪と金の力、2つの力が重なり合う時、空間は切り裂かれる『空間断絶・クロープラチナ』」

金色のオーラを身に纏い、両手には具現化された白金の爪。

俺は両手に風を集め威圧をかけて圧縮していった。

「射殺し、打ち殺し、噛み殺す白金の竜巻の牙『ゴルゴ・ダ・ファング・空間断絶・風天抜刀牙』」

圧縮された風は具現化し、ドーナツ状に渦を描くように白金のドクロの牙がベルゼに襲いかかった。

「なっ!なんだ!だがこの程度なら防げるわっ!!闇魔法『ダークカーテン』」

ベルゼの目の前に闇のカーテンが広がっていく。

しかし、白金のドクロの牙は闇のカーテンを切り裂きベルゼに襲いかかり、ベルゼの右腕を切り落とした。

「トリスめ、なんて力を身につけたんだ。このままではマズいな、一度撤退する。闇魔法『ダークホール』」

ベルゼは目の前に現れた黒い穴に入って、姿を消した。

「この力なら月影の白兎相手でもやっていけそうだな・・・そうだ!さっきの少女の縄を解いてやらないと!」

俺は甲羅を背負った少女の闇の縄を白金の爪で切り裂いて、話しかけた。

「大丈夫ですか?怪我などしてないですか?」

「大丈夫です。助けていただきありがとうございました」

「いえいえ、あいつとはちょっとした因縁があって、ぶちのめしてやりたかっただけですよ。ところでなんであいつに捕まっていたんですか?」

「わかりません・・・すみませんが私は急いで戻らないといけないのでもういいですか?」

「えぇ、大丈夫ですよ。もうあんなやつには捕まらないように気をつけてください」

「助けていただき本当にありがとうございました。お礼も何もできずに申し訳ないけど私はこれで失礼します」

少女は目の前の海に飛び込んで行ってしまった。

「彼女は一体何者だったんだろうか・・・ここら辺に住んでいるなら『南極サンゴ』の事聞けばよかったかな・・・」

そんな事を考えながら俺は目の前の綺麗な海をしばらく眺めていた。
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