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終焉~Fの遺言~
⑤
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「というわけだから、よろしくね、ハスミン」
マキの言葉は、背後にいた蓮見と藤堂に向けられたものである。直人に何かあったときのためにと、二人を待機させてあったのが幸いした。
「藤堂、草薙さんを止めてくれ」
顔を見られないようにするためか、藤堂は深く俯いていた。
「聞いていただろう。このままでは草薙さんが罪を犯すことになる」
「無理だ……」
蓮見の問いかけに答える藤堂の声は、震えていた。
「桜井の言葉に耳を貸さないのに、俺が何を言っても無駄だろ」
それを聞いてシラサカは藤堂に駆け寄り、胸倉を掴んだ。
「おまえは草薙の息子だろ」
藤堂はようやく顔を上げた。強く唇を噛みしめ、目の前のシラサカを睨みつける。
「あいつを止められるのは、おまえしかいねえだろうが!?」
シラサカの言葉に思うところがあったのか、藤堂の顔つきが変わった。
「これはあんたら警察が手を汚す問題じゃない。和臣は俺がバラす。ハナムラの始末屋のリーダーがやれば文句ねえよ」
果たして本当にそうだろうかとレイは考える。正直、和臣側の人間が組織内にここまでいたとは思いもしなかった。掃除屋のリーダーであるサユリのことは、寝耳に水であった。
あいつが会社に顔を出さなかったのは、そういう事情があってのことか。
だが、サユリは和臣ではなく花村を選んだ。側にいる時間が長かったからこそ、情だけではない感情を持ってしまったのではないだろうか。
(責任は私が取る。存分にやりたまえ)
それでも希望はある。相次郎がどこまで抑え込んでくれるのかで、ハナムラの行く末は決まる。だからこそ、花村と草薙は和臣に直接手を下してはならないのだ。
「言いたい放題言いやがって」
シラサカの手を振り解く藤堂。表情から不安も迷いも消えていた。
「ダメです、草薙さん!?」
そのとき、直人の切迫した声が響いた。草薙は和臣に被さり、彼の額に銃口をあてがっていた。
「それ以上、手を出してはいけない。あなたは、ここで終わってはいけない!」
「桜井君と蓮見と三人での仕事は、とても楽しかったよ」
直人の言葉に微笑んだ後、草薙は表情を一変させ、引き金を弾こうとしたが……
「させるかよ」
間一髪のところで、藤堂が草薙の拳銃を素手で掴んだ。
「あんたの苦しみの半分は、俺が背負ってんだぜ」
藤堂が発した言葉に、草薙は驚愕した。
「離れてくれ、藤堂君」
草薙は藤堂を振り切ろうとするが、彼は手を離そうとしなかった。
「離れろと言っているんだ!?」
「俺には、あんたを止める権利がある」
藤堂の母であった文香は、草薙をよく理解していた。血縁を嫌い、断ち切ろうとする彼を止めるためには、新しい血縁が必要だということを。
「頼むから、これ以上、私を苦しめないでくれ……!」
現に、直人の言葉に耳を貸さなかった草薙が、藤堂の言葉に揺れ動き、引き金を弾けずにいる。
「その苦しみの半分も俺が引き取ってやる。だから、あんたは罪を犯すな」
そう言って、藤堂は草薙を和臣から引き剥がした。
「おまえに、息子が、いたとはな……」
草薙が躊躇いを見せたことで、和臣は反撃に出た。どこに隠し持っていたのか、右手に拳銃が握られていた。薬のせいで体の震えが止まらないこともあり、引き金を弾けば、弾がどこへ飛んでいくかわからない。
「まとめて、殺して、やる!?」
「シラサカ!?」
レイが叫ぶと同時にシラサカは拳銃を構え、引き金を弾こうとした。そこに直人が立ちはだかる。
「邪魔をするな、ナオ!」
