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17話

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修行をつけてもらう事になった俺はアルファとアルファの爺さんと共に死の台地に来ていた。

「これからトリスとアルファの修行を始める。まずはトリスよ、勇者が授かるスキルを全部言ってみろ」

「勇者が授かるスキルは
【攻撃】《斬撃》《打撃》《射撃》《魔法撃》
【防御】《身体強化》《精神強化》《異常耐性》
【魔法】《火魔法》《水魔法》《風魔法》《土魔法》《光魔法》
【生産】《武器製作》《防具製作》《道具製作》
【特殊】《勇者》
【観察眼】《観察眼》
【運び屋】《運び屋》
の全部で18です」

「この18という数字にニンゲンは囚われていて本当の真実に気づく事ができなくなっているのじゃ。ニンゲンはなぜ儀式の日に【特殊】スキルを宣言するのか考えた事はあるか?きっとなかっただろう」

そう言われてみればなんでなんだろう?

「たしかに考えた事はなかったです」

「スキル《闇魔法》を隠すためなのじゃ。ニンゲンは本質的に《闇魔法》を扱う事ができないからな。だけど存在を知れば求めるじゃろ。それを求めれば破滅を引き起こす事になるのじゃ」

闇魔法・・・

「そして【特殊】はスキルにしてスキルにあらずなのじゃ。だから【特殊】だけはレベルを上げる事はできないじゃろ。【特殊】ではなく《闇魔法》が入るのが本来の18スキルなのじゃ」

「そうだったんだ」

「そしてここからがトリス、お主にとって大事な話になる。本来、力とは使い方を知っていれば誰でも使えるものじゃ。スキルとはその力を上手く使いこなすためにある自転車の補助輪のような役割。ワシらはスキルなんてものは使えないが魔物達の素材はスキルに関係ある事ばかりに使われる。それは魔物達が力の使い方を知っているからにすぎない」

「そんな秘密があったんですね」

「お主はスキルを持っていないから強くなれないと諦めていただろう。ニンゲンはスキルというもので勝手に限界を作る。スキルに頼ってこなかったお主は誰よりも強くなれるぞ」

「頑張ります」

「ワシら風の白猫一族は【攻撃】と《風魔法》の使い手じゃ。お主にはまず風の使い方を教えてやる」

「はい」

「まずはこれをやろう」

そう言うとヒゲを抜いて渡してきた。

新しく手に入れたレベル10の観察眼では詳細まで確認できるようになっている。

『風の白猫のヒゲ』→重力を操る事ができる

「爺ちゃん、重力を操る事ができるって見えるぜ」

観察眼で見えるようになったアルファが口を開いた。

「ワシは重力という言葉が嫌いじゃ。まるで『ゲンブ』の事みたいじゃからな」

「爺ちゃんは『ゲンブ』の事嫌いだからな。『テンブ』と『ゲンブ』の話はいつも聞かされてたからな」

「テンブとゲンブの話というのは?」

「最強の攻撃力を持つ風の白猫一族と最強の防御力を持つ土の黒蛇亀一族、どちらが強いかという話になった時、お互いが自分の方が強いと主張して戦う事になったんだ。三日三晩戦った結果、風の白猫一族のテンブが負けてしまったんだ。正確には永遠に続く戦いになってしまうため、先に寿命のくるテンブが不利な戦いだとわかったためにテンブが負けを認めたっていう話さ」

「ワシは本気を出せばアヤツなぞ倒せていたが、倒せば秩序が乱れるから手加減しただけじゃ」

「爺ちゃんはいつもそれを言うよな」

「話はそれたがこれから修行を始めるぞ。まずは風の使い方からだ」
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