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第33話『死神の決意(前)』
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グリアはマンションに着くと、自宅ではなくリョウの部屋に直行した。
なんだかんだ言って、相談相手として一番信頼している相手なのだ。
「グリアがボクの部屋にくるって事は、また何かあったね?」
前触れもなくリョウの部屋に訪れたグリアを前にしても、リョウは笑顔だ。
「あ、シュークリーム食べる?」
「いらねえよ」
そして、グリアは甘い物が好きではないと知りながら勧める。
これはもう、お決まりの挨拶みたいなものだ。
二人は向かい合って座り、そのテーブルの上には紅茶やクッキーが置かれている。
なんだか女子会のノリだ。
「亜矢に『赤ちゃんができた』って言われた」
グリアが最初に打ち明けたのは、あの衝撃発言だった。
リョウは紅茶を一口飲むと、ニッコリと笑った。
「え~~~すごいね、おめでとう」
「オイ、その棒読みやめろ」
リョウは、グリアが変な冗談を言ったと思って軽く返した。
グリアは、今日学校であった事、亜矢の発言を全てリョウに話した。
「それ、本当に亜矢ちゃんが言ったの?アヤメさんじゃなくて?」
「学校だぞ、アレは亜矢に間違いねえ」
亜矢と1年以上『口移し』をしているグリアでも、アヤメの正体を見抜けなかった。
姿だけでなく魂も同一の分身なので、ある意味、見抜けないのも正解と言える。
とりあえず、亜矢が本当に懐妊したという仮定で話を進めてみる。
リョウは半信半疑だったが、グリアが頼ってきた事が嬉しいので、話に付き合う。
いや実は、グリアの反応を楽しんでいるだけの腹黒い天使である。
そうなると次の問題は、それは誰との子であるか、だ。
「それはやっぱり、グリアじゃないの?」
「なんで、そうなるんだよ…身に覚えがねえ」
「グリア……亜矢ちゃんに何したの?」
「何だよ、その目は!?何もしてねえよ、『口移し』しか!!」
言い換えれば、『口移し』をしている。しかも毎日。
それが原因だとしたら……
「もしかしたら、キスで子供ができたのかもよ?」
「なっ!?んな訳ねえだろ!!」
「死神が相手での人間の懐妊は前例がないから、ありえるよ」
グリアの動きが完全に停止した。
天界の優秀な天使であるリョウが言うと、妙に説得力がある。
なんだかんだ言って、相談相手として一番信頼している相手なのだ。
「グリアがボクの部屋にくるって事は、また何かあったね?」
前触れもなくリョウの部屋に訪れたグリアを前にしても、リョウは笑顔だ。
「あ、シュークリーム食べる?」
「いらねえよ」
そして、グリアは甘い物が好きではないと知りながら勧める。
これはもう、お決まりの挨拶みたいなものだ。
二人は向かい合って座り、そのテーブルの上には紅茶やクッキーが置かれている。
なんだか女子会のノリだ。
「亜矢に『赤ちゃんができた』って言われた」
グリアが最初に打ち明けたのは、あの衝撃発言だった。
リョウは紅茶を一口飲むと、ニッコリと笑った。
「え~~~すごいね、おめでとう」
「オイ、その棒読みやめろ」
リョウは、グリアが変な冗談を言ったと思って軽く返した。
グリアは、今日学校であった事、亜矢の発言を全てリョウに話した。
「それ、本当に亜矢ちゃんが言ったの?アヤメさんじゃなくて?」
「学校だぞ、アレは亜矢に間違いねえ」
亜矢と1年以上『口移し』をしているグリアでも、アヤメの正体を見抜けなかった。
姿だけでなく魂も同一の分身なので、ある意味、見抜けないのも正解と言える。
とりあえず、亜矢が本当に懐妊したという仮定で話を進めてみる。
リョウは半信半疑だったが、グリアが頼ってきた事が嬉しいので、話に付き合う。
いや実は、グリアの反応を楽しんでいるだけの腹黒い天使である。
そうなると次の問題は、それは誰との子であるか、だ。
「それはやっぱり、グリアじゃないの?」
「なんで、そうなるんだよ…身に覚えがねえ」
「グリア……亜矢ちゃんに何したの?」
「何だよ、その目は!?何もしてねえよ、『口移し』しか!!」
言い換えれば、『口移し』をしている。しかも毎日。
それが原因だとしたら……
「もしかしたら、キスで子供ができたのかもよ?」
「なっ!?んな訳ねえだろ!!」
「死神が相手での人間の懐妊は前例がないから、ありえるよ」
グリアの動きが完全に停止した。
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