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【番外編】19.インドア派です
しおりを挟む「レン、仕事だ」
ディラン王からお声がかかる。ディラン王の隣にはレディアンもいた。僕を視界に入れるなり、歩み寄って来た。
「アーニャ、緊急で出かけることになった」
「あ、はい」
何故か頭をいい子いい子された。
「名残惜しいが、ボク達の家で待っていて欲しい」
「・・・あ、はぁ・・・」
ボク"達"・・・ですか。
「くれぐれも家を出ないように。必要なものはバートに言うんだ、いいね?」
「引き籠って動画編集してます」
そう告げるとにっこーの満面の笑みが返ってきた。
「うんうん。良かった、君がそういう職種でインドア派で」
「? 何でです?」
「何でって。首に、手足に、鎖なんか付けられたくないだろう?」
「えっ」
え、何だろう。・・・え、何かじわじわ怖さが来る感じがするのは何で?
「いでっ」
レディアンがディラン王に頭を叩かれていた。
「おまえなぁ、怖がらせるな」
「だってさ~」
「だってもクソも無い。相手になるべくストレスを与えないように、監・・・軟禁するのがいいんだぞ」
・・・・・・な、軟禁? いや今監禁言おうとした?
何かサラリとえげつないアドバイスを送ってないか?
チラリとレン様を見やった。
「あぁ、大丈夫。こういう会話も慣れて来るから」
「そ、そうですか・・・。慣れたくないです・・・」
「ほんっと、愛が重いんだよ熊人は。子供こしらえちゃって絶対的家族を作れば少しは抑えられるかと思いきや、全然変わらなかった。むしろ倍増? 精子と束縛力が強いの」
束縛はともかくとして、精子にも強さがおありで?
また頭をなでなでされた。
「じゃぁ、いい子で待ってて」
「こ、子供じゃないですから!」
にやけるレディアンに、身の危険を感じる。
「うっわ、これは本気と書いてガチだね。レディアン、アーニャを手に入れるには」
「分かってる」
突然剣呑さを帯びた声音になった。
「行って来る」
頭からようやく大きな手が離れた。
「はい、いってらっしゃい」
しかしまた顔がにやりと緩む。
「はぁ、行くぞ」
「あ、あぁーもっと余韻に浸らせてぇ」
ディラン王がレディアンを引きずって行かれた。
「じゃぁアーニャ、待たね」
「あ、はい。お気をつけて」
「うん」
三人を見送り、携帯とパソコンを手にし、僕はレディアンの家に戻った。
「おかえりなさいませアーニャ様」
安定のバートさんに安心する。昨日今日の出会いなのに。
「あの、暫くお世話になります」
「はい、アーニャ様のお荷物は全て二階のお部屋に置かせていただきましたので」
「えっ!? もう、ですか!?」
「はい。階段を上がってすぐ右手のお部屋が、アーニャ様のお部屋になります」
「あ、ありがとうございます」
「御用の際は室内にありますベルを鳴らしてください」
「分かりました」
赤い絨毯の階段を上がり、用意された・・・壁紙がお花のふぁ、ふぁんしーな部屋に入った。
「・・・・・・」
確かに、荷物がまとめられている。
「あ、そうだそうだ」
パソコンを起動する。
「・・・・・・」
まぁ、こうなることは予想してはいた。
僕のSNSがすんごいことになっている。ある意味、炎上なのでは? 知らないうちにチャンネル登録者数が格段に増え、トレンド首位になってしまっている。
「おふ・・・」
昨日の動画のアーカイブを見てみた。
そりゃそうだ。しろくまトップ夫妻とそのご子息のダブル出演に兼ねての元王の登場を生配信でしてしまったのだ。折角のレン様のプレイ実況動画だし消すわけにはいかない。
「あはは、すごー」
切り抜き職人様が、長い配信動画の面白い部分だけを切り抜き、さらにテロップ効果を付け面白く仕上げてくれている。またこの優秀な切り抜き動画から、この大元の動画に誘導してくれるサポーター達だ。
あぁ、感謝しております。コメントをしておこう。
いつも本当にありがとうございます。
急な環境変化にも負けず、黒ずきんは元気です、と。
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