【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人

文字の大きさ
上 下
82 / 100
第7章 4人の悪魔

82話

しおりを挟む
ボクの名前は三上ハヤト。小さいクランながらもトップを走っていた生産クランのブルーオウルのリーダーを務めている。

いや、今となっては務めていたと言った方がいいのかもしれない。

ボクがブルーオウルのクランハウスに行かなくなってから3週間。始めの1週間くらいはみんなから心配するメッセージも来ていたが、徐々に連絡もなくなり、今では誰からも連絡は来なくなっていた。

みんなの事を色々考える事もあるが、ガチ勢の人達と一緒にいれば迷惑をかける事になるから、ボクは身を引く事を決めた。

「3週間もかかると思ってなかったけど、ようやくリュウイチさんが第6章をクリアしたな」

リュウイチさんの段取りなら、もっと早くクリアすると思っていた。上手くいかなかったのはきっと想定外のトラブルでもあったのだろう。

この3週間でガチ勢はトップランカーの人達に追いついて第6章を攻略している。エンジョイ勢は第5章の太陽の塔を攻略中。

エンジョイ勢で行くと決めたボクはこれから太陽の塔に向かい、そこで楽しく遊べる仲間を探す予定。

ボクがいなくなった事で大手生産クランのホワイトスネークはトップの座に返り咲き、装備品に関する素材のマーケットを独占。

特に防具の素材でもある鉱石関係はぼったり価格のため、エンジョイ勢は困っている人も多いとの情報。

うまい具合に生産職のメンバーがいないパーティーを見つけて、仲間になる事が出来れば、エンジョイ勢としてこのゲームを楽しく続ける事が出来る。

ボクはそんな考えで太陽の塔に向かうと、自分の想定以上に太陽の塔の頂上は人で溢れていた。

「ねぇ、どうする?私達の装備だと5回までしか即死攻撃を防げないわよ」

神品質の防具なら即死攻撃を10回防げる。最高品質で8回、高品質で5回と徐々に減っていく。

「この頂上に来るのだって、かなりのお金がかかってるんだから、多少無理してでも攻略しないと、ここで私達破産しちゃうよ」

太陽の塔に来る事が出来る黄金のアルゴー船は生産職が作るモノなので、生産職の人は黄金のアルゴー船の乗船にお金を取っている。

これ自体は別に普通の事なんだが、大手生産クランのホワイトスネークが乗船の値段を吊り上げて、それに呼応するように他のクランも値段を吊り上げて今ではかなりの高額になっている。

ボクが思っていた以上にエンジョイ勢はエンジョイ出来ずにゲームをしているのかもしれないな。

そんな事を考えながら太陽の塔の頂上をウロウロしていると、女の子3人組のパーティーが目に付いた。

なぜ目についたのかって?それはその女の子達がボクの方を見ていたからだ。

「あの、すみません。ソロで攻略の方でしょうか?」

女の子達3人がボクに話しかけてきた。
1人の見た目は肩までサラリと伸びた黒髪の子。装備を見ると属性弓を装備している。
もう1人は茶髪のショートの子。装備を見ると剣を装備している。
もう1人は腰まで伸びた黒髪の子。杖を装備している。
見た目的には全員若さも感じられる。おそらく全員18歳という感じ。

ちなみにだがボクの年齢は22歳。マリナさんは28歳でアイナさんは26歳。メリーさんは30歳でチヅルさんは18歳。

大手クランのリーダーのリュウイチさんやコジロウさん、ナルミさんやレミさんもマリナさんと同じ28歳。

チヅルさん以外はみんな年上だったから、年下の女の子達から話しかけられるのは緊張する。

「ボ、ボクに何かご用でしょうか?」

若くてみんな可愛くて綺麗な人達。そんな人達がモブキャラのボクに話しかけてくるのは、何か違和感を感じる。

「私たち4人目の仲間を探してて、それで声かけさせていただきました」

「な、なんでボクなんでしょうか?」

「ソロで攻略する人ならすぐに太陽の塔の中に入るのに貴方はしなかった。かと言って誰か待ち合わせをしているようにも見えない。だから貴方もここで仲間になってくれる人を探している人なのかなって思って声をかけさせていただきました」

この人達の観察眼はしっかりとしたものだな。装備自体は太陽の塔を攻略するのにワンランクもツーランクも下のモノ。その装備でここまでこれたという事は力量もかなりのモノ。

きっとこの人達は後発組のガチ勢なのだろう。そう、ボクが1番仲間にしたいと思っていた人達だ。

ボクの性格上、ガチのエンジョイ勢の人達とはソリが合わないのはわかっていた。だからといって最前線を走るガチ勢の人達にはついていく事が出来ない。だから後発組のガチ勢がちょうど良いのだ。

「それで今お一人でしょうか?」

「ボクは1人で、ボクもちょうど仲間を探して、ここでウロウロとしていました。ボクはクラブのマークで純正産職のスキル構成でプレイしています。それで良かったら仲間になってもらえないでしょうか?」

「ねえねえ………」
「良さそうだよね…………」
「この人で…………」

女の子達はヒソヒソと話し始める。

「よろしくお願いします。私は烏丸ウサギです。魔法剣士のスキル構成でやっています」

「私は鳩村スズメ。属性弓のスキル構成です。よろしく」

「わ、私は鷲尾ツバメです。し、神聖魔法使いです。よ、よろしくお願いします」

魔法剣士のウサギさんは礼儀正しくメリーさんのような感じ。もしかしたらメリーさんを意識しているのかも。

属性弓のスズメさんはちょっと乱暴で人付き合いは苦手な感じ。

神聖魔法使いのツバメさんはかなりの人見知り。

「ボクは三上ハヤトです。みなさんよろしくお願いします。みなさんのパーティーのリーダーは誰がやられていますか?」

みんな顔を見渡し、浮かない表情。

「今、私達のパーティーにリーダーはいません。生産職をしていたリーダーがいたんだけど、段取りが悪すぎて色々と苦労して私達が追い出してしまったんです」

追い出されたリーダーかぁ………なんだかボクみたいだな。今度は追い出されないようにボクはこの人達のために頑張っていこう。

「そんな事情があったんですね」

「段取りが悪いと思ってリーダーを追い出してしまいましたが、今では私達がそれ以上に段取りが悪い事もわかりました。いきなりで悪いのですが……ハヤトさん。リーダーをやっていただけないでしょうか?」

えっ!ボクがリーダーを………

「わ、わかりました。よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」
「よろしく」
「よ、よろしくお願いします」

こうしてボクは女の子3人とパーティーを組んで、新たに冒険を始める事にした。













しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...