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【番外編】8.帰れない
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僕は独りが好きだ。
普通に義務教育を終えて、大学を出て、一般企業に就職したけど、会社という組織に上手く適合・・・出来なかった。
原因は分かってる。
僕にはやりたい事があるからだ。
それはクリエイターだ。無から有を生み出し創り出す。
インターネットが普及する中、バーチャルの世界で”自分”を創り出し、その中で好きなように自分をクリエイトしていく。
バーチャルライバーという仕事は、僕には天職だと思ったんだ。
大好きなホラーゲームを実況、そして偶には料理作り、長編RPGをやってみた動画など、色々なものをアップし続けた。やっぱりホラーゲーム実況の方が需要が良くて、沢山のゲームをした。好きなことをやらせてもらって、皆がそれを楽しいと思ってくれて、それでお金も入って来たら、それは最高な仕事だと思う。でも動画の編集や次の動画のネタを考えたり。皆に見てもらうには沢山の動画を投稿し”続ける”ことが重要で、心が折れてしまうヒトも多い。
僕は幸いにも、忍耐だけは取り得だった。
どんな時でも動画を作り続けた、投稿し続けた。
その結果が、レン・クジョウ様との縁を結んだのだと思う。一生分の運を使い果たした気がする。
レン様はレディアン王と許婚なのは知っていた。でもディラン氏とお付き合いしている話も聞いていた。だからレン様は許婚ではなく、本当の愛を選んだと思った。
これからも釣り合いは取れなくても、同じ一般人のカテゴリー内で、コラボ継続してくれる・・・と嬉しいなぁと思っていた。
でも真実はディラン氏が熊人王で、レン様が実質その王妃になったと。
「はぁ・・・」
敷居が高い。高過ぎる。
「引き籠りには無理だよぉ・・・」
あの温かい食事の時間は、僕には不釣り合い過ぎる、場違いもいい所だ。
冷たい風が頬を切り、ふと我に帰る。
「やっば・・・」
そういえば、どうやって家に帰ればいいんだろうか?
リムジンで迎えが来て、景色を堪能してここへ来たものの。あの場に居た堪れず、帰りのことを全く考えもせずに出てきてしまった。
「・・・どうしよう」
もう空は暗闇で、まずはこの宮殿の敷地から出なければいけない。
無事、帰れるのだろうか。
でもまずは行動しなければ。この道沿いを歩けば何とかなるかもしれない。
「アーニャっ!」
この声は。
踵を返すと、レディアンさんが駆け寄って来て下さった。
「レディアン様っ!?」
「・・・もう王ではないのだから、様付けはよしてくれ」
「・・・はい、レディアンさん」
ふとレディアンさんの眉根が寄る。
「ぅ、うう~ん? 何だこの違和感は。呼び捨てで構わない」
「え、いや、でも」
「君は身分をとても気にしているようだから言っておくが、今の私は一般獣人だ。それなら安心だろう?」
元王様だけど。でもそうか、今、の話だし。
「・・・では、お言葉に甘えて・・・。レ、レディアン」
「むぐっ、あぁ、うん、いいね、うん」
心臓を押さえているけれど大丈夫だろうか。
「レディアン? だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ大丈夫だ気にするな。ちと心臓に矢が刺さっただけだ」
「???」
一体何を言っているのだろう? この熊人さんは大丈夫だろうか?
「それよりアーニャ」
「はい」
「ここからどうやって一人で帰るつもりなんだい?」
デスヨネー。
普通に義務教育を終えて、大学を出て、一般企業に就職したけど、会社という組織に上手く適合・・・出来なかった。
原因は分かってる。
僕にはやりたい事があるからだ。
それはクリエイターだ。無から有を生み出し創り出す。
インターネットが普及する中、バーチャルの世界で”自分”を創り出し、その中で好きなように自分をクリエイトしていく。
バーチャルライバーという仕事は、僕には天職だと思ったんだ。
大好きなホラーゲームを実況、そして偶には料理作り、長編RPGをやってみた動画など、色々なものをアップし続けた。やっぱりホラーゲーム実況の方が需要が良くて、沢山のゲームをした。好きなことをやらせてもらって、皆がそれを楽しいと思ってくれて、それでお金も入って来たら、それは最高な仕事だと思う。でも動画の編集や次の動画のネタを考えたり。皆に見てもらうには沢山の動画を投稿し”続ける”ことが重要で、心が折れてしまうヒトも多い。
僕は幸いにも、忍耐だけは取り得だった。
どんな時でも動画を作り続けた、投稿し続けた。
その結果が、レン・クジョウ様との縁を結んだのだと思う。一生分の運を使い果たした気がする。
レン様はレディアン王と許婚なのは知っていた。でもディラン氏とお付き合いしている話も聞いていた。だからレン様は許婚ではなく、本当の愛を選んだと思った。
これからも釣り合いは取れなくても、同じ一般人のカテゴリー内で、コラボ継続してくれる・・・と嬉しいなぁと思っていた。
でも真実はディラン氏が熊人王で、レン様が実質その王妃になったと。
「はぁ・・・」
敷居が高い。高過ぎる。
「引き籠りには無理だよぉ・・・」
あの温かい食事の時間は、僕には不釣り合い過ぎる、場違いもいい所だ。
冷たい風が頬を切り、ふと我に帰る。
「やっば・・・」
そういえば、どうやって家に帰ればいいんだろうか?
リムジンで迎えが来て、景色を堪能してここへ来たものの。あの場に居た堪れず、帰りのことを全く考えもせずに出てきてしまった。
「・・・どうしよう」
もう空は暗闇で、まずはこの宮殿の敷地から出なければいけない。
無事、帰れるのだろうか。
でもまずは行動しなければ。この道沿いを歩けば何とかなるかもしれない。
「アーニャっ!」
この声は。
踵を返すと、レディアンさんが駆け寄って来て下さった。
「レディアン様っ!?」
「・・・もう王ではないのだから、様付けはよしてくれ」
「・・・はい、レディアンさん」
ふとレディアンさんの眉根が寄る。
「ぅ、うう~ん? 何だこの違和感は。呼び捨てで構わない」
「え、いや、でも」
「君は身分をとても気にしているようだから言っておくが、今の私は一般獣人だ。それなら安心だろう?」
元王様だけど。でもそうか、今、の話だし。
「・・・では、お言葉に甘えて・・・。レ、レディアン」
「むぐっ、あぁ、うん、いいね、うん」
心臓を押さえているけれど大丈夫だろうか。
「レディアン? だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ大丈夫だ気にするな。ちと心臓に矢が刺さっただけだ」
「???」
一体何を言っているのだろう? この熊人さんは大丈夫だろうか?
「それよりアーニャ」
「はい」
「ここからどうやって一人で帰るつもりなんだい?」
デスヨネー。
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