直人はシラサカに向かって不敵に微笑んだ後、マキの拳銃を右手に握りしめ、和臣に向けて発砲した。
マキの言葉は、背後にいた蓮見と藤堂に向けられたものである。直人に何かあったときのためにと、二人を待機させてあったのが幸いした。
「藤堂、草薙さんを止めてくれ」
顔を見られないようにするためか、藤堂は深く俯いていた。
「聞いていただろう。このままでは草薙さんが罪を犯すことになる」
「無理だ……」
蓮見の問いかけに答える藤堂の声は、震えていた。
「桜井の言葉に耳を貸さないのに、俺が何を言っても無駄だろ」
それを聞いてシラサカは藤堂に駆け寄り、胸倉を掴んだ。
「おまえは草薙の息子だろ」
藤堂はようやく顔を上げた。強く唇を噛みしめ、目の前のシラサカを睨みつける。
「あいつを止められるのは、おまえしかいねえだろうが!?」
シラサカの言葉に思うところがあったのか、藤堂の顔つきが変わった。
「これはあんたら警察が手を汚す問題じゃない。和臣は俺がバラす。ハナムラの始末屋のリーダーがやれば文句ねえよ」
果たして本当にそうだろうかとレイは考える。正直、和臣側の人間が組織内にここまでいたとは思いもしなかった。掃除屋のリーダーであるサユリのことは、寝耳に水であった。
あいつが会社に顔を出さなかったのは、そういう事情があってのことか。
だが、サユリは和臣ではなく花村を選んだ。側にいる時間が長かったからこそ、情だけではない感情を持ってしまったのではないだろうか。
(責任は私が取る。存分にやりたまえ)
それでも希望はある。相次郎がどこまで抑え込んでくれるのかで、ハナムラの行く末は決まる。だからこそ、花村と草薙は和臣に直接手を下してはならないのだ。
「言いたい放題言いやがって」
シラサカの手を振り解く藤堂。表情から不安も迷いも消えていた。
「ダメです、草薙さん!?」
そのとき、直人の切迫した声が響いた。草薙は和臣に被さり、彼の額に銃口をあてがっていた。
「それ以上、手を出してはいけない。あなたは、ここで終わってはいけない!」
「桜井君と蓮見と三人での仕事は、とても楽しかったよ」
直人の言葉に微笑んだ後、草薙は表情を一変させ、引き金を弾こうとしたが……
「させるかよ」
間一髪のところで、藤堂が草薙の拳銃を素手で掴んだ。
「あんたの苦しみの半分は、俺が背負ってんだぜ」
藤堂が発した言葉に、草薙は驚愕した。
「離れてくれ、藤堂君」
草薙は藤堂を振り切ろうとするが、彼は手を離そうとしなかった。
「離れろと言っているんだ!?」
「俺には、あんたを止める権利がある」
藤堂の母であった文香は、草薙をよく理解していた。血縁を嫌い、断ち切ろうとする彼を止めるためには、新しい血縁が必要だということを。
「頼むから、これ以上、私を苦しめないでくれ……!」
現に、直人の言葉に耳を貸さなかった草薙が、藤堂の言葉に揺れ動き、引き金を弾けずにいる。
「その苦しみの半分も俺が引き取ってやる。だから、あんたは罪を犯すな」
そう言って、藤堂は草薙を和臣から引き剥がした。
「おまえに、息子が、いたとはな……」
草薙が躊躇いを見せたことで、和臣は反撃に出た。どこに隠し持っていたのか、右手に拳銃が握られていた。薬のせいで体の震えが止まらないこともあり、引き金を弾けば、弾がどこへ飛んでいくかわからない。
「まとめて、殺して、やる!?」
「シラサカ!?」
レイが叫ぶと同時にシラサカは拳銃を構え、引き金を弾こうとした。そこに直人が立ちはだかる。
「邪魔をするな、ナオ!」
直人はシラサカに向かって不敵に微笑んだ後、マキの拳銃を右手に握りしめ、和臣に向けて発砲した。
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