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第5話『桃色天使降臨(前)』
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そして勢いよく玄関のドアを開けた瞬間。
目の前には、リョウと亜矢が立っていた。
ちょうど、クッキーを渡しに来たリョウと亜矢が玄関のドアを開けようとした所なのだ。
リョウとレイナは顔を見合わせると、固まった。
リョウの隣にいた亜矢は、訳が分からずリョウとレイナの顔を交互に見る。
亜矢は、レイナを見て思った。
(すごく可愛い子……。誰かしら?)
それよりも、亜矢の心に引っ掛かった事。
なんで、グリアの部屋に居たのだろうか?
何か、もやもやした感情が亜矢の中で沸き起こった次の瞬間、レイナがリョウに抱きついた。
「お兄ちゃん!!」
「えっ!?」
驚きに声を上げたのは、亜矢の方だった。
(リョウくんの妹!?)
だが、リョウはレイナを見て喜ぶどころか、険しい顔をしている。
「レイナ……どうして、ここに?」
リョウの深刻な心情を知らないレイナは、満面の笑みでリョウを見る。
「お兄ちゃん、重要な使命とかで人間界に行ってから、全然帰って来なかったから……会いに来ちゃった」
その言葉に、リョウの顔色が変わった。
レイナの言う『使命』とは、1年前にリョウが天王から与えられた、『亜矢の魂を手に入れる』という使命の事だ。
レイナは、この1年間の事を知らないのだ。
リョウが天王から与えられた使命の内容も。
リョウが天王に逆らい、呪縛を受けた事も。
そして、今は天界に仕えるのを辞め、フリーの天使になった事も。
レイナはリョウに会えて嬉しさの余り、次々と言葉を続ける。
「お兄ちゃんは、私の自慢だよ。私もいつか立派な天使になって、天王様に仕えるの!」
「レイナ……」
リョウは、ようやくその一言だけを口に出した。
天使とは、基本的に天王を崇拝している。
レイナも例外ではない。例外なのは、リョウの方だ。
天使でありながら、リョウは天王に背いた。それは、歴史上初めての事なのだ。
元々、普通の天使では天王に会う事すら出来ない。
特別階級の天使であったリョウは、天王の行いを間近で見てきた。
レイナは、天王の本当の姿を知らない。
そしてリョウも、レイナに本当の事を話す事が出来なかった。
リョウはレイナの頭の上にそっと手を乗せると、ようやく優しいいつもの笑顔を向けた。
「来てくれて嬉しいよ。でも、ボクにはまだ使命があるんだ」
それは、亜矢を守るという使命。
天王の命令ではなく、自分の意志で決意した事だ。
「お兄ちゃん……どうしたの?」
その笑顔が、いつものリョウらしくない事をレイナはようやく見抜いたのだろう。
心配そうにリョウの顔を覗き込む。
リョウの心には、確かに迷いがあった。
今の不安定な自分の心のままで、レイナに会う事は出来ないと思っていたのに。
何か大きな変化が起こり始めている今、レイナを巻き込みたくない。
もうこれ以上、大切な物を失いたくないと思った。
目の前には、リョウと亜矢が立っていた。
ちょうど、クッキーを渡しに来たリョウと亜矢が玄関のドアを開けようとした所なのだ。
リョウとレイナは顔を見合わせると、固まった。
リョウの隣にいた亜矢は、訳が分からずリョウとレイナの顔を交互に見る。
亜矢は、レイナを見て思った。
(すごく可愛い子……。誰かしら?)
それよりも、亜矢の心に引っ掛かった事。
なんで、グリアの部屋に居たのだろうか?
何か、もやもやした感情が亜矢の中で沸き起こった次の瞬間、レイナがリョウに抱きついた。
「お兄ちゃん!!」
「えっ!?」
驚きに声を上げたのは、亜矢の方だった。
(リョウくんの妹!?)
だが、リョウはレイナを見て喜ぶどころか、険しい顔をしている。
「レイナ……どうして、ここに?」
リョウの深刻な心情を知らないレイナは、満面の笑みでリョウを見る。
「お兄ちゃん、重要な使命とかで人間界に行ってから、全然帰って来なかったから……会いに来ちゃった」
その言葉に、リョウの顔色が変わった。
レイナの言う『使命』とは、1年前にリョウが天王から与えられた、『亜矢の魂を手に入れる』という使命の事だ。
レイナは、この1年間の事を知らないのだ。
リョウが天王から与えられた使命の内容も。
リョウが天王に逆らい、呪縛を受けた事も。
そして、今は天界に仕えるのを辞め、フリーの天使になった事も。
レイナはリョウに会えて嬉しさの余り、次々と言葉を続ける。
「お兄ちゃんは、私の自慢だよ。私もいつか立派な天使になって、天王様に仕えるの!」
「レイナ……」
リョウは、ようやくその一言だけを口に出した。
天使とは、基本的に天王を崇拝している。
レイナも例外ではない。例外なのは、リョウの方だ。
天使でありながら、リョウは天王に背いた。それは、歴史上初めての事なのだ。
元々、普通の天使では天王に会う事すら出来ない。
特別階級の天使であったリョウは、天王の行いを間近で見てきた。
レイナは、天王の本当の姿を知らない。
そしてリョウも、レイナに本当の事を話す事が出来なかった。
リョウはレイナの頭の上にそっと手を乗せると、ようやく優しいいつもの笑顔を向けた。
「来てくれて嬉しいよ。でも、ボクにはまだ使命があるんだ」
それは、亜矢を守るという使命。
天王の命令ではなく、自分の意志で決意した事だ。
「お兄ちゃん……どうしたの?」
その笑顔が、いつものリョウらしくない事をレイナはようやく見抜いたのだろう。
心配そうにリョウの顔を覗き込む。
リョウの心には、確かに迷いがあった。
今の不安定な自分の心のままで、レイナに会う事は出来ないと思っていたのに。
何か大きな変化が起こり始めている今、レイナを巻き込みたくない。
もうこれ以上、大切な物を失いたくないと思った。
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